グリーフケアの夜

14日の午後、東京に入りました。本当は北九州空港からスターフライヤーで飛ぶはずだったのですが、機材の関係で欠航になり、急遽、福岡空港へ移動することになりました。
福岡空港発の便で無事に東京に着きましたが、予定が大幅に狂いました。
どうも最近、スターフライヤーから嫌われているような気がします。


「トレーダー・ヴィックス」の入口

島薗先生と鎌田先生に囲まれて・・・



東京に入ると、1件出版関係の打ち合わせをしてから、19時半からはホテル・ニューオータニのインターナショナルレストラン「トレーダー・ヴィックス」に向かいました。
ブログ「鎌田東二先生からのメール」に書いたように、この4月から「バク転神道ソングライター」こと鎌田東二先生が上智大学グリーフケア研究所の特任教授に就任されたので、そのお祝い会を開いたのです。同研究所の所長である島薗進先生も御一緒でした。


特任教授就任を祝ってカンパイ!



島薗先生とわたしは生ビール、鎌田先生はペリエで乾杯しました。
そして、わたしはブログ「『子を喪へる親の心』を入手しました」で紹介した日本的グリーフケアの幻の名著をプレゼントさせていただきました。鎌田先生はとても喜んで下さいました。また、この日にアップしたばかりのブログ『世阿弥』も非常に喜んで下さいました。間に合って、本当に良かったです。そのブログの最後に、わたしは2つのお願いを書いたのですが、鎌田先生は2つとも叶えて下さるそうです。いやあ、嬉しいなあ!



わたしたちは食事をしながら、大いに語り合いました。
少し前まで島薗先生は東京大学教授、鎌田先生は京都大学教授でしたが、ともに日本の宗教学界のトップ2といってよいほどの大物でした。そのお二人が今は同じ職場におられるのですから、すごすぎます! なんでも、鎌田先生の初講義が昨日行われたそうですが、なんと350人の学生が集まって大教室が満員になったそうです。その初講義の冒頭と最後に法螺貝を吹き鳴らして拍手喝采だったとか・・・・・・・。やりますねぇ!



お二人の会話は大学や宗教界をめぐる環境の話題から始まり、次第に熱を帯びてきて、カトリックの本質とか、ついにはグノーシス主義にまで言及されました。スウェデンボルグやシュタイナーとキリスト教の関係など非常にディープな議論も展開されて、昔からお二人の著書の愛読者であるわたしにはたまらない至福の時間となりました。そして、最後は日本におけるグリーフケアの在り方が熱く語り合われました。



お二人の語り合う姿を拝見していると、まるで民俗学における柳田國男折口信夫の対話みたいでした。いわゆる「龍虎」のオーラがありました。しかし、日本民俗学の草創期には実業界出身の渋沢敬三という方がいて、民俗学の発展に多大な貢献をされました。
かの渋沢栄一の孫にして、大蔵大臣や日銀総裁まで務めた渋沢敬三を引き合いに出すなど不遜のきわみであることは重々承知していますが、わたしは「グリーフケア界の渋沢敬三」になりたいです。そして、グリーフケア学界と冠婚葬祭業界の架け橋になりたいです。
それから、日本に「冠婚葬祭博物館」または「死生観博物館」を作りたいです。



夜も更けてお開きの時間となり、最後にわたしが挨拶をさせていただきました。
わたしは、「グリーフケア」という言葉や思想はカトリックから生まれたものであると思うが、日本におけるグリーフケアは土着的なものを無視することはできない。われわれの業界はグリーフケアの臨床現場というべき、日々、「愛する人を亡くした人」と接しており、ぜひこの経験を活かして、日本のグリーフケアの発展のお役に立ちたいと述べました。


「トレーダー・ヴィックス」の出口で。鎌田先生が面白!



まずは、7月20日(水)に上智大学でわたしが2回講義を行うことが内定しました。心を込めて、グリーフケアについての考え方や想いを述べさせていただきます。
帰り際、店の出口のところでスリーショットを撮影したのですが、真ん中の鎌田先生の顔だけがスポットライトの影響で白く光っていました。わたしはそれを見て「面白!」と叫びました。『世阿弥』に「面白」のくだりが出てくるのです。とても有意義かつ楽しい夜でした。


ニュースで知り、驚きました



グリーフケアといえば、2011年3月11日の「東日本大震災」で一気に認知された感がありますが、会食後、ホテルの客室に戻ってテレビをつけたところ、熊本で震度7の大地震が発生したことを知り、大変驚きました。テレビ局はすべてがこのニュースを報じており、事の重大さが伝わってきました。その緊迫感は、3・11のときを思い起こさせます。


現地の被害の様子が心配です



ブログ「九州ブロック総会」で紹介したように、昨日、一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)のブロック会議が開催され、わたしは次期ブロック長として九州全体の災害支援に取り組むことが決定したばかりです。互助会業界の重鎮のみなさんも、ラックの柴山社長が「地震のときは、とにかく水が必要」、メモリードの吉田社長が「じつは発電機とトイレが必要なんだ」、セルモの安田会長は「トイレもいいが、凝固剤が重宝される」と言われていました。
その安田会長こそは熊本で最大手の冠婚葬祭互助会を経営されています。
東日本大震災では九州の互助会は一致団結して被災地を支援しました。
今回は九州での災害ですので、みんなで助け合わなければ! 
こういうときこそ、「相互扶助」を旨とする互助会の出番であると思います。
それにしても、現地の被害の様子が心配です。翌15日は東京での仕事が詰まっていますが、情報を収集して現場に的確な指示を与え、場合によっては現地入りしたいと思います。


地球全体に異変の予兆や証明が・・・



深夜、鎌田先生から以下の内容のメールが届きました。
「熊本の地震、昨日、姶良火山の噴火や爆発のことなど話したばかりだったので(1万年に1度起こるような大爆発がいつ起こるかわからない危険状況であるとか)、グサリと突き刺さりました。日本列島のみならず、地球全体に異変の予兆や証明がどんどん出て来ていると思っています。まさに、災害や戦争や疾病が頻発する『乱世=大中世』時代になっていると。その中で、『グリーフケア』や『スピリチュアルケア』や『臨床宗教師』が果たすべき役割は大きなものがあると思います」



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2016年4月15日 佐久間庸和