社長が評価 正社員に

みなさんは、「新聞週間」というのをご存知ですか?
日本新聞協会が1948年(昭和23年)から毎年10月、1週間にわたって催している年中行事です。その主眼は、読者に新聞の重要性を知らせ、新聞と読者との結び付きを強化すること。それと同時に、新聞・放送に携わる者が「言論・報道の自由」を守り、いっそうの発展を期する覚悟を新たにすることを目標にしているそうです。
今年は、10月15日から21日までが「新聞週間」でした。それが明けた22日、沖縄から新聞が送られてきました。「沖縄タイムス」10月16日朝刊です。


沖縄タイムス」10月16日朝刊



見ると、「私が載った日 〜新聞週間に寄せて」という特集で、「社長が評価 正社員に
多和田陽介さん(21) 〜成人式の日に国際通りを清掃」という記事が掲載されていました。
わたしも、多和田君のことはブログ「沖縄の新成人」で紹介しています。
多和田君は、今年の4月にサンレー沖縄の正社員になりました。



送られてきた「沖縄タイムス」の記事には、以下のように書かれていました。 
「1月の成人式当日に、中学の同級生と国際通りで、はかま姿で清掃しました。沿道の店や通行人だけでなく、ネット上でもたくさん『いいね!』と反応がありました。勤務先の社長も記事を読んで『素晴らしい』と評価してくれました。それまで契約社員でしたが、4月から正社員になりました。こんなに早く正社員になれるなんて、ほんとミラクル。
清掃開始前に『何かやらかすんじゃないか』と疑った那覇署員からは謝罪の電話があり、ビールとコーラをケースで贈ってくれました。僕らの行為をちゃんと見てくれている人がいると分かりました。その後もごみのポイ捨てはしてません。
『誰かに見られているかも』と良い緊張感を持てています。(豊見城市)」



わたしは、この記事を読んで驚きました。社長であるわたしが、「素晴らしい」と評価して、多和田君を正社員にしたことは事実です。そんなことよりも、最初は「何かやらかすんじゃないか」と疑った那覇署員から謝罪の電話があり、ビールとコーラをケースで贈ってくれたという事実に驚いたのです。全国的に警察官の不祥事が多い中で、那覇署は素晴らしいですね!
それから、多和田君は「『誰かに見られているかも』と良い緊張感を持てています」と述べていますが、その通り! たとえ、そこに誰も人がいなくても、お天道さまが見とるぞ!!


沖縄タイムス」1月14日朝刊



「20歳の自覚」と大きく書かれた新聞記事を最初に目にしたとき、わたしは本当に涙が出るほど嬉しかったです。今年の1月23日の夜はマリエールオークパイン那覇で賀詞交歓会を行いましたが、最初の主催者挨拶で満場のお客様にもこの話を紹介させていただきました。わたしが孔子文化賞を受賞した理由として、世界孔子協会の孔健会長は「礼の実践である」と言って下さいましたが、まさに今回の新成人たちの行いこそ「礼の実践」です。
以前、荒れる成人式を憂慮するあまり、わたしは「守礼」と書かれた幟を持って会場に乗り込み、成人式を妨害する若者たちを叱責しようと考えたことがあります。そのときは、社員の反対に遭って断念しましたけれども・・・。でも、そのような強引な方法を取らずとも、多和田君たちが行ったことのほうがずっと効果は大きかったと思います。
あいやー、それにしても、こんな方法があったとは!
わたしにも、まったく思いつきませんでした。
まさに、「こころのコロンブスの卵」ではありませんか!



特に「えらいなあ!」とわたしが心底思ったのは、心ない他の新成人たちが冷やかしで清掃する多和田君たちに小麦粉を振りまいたときの対応です。
多和田君たちは、無法者を一切相手にせずに冷静にちりとりですくったのです。
これを知ったときは本当に、一本取られた思いがしました。20歳当時の血の気の多いわたしだったら、小麦粉を振りまいた連中を大外刈りで投げるか、正拳突きやローキックをお見舞いしたかもしれません。その結果、大乱闘になって、周囲の人々から「これだから、最近の若い者は・・・」などと眉をひそめられるのがオチだったと思います。



多和田君にこのような立派な行為ができたのは、もしかすると、彼が結婚式場の宴会サービス係という仕事をしているせいかもしれません。日々、お客様と接していく中で、自然とホスピタリティ精神を発揮する習慣がついていたのではないでしょうか。
昨夜の賀詞交歓会では、沖縄銀行の玉城義昭頭取から「礼を求めるサンレーさんこそは、ホスピタリティ・カンパニーそのものです」との過分な御挨拶を頂戴しました。まだ至らない点は多々ありますが、わが社が「ホスピタリティ・カンパニー」をめざしていることは事実です。
社長として、わたしは多和田君のような社員を心から誇りに思います。多和田君は、今日もマリエールオークパイン那覇の宴会サービス担当として元気に頑張っています。
最後に、「沖縄タイムス」さん、たびたび弊社の社員を登場させていただき、ありがとうございました。良い励みになったことと思います。心より感謝申し上げます。



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2013年10月23日 佐久間庸和