九州へ!


17日の日曜日の朝、東京のホテルで目覚めました。
地震が続く九州が心配で一刻も早く帰りたかったのですが、ブログ「奇人変人倶楽部」で紹介したイベントに参加する約束をしていたため、16日に帰ることはできませんでした。
ようやく帰ることができるとあって、わたしは羽田空港に向かいました。


羽田空港にやってきました


13時45分発のスターフライヤーに搭乗する予定で、指定された2番ゲートに行きました。しかし、2番ゲートには誰もいません。嫌な気がして電光掲示板を調べると、84番ゲートに変更となり、さらに出発時間が15時15分に遅れると表示されていました。なんでも強風で前便の到着が遅れているからだそうです。思えば14日に東京に来るときの飛行機が機材の問題で欠航となり、わたしは福岡空港まで行って搭乗したばかりであり、しばし呆然としました。


バスラウンジでは、多くの人々が立ったまま待つ



でも、仕方ありません。84番ゲートに行くと、ものすごい数の人がいました。
お隣りの85番ゲートのJAL高松便、86番ゲートのJAL出雲便も大幅に出発が遅れ、椅子に座れない人々が立ったまま待っていました。80番台のゲートはバスでの移動となりますが、強風で乗客を飛行機まで運ぶバスに乗せられないというのです。また、前便が強風のため羽田に着陸できず、着陸できても乗客を空港まで運ぶバスに乗せるのが危険だということで、出発時間はどんどん遅れていきました。


どんどん遅れる出発時間



結局、わたしの乗るスターフライヤーは当初の13時45分から15時25分と大幅な遅れが発表されました。普通、待たされた乗客は大きなストレスを感じるでしょうが、そんな気配は見られませんでした。おそらくは、みんなの心には熊本や大分の被災者のことがあったのだと思います。わたしも、そうでした。「被災地で苦しんでいる人たちのことを思えば、飛行機の遅延など何でもない」、さらには「熊本空港はターミナルビルの被害で閉鎖されているのだから、飛行機が飛ぶだけでも有難い」と思いました。


機内で読んだフロイトの文庫本



ようやく13時25分が来て飛行機に乗り込みましたが、そこからまた飛び立つまでに30分ぐらい時間がかかって、ほぼ16時頃に出発しました。長く満員のバスラウンジで待たされたので疲れましたが、わたしは持参した文庫本を機内で読みました。じつは、浜松町の大型書店でフロイトの『幻想の未来/文化への不満』『人はなぜ戦争をするのか エロスとタナトス』(ともに中山元訳、光文社古典新訳文庫)の2冊を購入したのですが、バスゲートで『幻想の未来/文化への不満』を読了し、機内で『人はなぜ戦争をするのか エロスとタナトス』を読了しました。


「喪とメランコリー」を読み耽りました



2冊とも、「精神分析の父」であるフロイトの文化論を集めた本です。
そこに収録されている論文の多くはすでに昔読んだことのあるものです。しかしながら、中山元氏によるリーダブルな新訳で、改めてフロイトの思想を学び直しました。じつは前夜に作家の加賀乙彦氏とフロイトについて語り合う機会に恵まれ、「明日、浜松町でフロイトの本を買って、飛行機の中で読もう!」と思っていたのです。正直、「フロイトって、こんなに面白かったのか!」と思いました。特に、『人はなぜ戦争をするのか エロスとタナトス』に収められた「喪とメランコリー」は有名な「喪の仕事」の出典であり、グリーフケアの原点となる名文です。わたしは夢中で読み耽り、さまざまな気づきを得ました。次回作である『儀式論』を執筆する上でも大いに参考になりました。儀式の心理的機能を理解できたのが大きな収穫でした。


あらゆる本が面白く読める方法―万能の読書術

あらゆる本が面白く読める方法―万能の読書術

わたしには読書という趣味があり、本当に良かったです。
本さえあれば何時間どこで待たされようが平気だからです。だって、読書に没頭すれば、現実の場所から「こころの王国」にトリップしますから・・・・・・。だから、何もしないでイライラして待っている人を見ると、「この人、本を読めばいいのになあ」と思ってしまいます。
そんなこんなで、スターフライヤー特製のタリーズ・コーヒーを2杯飲みながら、フロイトの名著をちょうど読み終わる頃に、飛行機は無事に北九州空港に到着しました。


ついに九州に帰ってきました!



ついに九州に帰ってきました。明日18日は早朝から松柏園ホテルでの月次祭に参加し、平成心学塾で講話を行います。それから、会長を務めている全互連の監事監査に立ち会うため再びスターフライヤーに乗って東京へ。翌19日は全互連の正副会長会議および理事会が開催されます。20日に北九州に帰り、21日の夜は北九州の経済団体の会合に出て、22日からは全互連中部ブロック会員拡大キャンペーン表彰式に出るため名古屋へ行きます。さらに今後は、熊本大地震の支援に関する仕事が多くなるはずです。正直、もうすぐ53歳の身に体は辛いですが、「天下布礼」のために頑張ります!
でも、何が辛いって、忙し過ぎて『儀式論』を書く時間が取れないのが一番辛いです。構想はすでに出来上がっているのに、じっくり執筆する時間がありません。本は読めても、本が書けないわけですが、なんとか工夫をしながら自分の使命を果たしたいと思います。


面白い方からメールが届きました



最後に、羽田空港で「バク転神道ソングライター」こと鎌田東二先生からメールが来たので、返信の終わりに飛行機の遅延に触れ、「地震といい、強風といい、自然は人間の思い通りにはなりませんね」と書いて送ったところ、鎌田先生からの返信を北九州空港で開きました。そこには、「人間尊重の前の自然畏怖、それが基礎基本だといつも思っています。自然畏怖と畏敬の上に、人間尊重があるべきです。人間中心主義ほど、手前勝手なものはないと思っています」と書かれていました。う〜ん!



ヘトヘトになって自宅に帰ったら、玄関にリュックサックに入った防災セットが置かれていました。書斎に入ると、書棚に置いてあったフィギュアやタロットカードなどが散乱しており、しばらくしてスマホ地震警報が鳴りました。東京で観たテレビのニュースでは熊本の被災地の様子しか知ることができませんでしたが、北九州でも多くの地震があったようです。14日の夜にすぐ自宅に電話をしてあげなくて、留守番をしていた妻と次女には申し訳なかったです。



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2016年4月18日 佐久間庸和