トップ保険サービス講演


4日の夕方から、小倉で講演を行いました。
主催は創業87年のトップ保険サービス株式会社で、場所は小倉の中心地の米町1丁目にある同社の本社会議場でした。野嶋康敬社長は、わたしの高校の同級生です。
野嶋社長の呼びかけで、同社では毎週月曜日の早朝から『論語』をはじめ、『孫子』、『韓非子』、さらにはドラッカーの『マネジメント』などを読む勉強会を行っているそうです。


トップ保険サービス本社の前で

なんと、社内に茶室がありました!

一条本」を持つ野嶋社長



トップ保険サービスの本社はとても立派なビルの中にあり、裏千家の茶道を嗜む野嶋社長の趣向で社内に本格的な茶室まで設置されていました。
さらには、さまざまな図書を収めたコーナーもあり、わが「一条本」もしっかり置かれていました。こうした心遣いも嬉しいですが、なによりオフィスの素晴らしさに圧倒されました。
昨日からの北九州の集中豪雨で水害が発生し、損害保険会社のトップ保険サービスさんは大変な忙しさだったはずですが、みなさん会議室に集まり、講演を聴いてくれました。


「ハートフル・マネジメント」について話しました



講演のテーマは、「ハートフル・マネジメント〜心の経営〜」でした。
まず最初に、孔子の話からスタートしました。
わたしは、人類が生んだあらゆる人物の中で孔子をもっとも尊敬しています。孔子こそは、人間が社会の中でどう生きるかを考え抜いた最大の「人間通」であると確信しています。
その孔子が開いた儒教とは、ある意味で壮大な「人間関係学」です。


孔子の思想について説明しました



孔子は「仁」「義」「礼」「智」といった人間の心にまつわるコンセプト群の偉大な編集者でした。彼の言行録である『論語』は千数百年にわたって、わたしたちの先祖に読みつがれてきました。意識するしないにかかわらず、これほど日本人の心に大きな影響を与えてきた書物は存在しません。特に江戸時代に徳川幕府儒学を奨励するようになると、必読文献として教養の中心となりました。儒学は、武士階級のみならず、庶民の間にも普及したのです。


論語』のエッセンスを述べました



そして江戸時代の日本において、『論語』で孔子が述べた思想をエンターテインメントとして見事に表現した小説が誕生しました。滝沢馬琴が書いた『南総里見八犬伝』です。
この本は、江戸時代における最大のベストセラーになりました。
その中に登場する八犬士が持っていた玉には、それぞれ「仁」「義」「礼」「智」「忠」「信」「孝」「悌」の文字が浮かび上がりました。この8つの文字こそ、孔子儒教思想のエッセンスとしてまとめたコンセプト群であり、日本人が最も大切にした「人の道」のキーワードでした。


「義」について語りました

「礼」について語りました



わたしは、「仁」「義」「礼」「智」「忠」「信」「孝」「悌」についての話をしました。
「義」の項目では、ブログ「サンダーバード」に書いた忌まわしい事件や秋葉原事件のことなどを話しました。「礼」の項目では、孔子は高貴な人にだけでなく、障害者や高齢者などをはじめ、あらゆる人に礼を尽くしたことを述べました。
そして、「礼」とは「人間尊重」であると訴えました。


真剣にメモを取りながら聴いてくれました



孔子に続いて、ドラッカーの話もしました。
2001年10月に冠婚葬祭会社の社長に就任して以来、経営学ピーター・ドラッカーの全著作を精読し、ドラッカー理論のもとに会社を経営していると自負しています。
彼の遺作にして最高傑作『ネクスト・ソサエティ』(ダイヤモンド社)に感動し、同書の内容をわたし個人に対するドラッカーからの問題提起ととらえ、『ハートフル・ソサエティ』(三五館)というアンサーブックを上梓したくらい彼をリスペクトしています。
また、40歳を直前にして「不惑」たらんとし、その出典の『論語』を40回読みました。
古今東西の人物のなかでもっとも尊敬する孔子が開いた儒教の「礼」の精神を重んじ、「礼経一致」をもって会社経営にあたっています。そんなことをお話しました。
みなさん、真剣にメモを取りながら聴いてくれました。


講演後には鋭い質問も出ました

講演後に記念撮影をしました



そして、孔子ドラッカーの両者の思想における共通点を説明しながら、「人が主役」「人はかならず心で動く」などを訴えました。90分の講演を終えると、盛大な拍手を頂戴しました。
講演後は、いくつかの質問を受けましたが、なかなか鋭いものが多かったです。
「さすが、早朝から『論語』を勉強している会社だな」と感心しました。
質問に答えてから、みんなで記念撮影をしました。


懇親会のようす



それから、懇親会が魚町の高級料理店で開かれました。
わたしは、野嶋社長の隣に座って、みなさんとの会話を楽しみました。また、美味しい料理を味わいながら、生ビールやレモンサワーをガブガブ飲みました。
トップ保険サービスの社員のみなさんは本当に人間性のある素晴らしい人ばかりで、こんな素敵な会社を築き上げた野嶋社長を同級生として心から誇りに思いました。その後も、野嶋社長と二人で飲み歩き、カラオケもそれぞれ20曲づつぐらい歌いましたが、非常に有意義かつ楽しい時間を過ごすことができました。



トップ保険サービスのみなさん、いろいろとありがとうございました。
みなさんとお会いできて、とても嬉しかったです。
今後とも、よろしくお願いします。
野嶋社長も、ありがとうございました。



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2013年7月5日 佐久間庸和