人生儀礼の世界

20日の朝、スターフライヤーに乗って東京に来ました。
ブログ「人生儀礼オープンカレッジ」で紹介した「國學院大學オープンカレッジ特別講座〜人生儀礼への取組みをよく深く知る」がいよいよ開始されるのです。まず14時10分に國學院大學の渋谷キャンパス「常磐松ホール」に全互協「儀式創新プロジェクト」のメンバーが集合。


國學院大學の前で

常磐松ホール前のようす



14時30分からは、國學院大學オープンカレッジ特別講座の第1回「豊かに生きる:人生儀礼の世界」が開催されました。國學院大學教授の石井研士先生によって、1時間半にわたり中味の濃い講義を受けました。石井先生の講義は、「お祝いの文化」を再考するものでした。


第1回特別講座のようす



お祝いすること、お祝いされることによって、わたしたちは元気になれます。
石井先生は「みなさん、これまでの人生で何が一番楽しかったですか?」と聴講生たちに問いかけ、「それは、行事の時ではありませんか」と言われました。雛祭りやクリスマスなどの年中行事、また成人式や結婚式などの通過儀礼の時ではないかというのです。



そして、「もし『母の日』がなかったら、母親に『ありがとう』と言いにくいのではないでしょうか」と言われました。わたしは、これを聞いてハッとしました。この日はわたしの25回目の結婚記念日でした。東京に出張に行く前に、朝、妻に「25年間、ありがとう」と言いましたが、こんな機会でもなければ絶対に言えません。メモリアルがあるからこそ、わたしたちは意味としての「ありがとう」という言葉を口に出すことができるのです。


人生儀礼の意味を語る石井先生



この日、石井先生は「儀式は形式か?」「『死』をとりもどす」「嫌われる死」「『死』との微妙な距離感」「儀礼文化の再構築に向けて」といったテーマで話されました。「死」という人生の終わりだけを凝視するから辛くなるのであって、もともと儀礼文化は誕生から始まり、成人式を経て結婚し、老い、そして死んでいくのではなかったでしょうか。一日一日、一年一年を積み重ねていくことで、常に死を自覚して生を営むことをしなくても、結果として納得のいく最期を迎えられるのではないでしょうか。


國學院で講義する石井先生



儀礼の基本的な意味は「死と再生」です。年中行事や通過儀礼を経ることで、日々古い自分が死んで、新たに生まれ変わる経験を実感していくことで、どのような最後であっても受け入れられるのではないか。石井先生は、そのように述べられました。
最後の「直葬」などの最近の葬儀の簡略化の流れを紹介され、「ちゃんと亡くなった人とお別れをしなかったことの居心地の悪さ」というものを指摘されました。「居心地の悪さ」というのは言い得て妙ですね。今は、儀礼がなくなってきた果ての果てであるというのです。


講義後、松本さん(右)さんの質問に答える



講義の終了後は、司会進行を担当された國學院大學大学院博士課程(後期神道学・宗教学専攻)の松本昌子さんとの質疑応答の時間が設けられました。松本さんは「無縁社会」や「非婚化」といった問題について質問され、それに石井先生が答えていかれました。神道とは祝いの文化であることを再認識しました。そして、儀式とは人生を肯定する「かたち」です。
この日は一般の聴講生の方々をはじめ、互助会業界や互助会保証の面々も多数参加していましたが、みなさん大きな「学び」を得て満足した表情をされていました。


石井研士先生と



このたび冠婚葬祭互助会業界で支援させていただく運びとなった「國學院大學オープンカレッジ」は「年齢・性別学歴等を問わず、すべての方々に解放し、人生をより豊かな、充実したものにするための一助となることを願い、1992年(平成4年)に7講座で産声を上げた」公開講座で、22年目となる2013年度は47講座が実施されました。2014年5月20日から11月11日にかけて、全5回の「特別講座」として「豊かに生きる〜人生儀礼の世界〜」を全互協と互助会保証の共催で開催されます。最終回となる第5回は11月11日に開催され、互助会保証株式会社の藤島安之社長とわたしが「終活を考える」のテーマで対談いたします。 


豊かに生きる〜人生儀礼の世界〜



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。
*当ブログのすべての文章および写真の無断掲載を禁じます。
*当ブログにリンクを貼る場合は必ず事前承認をお願いいたします。
*当ブログ管理者へのご連絡、記事のご意見、ご感想などは、
公式サイト「ハートフルムーン」のメール機能をお使い下さい。



2014年5月21日 佐久間庸和