苔華庭と桜山

ブログ「終戦70周年の年に」で紹介したように、18日の朝に「平成心学塾」で講話を行いました。終了後、サンレー企画部の石田恭一部長と西宏課長と一緒に山口県岩国市へ向かいました。「苔華庭(たいかてい)」という庭園、さらに隣接する「桜山」を視察するためです。


現地に到着しました

黒川造園の黒川義信氏と

黒川氏より説明を聞く

やはり桜が見事でした



ブログ「浜野安宏さん」に書いたように、わたしは昨年5月20日(わたしの25回目の結婚記念日でした)に表参道にある「TEAM HAMANO」を訪れました。ここで、ライフスタイル・プロデューサーの浜野安宏さんにお会いしましたが、そのとき、黒川康生さんという方を紹介していただきました。黒川さんは、グラフィックデザイン全般を手掛けるブラック・ビーンズ(BLACK BEANS)という会社の代表です。同社のオフィスは東京都渋谷区神宮前にありますが、黒川さんご自身は山口県岩国市の出身です。お父様の黒川義信氏は岩国市で「黒川造園」を営まれ、ご自身の事業の集大成として「苔華庭」という素晴らしい庭園、さらに隣接するご自身の山を「桜山」とすべく約150種類、約1000本を植栽されています。


苔華庭が見えてきました

苔華庭を背にして

松月の桜の花が美しい・・・・・・

建物の外で語り合う



黒川康生さんのブログ「黒豆日記」には、次のように書かれています。
「私の父親は山口県岩国市にて黒川造園という造園業をしています。
人生を植木に捧げ、植木に愛されて生きてきました
そんな父親がモデル庭園として山口県岩国市の相ノ谷の地に、
32年前から10年がかりで作り上げた庭が『苔華庭』。
約600坪にわたる苔と砂利で構成された枯山水形式の庭に、
毎年5月になると江戸キリシマツツジシャクナゲが、
極楽浄土のごとき美しさで咲き誇ります。」


建物の中から苔華庭を望む

苔華庭のようす

ヤマキリシマも見事!

あまりの美しさに息を呑む



康生さんはデザイナーになるために上京され、自身の仕事と重ね合わせながら、「庭師」もデザイナーではないかと考えるようになったそうです。そして、最近では「父はアーティストなんだ」と気づいたとブログで語っています。苔華庭は、黒川義信氏が造り上げた庭園の代表作です。黒川氏が42歳の時に、「これまでお客様の庭ばかり造ってきたが、自分にもモデル庭園なるものを造るべきだ」と思い立たれたとか。


苔華庭」のパンフレット


黒川氏は理想の庭園を造るために京都の名園や石庭を数多く拝観し、偶然訪れた城南宮の茶室亭に強く感銘を受けられました。そして個人として造るには「枯山水」が理想と考え、所有する土地の中から南向きで借景も考慮しながら作庭場所を思案されます。庭の構成は、その当時よりも15〜16年前から多くの江戸キリシマツツジを挿し木して育成されたいたこともあり、このツツジを中心に苔と砂利を組み合わせ、10年の歳月をかけて岩国相ノ谷の地に「この世の極楽浄土」とも称されるほどの「苔華庭」を完成させたのです。


苔華庭(ポストカードより)

苔華庭(ポストカードより)



実際にお会いした黒川義信氏は、まるで哲学者のような雰囲気を醸し出している方でした。
苔華庭の建物でお茶とお菓子を頂戴しながら、黒川氏のお話を伺いましたが、宇宙観から自然観、そして宗教観から死生観にまで至る壮大なスケールの話で、わたしは「これほどの哲人が作った庭なのか!」と、改めて苔華庭を眺め直しました。樹木には和歌の木札もかけられており、ここにも黒川氏の豊かな教養が感じられました。


苔華庭(ポストカードより)

苔華庭(ポストカードより)



