今年最後の平成心学塾


18日の早朝から松柏園ホテルの神殿で恒例の月次祭が行われました。
今日は佐久間進会長が欠席のため、さまざまな奉納の儀、奉献の儀をわたしが務めました。続いて、わたしが代表で玉串奉奠しました。その後、サンレー北九州の橋本洋介常務が玉串奉奠、他の社員も橋本常務と一緒に二礼二拍一礼しました。


今年最後の月次祭のようす



その後、今年最後となる「平成心学塾」が開催されました。
最初に、ブログ『慈を求めて』で紹介した新著について話しました。
そして、「この本は、今日発売されます。ブッダが説いた“慈しみ”の心は、あらゆる生きとし生けるものに注がれます。世界平和パゴダを支えるのは“慈しみ”の心です。
わたしは今、ミャンマー仏教をはじめとする上座部仏教の根本経典である『慈経』の自由訳を手掛けています。来年の2月には発表する予定です」と述べました。


平成心学塾のようす

昨日の隣人館訪問について話しました



続いて、わたしがブログ「隣人館訪問」に書いた内容を紹介し、読了したばかりの『老人漂流社会』NHKスペシャル取材班著(主婦と生活社)の感想を述べました。書評ブログは19日の深夜にアップする予定ですが、同書を読んで、いくつか思ったことがあります。
まず、老人漂流社会を乗り越えるのは、真の意味での「住」のインフラ整備をしなければならないこと。いま、生活インフラとしての「衣食住」を根底から支える企業の存在が求められています。「衣のインフラ企業」をめざすファーストリテイリングユニクロ)、「食のインフラ企業」をめざすセブンアイホールディングス(セブンイレブン)の躍進はすさまじいですね。
ところで、サンレーは「住のインフラ企業」をめざします。
現在の日本にいて求められている「住」には2つの種類があります。
すなわち、「終の棲み処」と「死後の棲み処」です。


「終の棲み処」は、昨年福岡県飯塚市にオープンした隣人館です。月額基本料金は、なんと78000円です。内訳は、家賃:33000円、管理費:5000円、食費:45000円です。
究極の地域密着型小規模ローコストによる高齢者専用賃貸住宅なのです。
飯塚市の次は、再来年あたりに北九州市八幡西区折尾に2号店を計画しています。
また、食事の調理が困難な、ひとり人暮らし、あるいは夫婦のみの高齢者世帯などへの「宅配給食事業」へ来年から参入します。『老人漂流社会』には足腰の弱ったひとり暮らしの老人が、蕎麦屋から毎日「もりそば」を出前で頼み、たまに「カツ丼」を頼むということが紹介されており、読んでいて胸が痛みました。
安価で栄養のある宅食サービスが普及すれば、ひとり暮らしの高齢者も安心です。


鎮魂の森プロジェクトについて語る



一方、「死後の住処」はブログ「鎮魂の森プロジェクト」で紹介した樹木葬の霊園(福岡県田川市)を計画しています。もともと「老人漂流社会」に先んじて「無縁社会」という言葉が叫ばれました。「無縁社会」という言葉は「無縁仏」に由来します。このままでは、日本は無縁仏だらけになってしまうと言われています。いや、無縁仏でさえ入る墓があるわけですが、それすらない「死後のホームレス」が大量発生する可能性があるのです。万人が平等に安眠できるように、「鎮魂の森」では、なんと5万円からの価格設定を考えています。
『老人漂流社会』には亡き妻の遺骨とともに“漂流”する老人が登場しますが、「鎮魂の森」が完成すれば、どなたでも安らかに眠っていただけます。


