洞窟・地震・グリーフケア

ブログ「九州へ!」に書いたように、17日の夕方、東京から北九州へ戻ってきました。わたしが東京にいる間に熊本大地震が発生し、北九州もかなり揺れて余震が続きました。
そんな中、18日の早朝から松柏園ホテルの神殿で月次祭を行いました。戸上神社の是則神職が神事を執り行って下さいました。祭主である佐久間進会長に続いて、わたしは参列者を代表して玉串奉奠しました。その後、交通安全の御守りが各部署に配られました。


月次祭のようす

柏手を打つ佐久間会長

わたしも柏手を打ちました

交通安全の御守りが配られました



神事の後は、恒例の「平成心学塾」を開催しました。
最初に、このたびの大地震の犠牲者を悼んで1分間の黙祷が行われました。
それから、サンレーグループ佐久間進会長が檀上に立ち、訓話をしました。
会長は、WEBシステムに写っている各地の社員に向かって話しかけました。


平成心学塾のようす

最初に全員で黙祷しました



それから、会長はこのたびの地震について語りました。
会長は500回以上の余震が続く現状を「これまで例がない」と述べました。さらに「まだまだ油断はできない」として、南海トラフの恐怖について語りました。100兆円もの被害を及ぼすとされる南海トラフ地震が起これば、「日本沈没」が現実の話になるというのです。その後、会長は総務部の國行部長を指名し、サンレーグループ地震の被害状況が説明されました。それから、佐久間会長は「小笠原家茶道古流未得会」の会長に今月就任したことに言及し、「茶道は人間尊重の『かたち』づくりの修業です。われわれのような冠婚葬祭業が茶道を修めれば、お客様に最高のホスピタリティ・サービスが提供できます」と述べました。


小笠原家茶道古流について語る佐久間会長



続いて、わたしが壇上に立ちました。講話の冒頭で、わたしは最初に「地震で亡くなった方々のみたまを心より追悼するとともに、被災者の方々の不安や心配や苦悩が少しでも軽減されることを心から祈ります」と述べました。先月は「儀式とグリーフケアへの想い」について話しましたが、今月は話すことが多過ぎて困りました。まずは最近の航空会社に関する話をし、ブログ『真実の瞬間』で紹介した本の内容を説明しました。


わたしが講話を行いました

まずは被災者へお悔みを述べました



それから、ブログ「普天間宮」で紹介した沖縄の神社について話しました。
琉球八社」の1つである普天間宮は、沖縄県宜野湾市普天間にあり、沖縄県中部最大の聖地として参拝者が多い神社です。沖縄本島において、中部はもとより北部の建築関係諸祈願、結び(諸願成就)の神様として信仰されているのも特徴です。
最近、「バク転神道ソングライター」こと鎌田東二先生の最新刊『世阿弥――見心変容技法の思想』(青土社)を読んだのですが、その中に宗教や芸術の発生が洞窟と深く関わっていたという記述があり、強い関心を抱きました。洞窟壁画で有名なアルタミラやラスコーをはじめ、古代人は母胎のメタファーである洞窟内において身心の変容を体験したというのです。そして、鎌田先生は沖縄の神社にもガマが備えられており、中でも普天間宮のガマが代表的であると書かれていました。


儀式は洞窟から生まれた!



わたしも普天間宮のガマの中に入ってみました。
いやもう、言葉にできないほどの感動をおぼえました。
わたしは、「儀式も神話も哲学も芸術も宗教も、すべては洞窟の中から始まった!」という直観を得ました。そういえば、日本神話の「天の岩戸」も洞窟のことです。ブッダ空海も洞窟で修行をした結果、悟りを得ています。洞窟こそは「母胎」や「産道」のメタファーであり、儀式の生まれた場所に違いありません。次回作の『儀式論』(弘文堂)では「空間と儀式」という一章を設け、洞窟における儀式の発生について述べたいと思います。


グリーフケアに言及しました



それから、4月14日の夜の話をしました。
わたしは東京のホテルのレストランで、鎌田東二先生が上智大学グリーフケア研究所の特任教授就任のお祝い会を開きました。同研究所の所長である島薗進先生も一緒でした。島薗先生と鎌田先生といえば、日本宗教学界の2トップです。このお二人が同じ職場でグリーフケアに取り組むというのですから、グリーフケアの普及に情熱を注いできたわたしとしても楽しみです。わが社では、ここ数年来、グリーフケアのサポート活動に力を入れてきました。わたしたち3人は食事をしながら、日本におけるグリーフケアの在り方について熱く語り合いました。わたしは、「グリーフケア」という言葉や思想はカトリックから生まれたものだと思うが、日本におけるグリーフケアは土着的なものを無視することはできないと述べました。また、われわれの業界はグリーフケアの臨床現場というべき、日々、「愛する人を亡くした人」と接しており、ぜひこの経験を活かして、日本のグリーフケアの発展に貢献したいと述べました。その結果、7月20日に上智大で連続講義をすることになりました。


熊本大地震の知らせに衝撃を受けました



お祝い会の終了後、ホテルの客室に戻ってテレビをつけると、熊本でM6.5の地震が発生したことを知り、大変驚きました。テレビ局はすべてこのニュースを報じており、事の重大さが伝わってきました。その緊迫感は、東日本大震災のときを思い起こさせました。じつは、グリーフケアは3・11で浸透したのです。16日の未明には同じく熊本でM7.3の大地震が発生しました。1995年の阪神淡路大震災クラスです。
一連の地震により、多くの人々が愛する人を失いました。愛する人の死は、その本人が死ぬだけでなく、あとに残された者にとっても、小さな死のような体験をもたらすと言われます。親を亡くした人は過去を、配偶者を亡くした人は現在を、子を亡くした人は未来を、そして、恋人・友人・知人を亡くした人は自分の一部を失います。
東日本大震災後に培ったグリーフケアで、わたしは、ぜひ熊本大地震の被災者の方々のお役に立ちたいと願っています。今日は、以上のような講話をしました。


天下布礼」のために頑張ります!



平成心学塾の終了後、わたしは北九州空港に向かいました。会長を務めている全互連の監事監査に立ち会うため再びスターフライヤーに乗って東京へ飛ぶためです。翌19日は全互連の正副会長会議および理事会が開催されます。20日に北九州に帰り、21日の夜は北九州の経済団体の会合に出て、22日からは全互連中部ブロック会員拡大キャンペーン表彰式に出るため名古屋へ行きます。さらに今後は、熊本大地震の支援に関する仕事が多くなるはずです。正直、もうすぐ53歳の身に体は辛いですが、「天下布礼」のために頑張ります!


最後は一同礼!



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2016年4月18日 佐久間庸和