森信三(1)


人生二度なし




言葉は、人生をも変えうる力を持っています。
今回の名言は、「哲人教育者」と呼ばれた森信三の言葉です。
多くの教師を指導した森信三は、生涯にわたって「人生二度なし」と訴え続けました。
中学あるいは高校を卒業後に社会に出て働いている人たちのために、同名の著書も書いています。この本には人生そのものについて考えるべき基本的な問題が書かれていたので、広く一般の人々にも読まれました。


人生二度なし (Chi Chi・Select)

人生二度なし (Chi Chi・Select)


同書の最後には、「人生二度なし」と題された有名な講演録が掲載されています。
昭和36年に「職業訓練所」で学習している青少年のためになされた講演です。
森信三は、まず「どうぞ諸君、ゆっくりと、固くならないように聞いて下さい」と生徒たちに呼びかけた後、技術を身につけて「学歴にたよらぬ生き方」の尊さを説きます。
しかしながら、その上で「教養とたしなみ」の重要性を強調し、ついには「人生二度なし」という自らの人生観の根本を次のように示すのです。
「この人生というものは、二度と繰り返すことのできないものである。だからわれわれは、自分がもって生まれた能力を、ぎりぎりのところまで発揮した上で棺桶に入るというくらいの意気込みがなくてはいけない」



昨日、わたしは50歳になりました。とうに人生を折り返し点を通過し、「人生二度なし」という言葉の重みを噛み締める今日この頃です。
わたしは、二度とない今生を「天下布礼」に捧げる覚悟です。
すなわち、「人間尊重」思想を広めることに尽くしたいです。最後に、「人生二度なし」というのは今生は1回限りという意味であり、前生や来生というものはあると思っています。


*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2013年5月11日 佐久間庸和