命の終わりを想う

なつかしいわが社のCMを、YouTubeで見つけました。
紫雲閣のCMなのですが、1997年の製作で、もう16年以上も前の作品です。
たしか、「命の終わり編」という名前のCMであったと記憶しています。


CMには、通勤途中と思われる多くの人々が歩く後姿が映し出され、その上に歴史上のあらゆる人物の死亡年齢のクレジットが流れていきます。中原中也 30歳、シューベルト 31歳、坂本龍馬 32歳、松井須磨子 33歳、土方歳三 34歳、モーツァルト 35歳、モディリアーニ 36歳、ゴッホ 37歳・・・・・といった具合に続きます。


放映時、大きな話題になりました



重厚な音楽とともに、「命の終わりを想うことで、生きることの素晴らしさがわかります。大切な人を送る・・・・・」というナレーションが重なり、最後は「サンレー 紫雲閣」と大きく映し出されます。あの当時、お茶の間に「死」をダイレクトに表現したメッセージが流されたことで大きな話題になりました。「死」がまだ大きなタブーであった時代によく製作し、流せたものだとは思いますが、担当者はもちろんわたしでした。視聴者の方からは「哲学的で素晴らしいCMですね」といった好意的な声を多く頂戴したように思います。


思い出ノート』と「著名人の死亡年齢」のページ



このCMのアイデアは後に、わたしが監修した『思い出ノート』(現代書林)の中で復活しました。同書の〈資料3〉として、「著名人の死亡年齢」一覧を掲載したのです。
p.83からp.87まで5ページにわたって掲載しましたが、かなりの反響がありました。
これを読んだ人は、「死なない人はいないのだ」という事実を受け入れやすくなるというのです。たとえば坂本龍馬を尊敬している人ならば、「龍馬は32歳で死んだ。自分はもうその倍も生きているのか」との感慨を抱いたりするわけです。
わたしの場合も、三島由紀夫を愛読してきましたが、彼が自害を遂げた45歳を迎えたとき、「これから、三島の人生以上の年月を自分は生きるのだ」としみじみ思いました。






思い出ノート』「著名人の死亡年齢」より



誰でも死ぬのは怖いものです。でも、「死の不安」を軽くするための方法はあります。
そのうちの1つが、有名人の死を知ることによって「死に慣れる」ことでなないかと思います。そして、死を想うことで生が見直され、「命」が輝くことは言うまでもありません。
「命」といえば、東大大学院教授で東大病院部長の矢作直樹氏との対談本である『命には続きがある』(PHP)が6月19日に刊行されます。そう、「命の終わり」を想うことで、「命には続きがある」という真実を知るのです。どうぞ、お楽しみに!


思い出ノート ([バラエティ])

思い出ノート ([バラエティ])

*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2013年5月27日 佐久間庸和