お盆の豊かな意味

8月を迎えるにあたり、世間のお盆への関心が高まっています。
ブログ「お盆の心得」で紹介した情報誌が刊行されました。
10万部を発行する朝日新聞系の「タウンペーパーQ」という情報誌です。


「タウンペーペーQ」8月号より



フロントページにわたしが登場して、インタビューに答えています。
タイトルは「自分が今ここに在ることの感謝を呼び起こすお盆。その豊かな意味。」です。
「お盆の時期、ふるさとに帰って、久しぶりに親族とふれあい、なき人のありし日を偲ぶ方も多いことでしょう。この特集では、株式会社サンレー代表取締役社長の佐久間庸和さんに、お盆が本来もつ意味や儀式の力などについて語っていただきました。佐久間社長の深い考察にもとづく言葉は、お盆をとらえ直す示唆に富んでいました」というイントロダクションに続いて、以下のように書かれています。



【お盆は、鎮魂の季節のクライマックス】
――8月、もうすぐお盆ですね。
8月は鎮魂の季節です。6日は広島原爆の日、9日は長崎原爆の日、12日は御巣鷹山日航機墜落事故の日、15日は終戦記念日で、3日おきに日本人にとって意味のある日が訪れます。そして、クライマックスとしてお盆が来ます。
お盆は亡くなった先祖が1年に1度だけ家に帰ってくるといわれ、迎え火で先祖を迎え、家の仏壇でもてなし、再び送り火であの世に帰っていただく風習です。迎え火や送り火の代わりとして提灯を飾ります。お盆は日本人の心を支えている重要な柱だと思います。



【歴史(history)は、個人の物語(his story)が織りなす壮大な集積体】
自分の血液の中には、無数の先祖たちの血が流れています。親や祖父母、先祖たちがいたから、自分がいるんです。そういう意味で、お盆は、自分が今ここに在ることの感謝の気持ちを呼び起こす大事な機会です。
そして、先祖たちに想いを馳せ、感謝することによって人は心の平安を得ることができます。
――先祖たちの数々の人生の上に、私たちは生きているんですね。
どんな故人にも、その人なりの人生があり、物語があります。歴史(ヒストリー)とは、個人の物語(ヒズ・ストーリー)の集積体なのです。
――命が連綿と続くなか、私も自分の物語を生きていると思うと、心がふくらんできます。



【コロコロ動く不安定な心を安定させるには・・・】
最近、私は、東大病院の矢作直樹医師と対談した『命には続きがある』(PHP研究所)という本を出しました。私は本の中で、死者とのコミュニケーションツールを持つ古代の部族が生き残り、先祖とつながっている部族は心が安定していたという仮説を紹介しています。
コロコロ動く不安定なものというのが「ココロ」の語源だそうです。そんな凧のようになびく心を安定させるには、血縁という縦糸と、地縁という横糸が必要だと思います。だから、お盆で先祖を迎える行事をすることで、人の心は安定するのではないでしょうか。
――お盆の意味を再認識しました。



【ゆがんだ時間と空間をいったん、儀式で断ち切る】
なぜ、1年で最も暑く、疲労とストレスが溜まる時期にお盆があると思いますか?それは、お盆こそが心身の疲労とストレスを取り除く日本独自の文化装置だからです。そして、大切な家族を亡くされた方々にとっては、最大のグリーフケアのシステムでもあります。一番しんどいときに、心を癒すという日本人の生活の知恵です。
――お盆が、グリーフケアを果たす、つまり悲しみを癒すのですね。
いったん、お盆やお葬式といった儀式の力で時間と空間を断ち切ってリセットし、もう1回、新しい時間と空間をつくって生きていく。そういう意味が、儀式にはあると思うんです。もし、お葬式をしなかったらどうなるか。そのまま何食わぬ顔で次の日から生活しようとしても、喪失でゆがんでしまった時間と空間をつくり直すことができず、心が悲鳴をあげてしまうのではないでしょうか。儀式には、人を再生する力があるんです。
――お話を伺って、これから、お盆の迎え方が変わってくる気がします。


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2013年7月31日 佐久間庸和