ガバナー公式訪問

この記事で、当ブログの200本目の記事となります。
今日は金曜日なので、ロータリークラブのある日です。
本日、小倉ロータリークラブは「ガバナー公式訪問」の日でした。
ガバナー(Governor)とは、所管地区のクラブによって指名(ノミネート)され、国際ロータリー(RI)の国際大会にて選挙(エレクト)される、RIの管理役員です。


今日の例会のようす



英国の俗語では、ガバナーには「親父」や「父親」といった意味合いがあるそうです。
また、ガバナーという存在には、「ロータリアンの中のロータリアン」といった印象があります。ガバナーになるためには、いくつか条件があります。
1つまたはいくつかのクラブで通算7年以上会員であること。
クラブ会長を全期務めた経験が必要とされること。
その他にも、職業分類の正当性が疑問の余地なきものであること、その任務に耐え得る能力があるということ、また健康であるということなどなど、いろいろ細かい条件があります。
とにかく、ガバナーが訪問してくるというのは、盆と正月が一度に来たようなロータリークラブにとっては年間最大の「ハレ」の日であると言えるでしょう。


穴井ガバナーを紹介する二村会長



ガバナーの公式訪問は、ガバナー自身が地区内の各RCを訪問します。
そこには、以下のような目的があると定義されています。
●重要なロータリーの問題に主眼を置き、関心をもたせるため
●弱体あるいは問題のあるクラブに特別な関心を払うため
●ロータリアンに意欲を起こさせ、奉仕活動に参加させるため
●地区内におけるロータリアン個人の卓越した業績を表彰するため
それにしても、半年間で60くらいのクラブを訪問して回るのですから、大変です。
しかも、この猛暑です。よほど体力に自信のある方しかガバナーは務まりませんね。



わたしたちのRI第2700地区ガバナーは、穴井元昭ガバナーです。
穴井ガバナーは1932年、福岡県久留米市のご出身で、所属クラブは博多ロータリークラブです。九州大学医学部医学科をご卒業され、九大の博士研究員としてアメリカで分子生物学の研究をされています。九州大学医療技術短期大学の教授、名誉教授を歴任されて、現在は(株)シー・アール・シー中央研究所の名誉所長を務めておられます。もともと国立大学の研究者だけあって、非常に知的で落ち着いた印象の方でした。



二村会長からの紹介の後、穴井ガバナーによる記念卓話がありました。
穴井ガバナーは、とにかくロータリー活動における「奉仕」の重要性について強調されていました。日本のロータリークラブでは、奉仕と親睦が半々というか、親睦重視のカラーが強過ぎるとされているそうです。しかし、ロータリー創始者であるポール・ハリスは「ロータリーの哲学はサービスにある」と明言しています。そして、「最もよく奉仕する者は、最もよく奉仕される者である」とのスローガンを残しました。
また穴井ガバナーは、「社会奉仕は人間最大の道楽である」というポール・ハリスの言葉を紹介されました。ゴルフよりも切手集めよりも、どんな趣味よりも心を豊かにしてくれるのが奉仕であり、奉仕する側はされる側よりもずっと幸せであるというのです。



わたしはそれを聞いて、拙著『ハートフル・ソサエティ』(三五館)の「ホスピタリティが世界を動かす」で紹介したアメリカの思想家エマソンの言葉を思い出しました。
エマソンは、「心から他人を助けようとすれば、自分自身を助けることにもなっているというのは、この人生における見事な補償作用である」と言いました。
真の奉仕とは、助ける人、助けられる人が1つになるわけです。
どちらも対等なのです。相手に助けさせてあげることで、自分も助けているのです。相手を助けることで、自分自身を助けることになっているのです。まさにこれは、与えること、受けることの最も理想的な円環構造と言えるでしょう。その輪の中で、どちらが与え、どちらが受け取っているのかわからなくなります。それはもう、1つの流れなのです。


ハートフル・ソサエティ

ハートフル・ソサエティ


エマソンといえば、「引き寄せの法則」の源流となったニューソートに多大な影響を与えた思想家です。わたしは、彼の思想は明らかにロータリークラブの哲学にも影響を及ぼしていると思います。おそらく、ポール・ハリスはエマソンの著書を愛読していたのではないでしょうか。いつか機会があれば、ロータリー理念のDNAを探ってみたいですね。
なお、『ハートフル・ソサエティ』は、「ロータリーの友」2006年1月号で「推薦図書」として紹介されたことがあります。内容がロータリーの理念に通じているとのことでした。
当時のわたしは、小倉南ロータリークラブに所属していましたが、なつかしい思い出です。



ガバナー記念卓話の終了後は、全員でホテルの写場に移動し、記念撮影をしました。
そのとき、職業奉仕委員長である東洋合金(株)の萩正博社長が「佐久間さんのブログ、すごく楽しみに読んでいますよ」と声をかけて下さいました。ありがたいことです。こういう言葉をかけていただくと、本当に励みになります。特に、小倉ロータリークラブの「IT番長」的な存在である萩社長のお言葉だけに嬉しかったです。へっぽこブログですが、少しでもロータリー精神と活動の様子を多くの方々に知っていただければと願っています。


良い意味での緊張感がありました



わたしが小倉ロータリークラブに入会して初のガバナー公式訪問でしたが、これまでとはまた違った良い意味での緊張感がありました。この緊張感の中で、ようやくわたしも「ああ、自分も小倉クラブの一員になったのだな」という実感が湧いてきました。例会が終了すると、わたしは急いでリーガロイヤルホテル小倉からサンレー本社に戻りました。今日は、サンレーグループの「全国経理責任者会議」が行われ、社長訓話をしなければならないのです。



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2013年7月26日 佐久間庸和