アートで街づくり

今日の「毎日新聞」朝刊に第11回目の「北九州発 ハートフル通信」が掲載されました。
今回のタイトルは、「アートで街づくり」です。


毎日新聞」7月26日朝刊



ブログ「原田マハ講演会」に書いたように、先日、作家の原田マハさんの講演会が小倉で開催されました。美術館キュレーターの経験がある原田さんは、ブログ『楽園のカンヴァス』や、ブログ『ジヴェルニーの食卓』で紹介した「美術」をテーマにした小説で知られます。講演のテーマは「アートで街は、必ず変わる。」というものでした。かつて、原田さんは「セントラルイースト東京」というプロジェクトに関わったとか。ニューヨークの「チェルシー」のように、東京の東部を「日本のチェルシーにする」という構想で始められたプロジェクトです。



街を変えるための鍵として、「クリエイティブな人々の気持ちを引きつける仕掛け」、「地元の歴史や文化を再考し、再評価する努力」、「自発的な活動を見守る、いい意味での放任主義」という3点が参考になりました。最後に「わたしたちはクリエイティブ・クリーチャー。クリエイティブを信じることは、人間を信じること」という言葉が心に残りました。



原田さんの「セントラルイースト東京」と同じく、北九州の「創を考える会」も今年で10周年を迎えます。そのシンボル的存在が、同会の理事でもある染織家の築城則子さん。小倉織という伝統文化を復活したことで知られる方です。
小倉織は、徳川家康も愛用していたとされています。司馬遼太郎の小説によく「小倉袴」という語が出てきますが、幕末維新の志士たちにも愛用されていたようです。さらには、夏目漱石の『坊っちゃん』冒頭には、主人公の坊っちゃんが小倉袴で松山入りしたとあります。



久しく途絶えていた小倉織の伝統を築城さんが復元したのです。現在では、数多くの賞を受賞されています。その築城さんの「北九州をアートのある街に」という熱い想いで、2004年に「特定非営利活動法人創を考える会・北九州」は誕生しました。
理事長には岡野バルブ製造の岡野正敏会長が就任されています。
じつは、わたしも同会の会員になっています。



創を考える会」が現在特に力を入れていることは2つあります。
1つは、地元作家である「平野遼」の作品展示・紹介、修復活動、管理。
わが社でも多くの平野作品を所蔵しているので、大いに協力させていただく所存です。
もう1つは、ものづくりの街・北九州の特性を生かした「街じゅうアートin 北九州 ものづくり・ものアート」の開催。企業から提供された材料や技術をもとに作家が作品を制作し、それを街中に置いて気軽に楽しんでもらう展覧会です。
「美」は人々の心に潤いを与え、街を活性化させます。
そう、アートが北九州を元気にするのです!



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2013年7月26日 佐久間庸和