お盆とは何か

ブログ「香春紫雲閣竣工式」に書いたように、10日の11時から香春紫雲閣の竣工神事が田川で行われました。直会を終えた後、わたしは佐久間会長とともに北九州市小倉南区紫雲閣の建設候補地を視察しました。想像していた以上に素晴らしい立地で、一目で気に入りました。早速、交渉を詰めたいと思います。紫雲閣はまだまだ増え続けます!


西日本新聞会報誌の取材風景



その後、小倉のサンレー本社に帰り、夕方から取材を受けました。
西日本新聞が主宰する「路地裏オトナ塾」の会報誌の取材です。
全部で4回シリーズのインタビューで、一貫したテーマは「冠婚葬祭を考える」です。
今回は第2回目になります。第1回目の取材は2月14日のバレンタインデーでした。
そのときの様子は、ブログ「チョコと取材」で紹介しました。
ブログ「最後のセレモニー」で紹介したように、前回は「今をいかに生きるかで変わる、人生最後のセレモニー」というタイトルで、葬儀を行う意味についてお話しました。
今回は、法事・法要・・・・・特に「お盆」について話しました。


お盆について話しました



日本人にとって最も大規模な先祖供養の季節は、「お盆」の時期でしょう。 
「盆と正月」という言葉が今でも残っているくらい、「お盆」は過去の日本人にとっての楽しい季節の1つでした。1年に1度だけ、亡くなった先祖たちの霊が子孫の家に戻ってくると考えたからです。日本人は、古来、先祖の霊によって守られることによって初めて幸福な生活を送ることができると考えていました。その先祖に対する感謝の気持ちが供養という形で表わされたものが「お盆」なのです。1年に1度帰ってくるという先祖を迎えるために迎え火を燃やし、各家庭にある仏壇でおもてなしをしてから、再び送り火によってあの世に帰っていただこうという風習は、現在でも盛んです。


さまざまな質問を受けました



同じことは、春秋の彼岸についても言えます。
この場合、先祖の霊が戻ってくるというよりも、先祖の霊が眠っていると信じられている墓地に出かけて行き、供花・供物・読経・焼香などによって供養するのです。
それでは、なぜこのような形で先祖を供養するかというと、もともと2つの相反する感情からはじまったと思われます。1つは死者の霊魂に対する恐怖であり、もう1つは死者に対する追慕です。やがて2つの感情が1つにまとまってきます。
死者の霊魂は、死後一定の期間を経過するとこの世におけるケガレが浄化され、「カミ」や「ホトケ」となって子孫を守ってくれるという祖霊になるのです。


さまざまな質問に答えました



かくて、日本人の歴史の中で、神道の「先祖祭り」は仏教の「お盆」へと継承されました。そこで、生きている自分たちを守ってくれる先祖を供養することは、感謝や報恩の表現と理解されてくるわけです。しかし、個々の死者に対する葬式や法事の場合は、死霊に対する感謝や報恩といった意味よりも、追善・回向・冥福といった意味のほうがはるかに強いと思います。すなわち、死者のあの世での幸福を願う追善と、子孫である自分たちを守ってくれていることに対する感謝とにまとめられるのです。
どんな人間にも必ず先祖はいます。しかも、その数は無数といってもよいでしょう。
これら無数の先祖たちの血が、たとえそれがどんなに薄くなっていようとも、必ず子孫の1人である自分の血液の中に流れているのです。


日本人の「こころ」は、お盆を必要としています



「おかげさま」という言葉で示される日本人の感謝の感情の中には、自分という人間を自分であらしめてくれた直接的かつ間接的な原因のすべてが含まれています。そして、その中でも特に強く意識しているのが、自分という人間がこの世に生まれる原因となった「ご先祖さま」なのです。盆踊りも花火も、もともとはご先祖さまのためのエンターテインメントでした。
日本人の「こころ」は、お盆を必要としています。
お盆の時期はぜひ、ご先祖さまをお迎えして、こころ豊かな時間を過ごして下さい。
今回インタビューを受けた記事ですが、7月末に刊行される会報誌に掲載されるそうです。
なお、読者の方々に拙著『ご先祖さまとのつきあい方』(双葉新書)を抽選で10冊プレゼントいたします。「お盆、お彼岸、墓参り、そして無縁社会を乗り越える生き方」というサブタイトルがついた日本人のための本です。どうぞ、お楽しみに!


ご先祖さまとのつきあい方 (双葉新書(9))

ご先祖さまとのつきあい方 (双葉新書(9))

ところで、11日の朝は小倉駅から九州新幹線“みずほ”で鹿児島へ向かいます。
18時半から、わたしの講演会が鹿児島市内で行われます。テーマは「グリーフケアの時代」です。翌12日は、知覧特攻平和会館および維新ふるさと館などを視察してから小倉に戻る予定です。それでは、行ってきます!


*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2013年6月11日 佐久間庸和