営業責任者会議

10日の午後、東京から北九州に戻りました。
翌11日の九州地方は上空に停滞した梅雨前線の活動が活発化し、熊本、長崎両県を中心に激しい雨が降りました。両県では約13万8800世帯約34万7800人に避難勧告が出たそうです。しかしながら、北九州は朝こそ少し降りましたが、日中は晴れでした。


最初に、営業優績者の表彰をしました

表彰者は非常に嬉しそうでした



11日の午後、小倉リーセントホテルで開催された北九州市観光協会の理事会に出席しました。理事会終了後に行われた定時総会には出席せず、そのままサンレー本社に向かいました。 サンレーグループの全国営業責任者会議で社長訓話を行うためです。
訓話に先立ち、恒例となっている営業部門の各種表彰を行いました。わたしは感謝の念を込めて、表彰状や金一封を表彰者の方々にお渡ししました。


社長訓示のようす



表彰式が終わると、わたしは1時間ほどの社長訓話をしました。
冒頭、最近読んだ生命保険業界のトップセールスマンの話をしました。
その人はお客様を訪問した際に、1回目は商品の話などは一切しないそうです。
代わりに、生命保険の役割や必要性について力説するそうです。
商品の内容よりも重要なのは、「なぜ、自分はこの商品を売るのか」という理由なのです。


互助会の役割と必要性を説きました



わたしは「みなさんは、互助会という商品を販売しています。これは、お客様に冠婚葬祭を行うことの覚悟を提供する商品です。実際、結婚式や葬儀によって、人は幸せになることができます」と述べ、「カタチにはチカラがある」という儀式の意義について説明しました。


ホワイトボードを使って説明



それから、ブログ「世界同時『隣人祭り』」で紹介した行事をはじめとする隣人交流イベントについて話しました。わが社はNPO法人ハートウェル21と連動しながら、「隣人祭り」を中心とした隣人交流イベントをお手伝いしています。年間の開催回数ですが、2011(平成23)年は469回、2012(平成24)年は510回、2013(平成25)年は578回、2014(平成26)年は718回となっています。今年も、700回以上の開催サポートを予定しています。


紫雲閣を地域のコミュニティ・センターに!



わたしは、「無縁社会」や「老人漂流社会」といった問題を解決する使命が互助会にはあると述べました。そして、そこにこそビジネスチャンスもあると訴えました。
隣人交流イベントは、主に紫雲閣で開かれます。ぜひ、各地の紫雲閣を単なる「葬儀の会館」ではなく、「葬儀も行う地域のコミュニティ・センター」にする必要があります。
ブログ「紫雲閣と警察がタッグ」で紹介したように、紫雲閣で開かれる見学会にに合わせ、各警察署の署員を講師に招いたセミナーを開いているのも、その一環です。高齢者が集う機会を活用し、交通事故や特殊詐欺被害への注意を呼び掛けるのが目的ですが、マスコミをはじめ各方面から大きな注目を浴びています。このような社会奉仕活動こそ、わが社の理念や商品を広く伝える格好の場となっているのかもしれません。


日本一の高齢者都市・北九州市を語る



それから、ブログ「民生委員総会講演」で紹介した講演で話した内容にも触れました。
そこで、わたしは北九州市の未来について話しました。
北九州市の最大の特徴とは何か。それは、高齢者が多いことです。
98万1174人の人口に対して、65歳以上の高齢者は25万7315人で、高齢者比率はじつに26・2%となっています(数字は、いずれも平成25年3月31日、住民基本台帳人口要覧による)。この高齢者比率は、全国に20ある政令指定都市の中で最も高い数字です。
北九州市はいわば「日本一の高齢化都市」であると言ってよいでしょう。そこで、わたしは日本中の高齢者の方々にも北九州市に来ていただきたいと考えています。現在、全国には600万8000人(平成27年、内閣府の推定)もの独居老人が分散しています。そういった方々に北九州に参集していただき、余生を過ごしていただきたいのです。


「高齢者福祉特区」構想を述べる



日本一の高齢化都市である北九州市は「好老都市」となる必要があります。北九州市こそが、まず先駆けとして「好老都市」になるべきなのです。わたしは「好老都市」のことを「グランドシティ」と呼びたいと思います。この方が国際的に意味か通りやすいですし、明るくポジティブな印象があります。現在、特区行政ということで、物流特区など数多くの特区が全国につくられています。わたしはぜひ北九州市に「高齢者福祉特区」をつくるべきだと思っています。



