あなたの声を、一歩を


福岡県は、全都道府県の中で最も映画館の数が多いそうです。北九州市の周辺にも多くのシネコンがあり、映画を観賞する環境としてはまことに恵まれています。わたしもよく北九州で映画を観るのですが、最近、とても素晴らしいCMが映画館に流れています。「人権」をテーマに北九州市が製作したものですが、初めて観たときは非常に感動しました。


このCMには、3人の「困っている人」が登場します。
1人目は、車椅子に乗った老婦人。
違法駐輪された大量の自転車のために途方に暮れています。
2人目は、顔を膝に埋めて泣いている小さな男の子。
彼は、どうやら虐待されているようです。
3人目は、目の不自由な障害者が駅のホームに立っています。
彼は杖を頼りに歩こうとするのですが・・・・・。



いずれも、観る者の心がかきむしられるような場面です。
誰もが、「このままではいけない」と思うことでしょう。
「何とかしてあげなければ!」と思う人もいるでしょう。
でも、この映像を観ている観客には、何もできません。
そして、最後には感動を呼ぶラストが待っています。
映画館を劇場に置き換えたアイデアが秀逸ですね。



このCMですが、正式な作品名は「あなたの声を、一歩を」です。
北九州市 人権CM2012」として作られ、昨年の7月24日に公開されています。プランナーは勝浦雅彦氏、監督は児玉ひとみ氏で、「CCN2012 最高賞」を受賞しています。
わたしは、『論語』の「義を見てせざるは勇なきなり」という言葉を信条として生きています。
2008年7月度の社長訓示においても、「義を見てせざるは勇なきなり 絶対に人の道を忘れるな!」という話をしました。「勇」とは、「義」つまり正義を実行することです。



このCMは、まさに孔子のメッセージを見事に伝えてくれます。
そして、そこには「人間尊重」という人類の普遍思想があります。
わたしは、もともと広告業界にいましたので、多くのCMを知っています。
しかし、これほどハートフルなCMを他に知りません。
こんなCMを作って、シネコンで流しまくる北九州市は本当に素晴らしい!!
ブログ「北九州市50周年」にも書きましたが、「ハートフル・シティ」実現に向けて北橋健治市長にはさらに頑張っていただきたいと思います。
わが社に何かできることがあれば、可能な限り協力させていただきます。



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2013年2月24日 佐久間庸和