企画・広報担当者会議


23日の午後から、サンレーグループの全国企画・広報担当者会議が行われました。
これまで、営業責任者、MS責任者、冠婚責任者、衣装担当者、葬祭責任者、経理責任者の会議は開催していますが、企画・広報担当者の会議は初めてです。
もう15年ぐらい前に広報担当者会議を開いたことはあります。
今年になってなぜ企画・広報担当者会議を開いたかというと、来年の創立50周年を控えて、企画部門および広報部門の役割が特に大きくなっているからです。


訓話の前に一同礼!

みなさん、お元気ですか?



16時半から、わたしが60分ほどの社長訓話をしました。
最初にわたしは、「サンレーは情報発信型の会社である」と述べました。
そして、そのバックグラウンドには「天下布礼」という思想があります。
天下布礼」とは、サンレーの創業時に佐久間進会長が掲げていたスローガンです。2008年、わたしが上海において再び社員の前で打ち出しました。
中国は孔子が生まれた国です。2500年前に孔子が説いた「礼」の精神こそ、「人間尊重」そのものだと思います。上海での創立40周年記念パーティーで、わたしは社員の前で「天下布礼」の旗を掲げました。かつて織田信長は、武力によって天下を制圧するという「天下布武」の旗を掲げました。しかし、わたしたちは「天下布礼」です。武力で天下を制圧するのではなく、「人間尊重」の思想で世の中を良くしたいのです。


社長訓話のようす



わが社の小ミッションは「冠婚葬祭を通じて良い人間関係づくりのお手伝いをする」。
冠婚葬祭ほど、人間関係を良くするものはありません。そして、わたしたちの理想はさらに大ミッションである「人間尊重」へと向かいます。太陽の光が万物に降り注ぐごとく、この世のすべての人々を尊重すること、それが「礼」の究極の精神です。だから、わたしは「礼」の精神が誕生した中国の地で「天下布礼」という言葉を持ち出したのです。


天下布礼」について語りました



天下、つまり社会に広く人間尊重思想を広めることがサンレーの使命です。わたしたちは、この世で最も大切な仕事をさせていただいていると思っています。これからも冠婚葬祭を通じて、良い人間関係づくりのお手伝いをしていきたいものです。
また、わたしが大学で教壇に立つのも、講演活動を行うのも、本を書くのも、さらには庸軒として道歌を詠むのも、すべては「天下布礼」の一環であると考えています。


「企画」について話しました



それから「企画」の話をしました。企画担当者、すなわちプランナーにとって何よりも求められるものは創造的発想や創意です。動物行動学者の竹内久美子氏は、「発想を変えて、思い切って跳びなさいと言われたら、みんな前に跳ぶことしか考えない。前に跳ぶのは誰でもできることで、横に跳ぶことが必要なのだ」と述べていいます。元東京都知事石原慎太郎氏はこの話にいたく感心し、創意というものの本髄はそこにあると思ったといいます。


創意について語りました



ソニーの創業者である井深大は、かつて、芝浦の工場でジーンズを履いた若い社員が手作りのテープレコーダーをポケットに入れて音楽を聞きながら働く姿を見ました。なるほど、音楽とは座ってじっと聴くだけではなく、作業の邪魔にならなければ仕事をしながらでも聴きたいだろうし、ただ歩くよりも音楽を聴きながら歩く方がリズミカルに歩けるのではないか。そのように井深は考え、あの伝説のウォークマンが誕生したのです。これは井深が経営者として横に跳んだということでしょう。



また、カラオケは世界に誇る日本の発明ですが、考え出したのはクラリオンの創業者である小山田豊です。昭和49年の秋、海外駐在員たちを引きつれて水上温泉で宴会を開いたとき、呼んだ芸者が年増ばかりで、しかも歌を歌おうにもろくに三味線も弾けない者が多かったといいます。小山田は落胆しながらも、ふと、芸者の代わりに伴奏の機械があれば面白いと発想し、それがカラオケのアイデアの元になりました。小山田も横に跳んだのです。そして、わたしは「企画担当者のみなさんも、ぜひ横に跳ぶということを心掛けていただきたい」と述べました。ブログ「50周年プロジェクト会議」で紹介した今年3月13日の金曜日に開かれた企画会議でわたしがジェイソンの仮面をかぶった意図もそこにあります。


社長訓示のようす



企画は商品開発の世界にも関わっています。
ビジネスの世界では「ブルー・オーシャン戦略」という言葉がよく使われます。ブルー・オーシャンとは、文字通り、「青い海」。その反対は、レッド・オーシャンです。ブルー・オーシャン戦略とは、血みどろの戦いが繰り広げられるレッド・オーシャンから抜け出す戦略のことです。そのための手法は、競争のない市場空間を生み出して競争を無意味にすることです。
ブルー・オーシャン戦略は、縮小しがちな既存の市場を分け合うのではなく、競合他社との比較を行なうのでもなく、あくまでも需要を押し上げて、競争そのものから抜け出すことを目的とします。ブルー・オーシャン戦略は、未開拓の市場を生み出すのです。血みどろの戦いが繰り広げられる赤い海を脱出して、自分だけは美しい青い海に漕ぎ出すことができるのです。


