プラトン(2)


人間の最終目的とは「一者」への合一である




言葉は、人生をも変えうる力を持っています。
今回の名言は、古代ギリシャの哲学者プラトンの言葉です。
プラトンの宇宙をとらえ方は独特です。その根本思想は、この現実界は仮の世界であって、イデアの世界という真の世界が存在するというものです。さらに、世界は、その根元における「一者」を頂点として成り立っているというのです。


プラトンの哲学 (岩波新書)

プラトンの哲学 (岩波新書)


「一者」とは、もっとも単純なものであり、あらゆるものがそこから出現していく多様性と統一性であり、「善」であると同時に「完全」でもあるといいます。
「一者」は、全宇宙に偏在しており、自然の事物の1つ1つの中には必ず「一者」が隠されている。人間は、仮の住まいである肉体を去って、魂の目によって宇宙を見るとき、その中に真の秩序としての「コスモス」を見る。このコスモスは人間の魂の中の内的宇宙でもあり、ここにおいてマクロコスモスとミクロコスモスは合一します。



プラトンによれば、人間の最終目的とは、「一者」への合一にほかなりません。
それを果たすのは、魂が肉体を去るという「解脱」であり、それとともに魂の「帰還」の旅です。人間は、本来の魂の故郷であるイデア界に「帰還」すべき存在なのです。
このような一見、宗教的とも思えるプラトンの宇宙観、霊魂観は、その後もルネサンスの新プラトン派の人々をはじめ、多くの哲学者たちに多大な影響を与え、その影響は現在にいたるまで続いています。



このように、プラトンの思想のキーワードの1つは「一者」であると言えますが、これは「神」の別名であることがお分かりいただけると思います。
プラトンの求めた宇宙の「法則」には「神」が関わっていたのです。
なお、今回のプラトンの言葉は、『法則の法則』(三五館)にも登場します。


法則の法則―成功は「引き寄せ」られるか

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2013年9月18日 佐久間庸和