全国には独居老人すなわち1人暮らしの高齢者が600万人以上もいます。
その方々をはじめ、全国の高齢者が北九州市の「高齢者福祉特区」に集ってくるといいと思います。もともと北九州市は医療施設や介護施設が充実していると言われますが、それらをさらに充実させて、逆に税金や医療費は安くする。買い物はもちろん、高齢者向けのレジャー施設やカルチャー施設も充実させる。つまり徹底して、高齢者にとって安心で楽しくて生きがいを持てる街をつくるのです。もちろん、これらをすべて北九州市民の税金だけでまかなうのは大変ですし、はじめから不可能です。しかし「高齢者福祉特区」なら、国が負担します。国も、全国に先駆けて理想的な高齢都市のモデルづくりができれば、国益を高めると判断するはずです。全国各地でバラバラに高齢都市モデルをつくるより、日本一の高齢化都市である北九州市において集中的に実験した方が効果は上がります。


北九州市への想いを述べました



北九州市は、高齢者が多いことを「強み」として、日本一、高齢者が安心して楽しく生活できる街づくりを目指すべきです。そこで、大事なポイントは「孤独死をしない」ということ。わが社を中心に年間700回以上開催されている「隣人祭り」をはじめとした多種多様な「隣人交流イベント」のノウハウを駆使して、孤独死を徹底的に防止するシステムを構築することが必要です。そうなれば、「北九州にさえ行けば、仲間もできて、孤独死しなくて済む」というふうになるのではないでしょうか。全国の独居老人には、どんどん北九州に移住していただきたいです。


「老福都市」を実現したい!



また、わたしは北九州市が「老福都市」となり、日本が「老福国家」となるために、「民生委員」の存在がきわめて大きいと考えています。「無縁社会」などと言われる現在、独居老人などの孤立死を防ぐ民生委員の役割は大きくなる一方です。



ブログ「無縁社会シンポジウム」で紹介した座談会でも発言しましたが、孤立死が増加する原因の1つは「民生委員制度」が機能しなくなったことではないでしょうか。高齢単身者がどのような生活状況、あるいは健康状況にあるかを監視するのが、地域の民生委員の役割です。この民生委員制度がうまく機能していないのです。


民生委員制度について説明しました



民生委員制度の発端は大正7年(1918年)の大阪府における方面委員制度に始まるそうです。重要なことは、方面委員は無報酬の名誉職だったことです。天皇の御聖慮による名誉職だったので、誰も不満は言いませんでした。しかし戦後になって、昭和21年(1946年)に民生委員制度として再発足したときにも無報酬が引き継がれてしまったのです。名誉職的な色彩が薄くなったことにより、高度成長期の民生委員は自営業者が減少し、引退者や主婦が増加したそうです。でも、今や民生委員を引き受ける人間はどんどん減る一方です。


民生委員制度の問題点を語りました



わたしは、行政が困っているときは民間に委託すべきだと考えます。これは郵便局の事業の一部をヤマト運輸などの宅配便業者が行ったり、警察の仕事の一部をセコムなどの警備業者がやるのと同じようなこと。つまり、行政サービスの民間委託ということですね。それで、民生委員が少なくて困っているのなら、互助会業界に任せてくれたらどうかと思います。


ぜひ、民生委員さんをサポートしたい!



互助会には、営業員さんがたくさんいます。それなら、例えばその営業員さんが独居老人のお宅の数を控えておいて、時々訪問する。行政からそういう委託を受け、互助会が老人宅を訪問して安否確認を行えば、これは相互扶助の機能を発揮すると共に、互助会そのもののイノベーションになるのではないかという気がしています。世のため人のためになって、互助会そのものもインベーションを図れるというわけです。



この「民生委員の民間委託」というアイデアを「無縁社会シンポジウム」で初めて披露したところ、大きな反響がありました。民生委員の総会で話したときの好反応でした。いずれにしろ、わたしはこの日本から孤独死をなくし、無縁社会を乗り越えたいと心から願っています。その最高のチャレンジの場こそ北九州市だと思いますが、各地の互助会スタッフが民生委員のサポート業務を行えば素晴らしいですね。


営業力とは人間力そのもの!



最後に、わたしは「営業力とは生きる力そのものであり、人間力の別名かもしれない。そう、営業とは人間業そのものなのだ。これほど人間臭い仕事はないし、ある意味で、潰しがきく普遍性の高い仕事もない」と述べました。営業こそは人間が人間を相手にする仕事であり、冠婚葬祭のサービスを提供をする現場スタッフと同じく、「人間尊重」をめざす礼業なのです。参加者の目は真剣そのもので、異様なほどにランランと輝いていました。



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2015年6月11日 佐久間庸和