ブルー・オーシャン戦略について語る



具体的に日本におけるブルー・オーシャン戦略の具体例を見てみましょう。
まず、音響機器の世界からです。かつて、スピーカーは原音に忠実な音の再生をめざしていました。そのために各メーカーは莫大な開発費をかけて高性能のスピーカーを製造。一台で数百万円もするものも売り出されていました。競争は激しく、市場は完全に飽和。そこに、ある後発メーカーが画期的な商品を開発しました。その会社の名は、ソニー。音楽を聴くという行為の本質を熟考したすえ、ソニーが出したアイデアは空気の振動を介さずに直接、耳に音楽を送り込むというものでした。そして誕生した商品こそ、かのウォークマンです。
ウォークマン、すなわちヘッドフォンステレオはまったく新しい市場を開拓し、ソニーは世界最大の音響メーカーにまで登りつめます。


ウォークマンを中心に商品開発を語る



しかし、ソニーはゲーム機器の市場においては、かつての音響メーカーとまったく同じ失敗を犯してしまいました。ゲーム市場、特にゲームソフト市場は1997年をピークに縮小を続け、2003年にはピーク時の約半分の市場になっていました。そんな中で、発売されたソニーのプレイステイション3(PS3)は高価格もあって、思ったほどの売れ行きを見せることができませんでした。なぜ、高価格になったのか。それは、家庭用ゲーム機の理想をゲームセンターの商業用ゲーム機に置いたからです。ドライブゲームにしろ、シューテイングゲームにしろ、商業用の画像は非常に鮮明で、動きはなめらか。家庭用のレベルもそれに近づけるべく、莫大な開発費をかけた結果、PS3の値段は非常に高くなってしまったのです。しかも、その本質は既存のゲーム機を超えるものではありませんでした。



PS3とほぼ同時期に発売されたゲーム機が任天堂のWiiです。こちらは大成功し、完全に明暗を分けました。Wiiが登場する前、ゲームの主なユーザーは若い男性と子どもでした。しかし、Wiiは主婦やおじいちゃん、おばあちゃんといった、新しいユーザー層を巻き込んでゲーム市場を拡張しています。任天堂は既存のゲーム業界におけるシェア獲得合戦というレッド・オーシャンから抜け出すことに成功しました。まさに、Wiiこそは、かつてウォークマンが果たしたようにブルー・オーシャン戦略を実現したのです。そして、新しい大きな市場を創造したのでした。体を動かしながら遊べるゲームであり、家族一緒に楽しめるゲーム。Wiiは、新しい価値をも創造したのです。これを「バリュー・イノベーション」といいます。


バリュー・イノベーションについて



ブルー・オーシャン戦略は、主に「増やす」「付け加える」「減らす」「取り除く」の四つのアクションが中心ですが、わたしは「組み合わせる」が非常に重要であると、注目しています。
アイスクリームが発明されたのは紀元前2000年ですが、アイスクリームコーンは3900年後に登場しました。それまで、この世にソフトクリームはなかったのです。
紀元前2600年にはパンがすでに焼かれており、そのはるか以前から人類は肉を食べていました。ところが、その二つを組み合わせてハンバーガーをつくったのは、それから4300年も後のことでした。わたしは、まだまだ結ばれていない運命のカップルがこの世には無限に存在すると思っています。この世界には、未だその姿を見せていないソフトクリームやハンバーガーのような商品があるに違いない。そして、それを発見したとき、発見者は大きな青い海に漕ぎ出すことができるのです。


互助会事業におけるバリュー・イノベーション



もともと冠婚葬祭互助会というビジネスモデルそのものがブルー・オーシャン戦略だったのではないでしょうか。結婚式場、衣裳店、写真スタジオ、そして葬祭業などを見事に組み合わせたからです。そして、サンレーが推進している「隣人祭り」や「ともいき倶楽部」や「グリーフケア・サポート」がまさに新しい市場を開拓すると思います。
人間の死というものを「イン」だととらえた場合、「隣人祭り」ぴょび「ともいきクラブ」は「ビフォアー」であり、グリーフケア・ワークとは「アフター」です。同様に、長寿祝いは「ビフォアー」であり、法事・法要は「アフター」です。冠婚葬祭という営みの本質を考え抜き、新しい組み合わせの可能性を探りたいです。


「広報」について語りました



「企画」の次は「広報」について述べました。
わが社はじつに豊富な話題があり、これからも新しい話題が続々と控えています。
歴史上の人物を見ると、宣伝機関を持っていた者が人気者になることがわかります。日本史においては、源義経は『義経記』を、楠木正成は『太平記』を、織田信長は『信長記』を、そして豊臣秀吉は『太閤記』を持つことによって、後世の人々の心をつかみました。