また、黒川氏は「苔華庭」に隣接する山に20数年前から桜を植え始められ、今では150種類、1000本もの桜が尾根から谷を埋め、毎年春に爛漫と咲き誇る光景は圧巻です。品種改良をして一斉に咲くソメイヨシノとは異なるため、桜の見頃は4月20日前後となっています。自然のまま開花していく希少な品種の桜には、神々しいまでの美しさがあります。
黒川氏は、「苔華庭」も含め、「桜山」を樹木葬霊園に出来ないかと考えておられるようです。無縁社会や老人漂流社会を乗り越えるべく、サンレーグループではさまざまなプロジェクトに取り組んでいますが、あらゆる方々の“永遠の棲家”となる樹木葬霊園の構想を練っていますが、この「桜山」は理想的な自然霊園となる可能性を秘めていると感じました。


桜山へ・・・・・・

桜山の入口で

桜山を登る

大きな松月がありました!



西洋人が「永遠の生命」のシンボルであるバラを愛するなら、日本人は「限りある生命」のシンボルである桜を愛してきました。国学者本居宣長は桜を日本人の「こころ」そのものとしてとらえ、「敷島の大和心を人とはば朝日に匂ふ山桜花」という和歌を詠んでいます。桜を見て、「ああ美しいなあ」と感嘆の声をあげること、難しい理屈抜きで桜の美しさに感動すること、これが本当の日本精神だというのです。そして、「散る桜 残る桜も 散る桜」という良寛の句に、日本人の死生観は集約されていると言えるでしょう。


わーっ、まさに桜の山です!

ああ、きれいだなあ!

ああ・・・・・・

石田部長&西課長も桜にウットリ♡



わが社では「人間尊重」のミッションを掲げ、冠婚葬祭を通じて、良い人間関係づくりのお手伝いを続けてまいりましたが、高齢社会を迎え、いま「住まい」への不安が深刻になっています。「衣食足りて礼節を知る」という言葉もありますが、「人は老いるほど豊かになる」という理念を実現するためにも、「住まい」への新たな提案が求められています。
すでにわが社では、ご高齢の皆様に安心して余生をお過ごしいただくため、高齢者介護施設隣人館」を運営していますが、この「終の棲家」は、いわば仮の宿です。桜は咲き誇り、やがて散っていく。人の営みも美しき花のようにありたい・・・・・・。


なんてスバラシイ!!

こんな場所で眠りたい!

赤い椿が咲いていました

とても珍しい緑の桜が咲いていました



「身寄りがなくて、死んでも入る墓がない」と嘆いておられる方々がいます。
もともと、「無縁社会」という言葉は「無縁仏」に由来します。このままでは、日本は無縁仏だらけになってしまうと言われています。いや、無縁仏でさえ入る墓があるわけですが、それすらない「死後のホームレス」が大量発生する可能性があるのです。万人が平等に安眠できるように価格設定も配慮しなければなりません。


桜に下げられた歌の木札を読む

黒川氏を質問攻めにする2人

縁側で一休み

桜の名前一覧の石碑



「人生の卒業式」ともいえるご葬儀を終え、体は緑豊かな地球に戻り、魂は天空に浮かぶ美しい月に還っていく・・・・・。自然に抱かれるエコロジカルな「樹木葬」と“魂のエコロジー”を実現する「月への送魂」が織りなす慈しみに満ちた「樹木葬霊園」は、必ずや多くの方々に永遠の安らぎをもたらすことでしょう。この「桜山」も、あらゆる方々の“永遠の棲家”として活用されることを願ってやみません。


桜山まっぷ



今年も、この素晴らしい庭園と桜山が期間限定で公開されます。
苔華庭 一般公開のご案内>
2015年4月29日(水)〜5月5日(火)
◎所在地/山口県岩国市相ノ谷99
◎観覧時間/10:00〜16:30(最終入場時間16:15)
◎入場料/お一人様300円(小学生以下無料)
◎駐車場あり。
※臨時送迎バスの運行はありません。
※5月3日(日)は岩国市二鹿にて「しゃくなげマラソン大会」が実施されますので、運転はお気を付けください。
※お問い合わせ先/黒川造園 TEL:0827―22―0359


桜山まっぷの裏



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2015年4月18日 佐久間庸和