今後の高齢者関連事業について




わたしは、全国に隣人館鎮魂の森を展開すれば、日本人の「住のインフラ整備」は実現すると考えています。しかし、宅食事業という「食」のインフラ整備、高齢者介護施設や霊園といった「住」のインフラ整備も大切ですが、老人漂流社会を乗り越えるためにはもっと大切なものがあります。それが「死生観」ではないでしょうか。
本書には、愛妻に先立たれた経済的余裕のない老人が数々の施設を「たらい回し」にされたことが紹介されています。その老人は「いざという時は延命治療を望みますか」という質問に対して、「命あるかぎり延命で延ばしてほしい」と答えました。本書では、この言葉を聞いた人が「その凛とした横顔に心が震えた」とか「生きることをどんな状況でもあきらめないことが、その人のプライド、誇りだったのかもしれない」と書いています。





でも、わたしは少し違う考えです。その方が「命あるかぎり延命で延ばしてほしい」と述べた場面はテレビ放送時にも観ましたが、それはその方の死生観から出た言葉とは思えませんでした。ひたすら「生きなければいけない」「死は敗北だ」と思い込んでおられるというか、一種の思考停止状態になっているのではないかと思いました。
そして、その方が「死ぬのは怖い」と思っておられるとしたら、こんなに気の毒なことはないとも思いました。もし、この方に「死んだ女房にも早く会いたいんだけどなあ」といった考えが少しでもあれば救われたのではないかと思います。
また、この老人をはじめ、長年連添った妻を亡くした男性の悲哀が本書の全篇を通じて漂っていました。この方々は、愛妻を亡くした悲しみに打ちひしがれたまま、生を終えられたように思います。その孤独の深さはいかばかりだったことでしょう。
まさに、この方々にはグリーフケアが必要であったと思います。


天下布礼への想いを述べました



「命あるかぎり延命で」と述べられた老人は、その後、亡くなります。
その方は生活保護を受けていたため、自治体によって火葬、埋葬されました。
NHKの担当者が火葬が行われる葬儀所に行ってみると、そこには地域包括支援センターの担当者だけが来ていたそうです。わたしは、世の中には誰ひとりも参列に来ないという孤独葬が存在するということを知っています。ですから、地域包括支援センターとNHKから1人づつ、計2人が火葬に立ち会ったというのはまだ幸せなほうだと思います。しかし、NHKスペシャルで「老人漂流社会」を放送した直後、この老人を励ます手紙やメールなどが大量に届いたとのこと。そのような人々が「隣人」として葬儀に立ち会うことは不可能だったのでしょうか。正直言って、わたしには、そのことが気になりました。
ここまでで、今年最後の平成心学塾は終了しました。



続いて、サンレーの社内報告会に移りました。
今日のテーマは「今年を振り返って」ということで、橋本常務をはじめ、中野正行取締役、松田哲男取締役、それから祐徳秀信部長が壇上に上がって、今年を総括しました。
今年は、当初から大きな目標を掲げて突き進んだ1年でしたが、みんな全力でよく頑張ってくれました。あと14日を残していますので目標を完達できるかどうかはまだわかりませんが、会社としては大きく前進した年でした。
来年は、さらに大輪の花を咲かせるべく、一致団結して精進したいと思います。
最後に、わたしが再び登壇して「わが社のさまざまなプロジェクトは、すべて日本人の幸福にダイレクトに関わっています。人間尊重の精神を基本とする礼業であることに誇りを持って下さい。そして、来年も天下布礼に励みましょう!」と述べました。


来年は、さらに大輪の花を咲かせましょう!



終了後、わたしは待機していた車に乗り込み、北九州空港へ。
11時40分発のスターフライヤーに搭乗して、東京へ向いました。
18日の15時から大塚のホテルベルクラシックで開かれる全互協の正副会長・委員長会議に出席するためです。夜は、そのまま懇親会に参加します。また、翌19日には早朝から「慈経」の自由訳の打ち合わせをはじめ、数件の打ち合わせを行った後、午後からは神谷町の互助会保証で全互協「儀式創新プロジェクト会議」に参加します。来年1月の全互協新年祝賀会において、わたしが講演を行うことになったため、その打ち合わせも兼ねています。
このように非常に慌しい日々ですが、風邪など引かないように頑張ります!
あと、くれぐれも酒を飲み過ぎないようにしないと!(苦笑)



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2013年12月18日 佐久間庸和