書物の力というものは偉大ですが、考えてみると、孔子ソクラテスブッダ、イエスのいわゆる「世界の四大聖人」は誰一人として本を書いていないことに気づきます。『論語』や『仏典』や『新約聖書』はいずれも彼らの弟子たちがまとめた発言集ですし、ソクラテスの言葉もプラトンによって未来に残されたのです。メッセージを広く、長く伝えるという点において、いかに後継者の存在が大きいかがよくわかります。


本を書くということについて



現代のリーダー、特に企業の経営者の自叙伝やメッセージ集のようなものが書店にたくさん並んでいますが、一読してプロのライターが代筆したとすぐわかるものが多いです。いやしくも志を持って業を立てているからには、たとえ稚拙であっても自らペンをとって想いを綴ってほしいと思います。わたしは著書の執筆の他、雑誌や新聞などの連載を十数本抱えていますが、必ず自分で全部書きます。そして、少しでもサンレーのメッセージを世の方々に伝えたいと思っています。また社員に対しても伝えたいことが山とありますので、毎月の社内報で社員へのメッセージを書いています。



もちろん、書くことだけがメッセージの伝達ではありません。会議や朝礼や全社集会など、経営者はとにかく語ることが仕事です。「昭和の経営の神様」と呼ばれた松下幸之助は、次の3点が重要だと言いました。すなわち、燃える思いで訴える、繰り返し訴える、なぜ訴えるのかを説明する。この3つの繰り返しをしなければ、リーダーの真意は社員には伝わらないといいます。わたしもいつも、そのような思いでみなさんにメッセージを送っています。広報担当者のみなさんは、ぜひサンレー会員様をはじめとしたお客様、そして世の人々に広くメッセージを伝播して頂きたいと思います。


人生に意味を与えよう!



そして「企画」にも「広報」の両方に言えることですが、ものごとに意味を与えるという姿勢が大事です。今年の3月14日は北陸新幹線の開業という記念すべき日であり、ホワイトデーでもありましたが、もう1つの意味もありました。それは「3.14」は円周率と同じで、つまり「割り切れない日」です。この3つの意味を重ねて、今年の3月14日は、石川県で過去最大婚姻の届け出があったそうです。その数、じつに50組以上だったとか。マリエールオークパイン金沢の井口支配人は北陸本部の総合朝礼で「みんな結婚したくないわけではありません。何かきっかけさえあれば結婚したいのです」と述べ、「わたしたち冠婚事業部は、きっかけ作りを目指したいと思います」と決意を明らかにしていました。


訓話後に記念の集合写真を撮影しました



冠婚葬祭とは人生に意味を与えることであり、人生を肯定することです。最後に「みなさんは冠婚葬祭という素晴らしい仕事に意味を与える仕事をしているのです。これほどやりがいのある仕事はありません。ぜひ、みなさんの豊かな発想力でお客様を幸せにしてさしあげて下さい」と言いました。参加者たちは、時折は笑顔を見せながらも、こちらが怖ろしくなるほどの真剣な表情で聴いていました。社長訓話の終了後には、記念に集合写真を撮影しました。


懇親会の冒頭に挨拶しました

石田部長の音頭でカンパ〜イ!



社長訓話後は、サンレー本社から松柏園ホテルに移動して、懇親会が開催されました。
懇親会の冒頭、わたしが挨拶しました。わたしは「どうか、みなさんの力を結集して50周年を盛り上げていただきたい」と述べ、続いて「わが業界の事業には日本人を幸福にする力があります。そして、わが社の情報発信には、業界を大きく変える力があります」と述べました。それから、サンレー企画部の石田部長の音頭で声高らかに乾杯しました。


最後は「末広がりの五本締め」で・・・



この日は全国の事業部から冠婚・葬祭・内勤の区別なく企画・広報の担当者が集まり、普段では見られないような異色の顔合わせとなりました。みんな自己紹介をしたり、再会をなつがしがったりしながら、大いに飲んでいました。わたしも各テーブルを回って、全員にお酌をさせていただきました。最後は、松柏園ホテルの総支配人である山下部長によるサンレー・オリジナルの「末広がりの五本締め」で中締めとなりました。



懇親会の後は、松柏園のラウンジで二次会も開かれました。
ブログ『稲盛流コンパ』で紹介したように、「平成の経営の神様」と呼ばれる稲盛和夫氏は組織の団結を実現するコンパを推奨しています。経営トップも管理職も若手社員もすべて胸襟を開いて飲んで語り合うコンパには、人間関係を良くして、業績を向上させる力があります。
まさに、理念とコンパは経営の両輪ですね。
じつは、わが社には50年来のコンパの伝統があります。
そして、今夜のサンレー流コンパも大いに盛り上がりました。
やはり、理念と志をともにする「同志」とのコンパは最高です!




*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2015年7月23日 佐久間庸和