真のリーダーとは?

今朝は、久々にものすごい二日酔いでした。
ブログ「洗身会」で紹介した門司港の「志げる」で飲んだ後、小倉の鍛冶町まで移動して、そこからまた延々と飲んだのです。二次会に行った店では酔っ払いからウイスキーの水割りを新しいスーツにブッかけられました。彼には白洋舎の請求書をお送りしたいと思います。
まあ、彼は泥酔していたし、故意ではなかったようなので許してやりますか。(苦笑)
二日酔いの上に外は雪が積もって寒く、ベッドから起き上がるのがしんどかったです。


卓話者の齋藤貞之先生と



しかし、今日は金曜日なので、ロータリーのある日です。わたしは、リーガロイヤルホテル小倉で開かれた小倉ロータリークラブの例会に参加しました。今日の例会では大事なミッションがありました。プログラム委員でもあるわたしが「知のダンディ」こと齋藤貞之先生を卓話者としてお招きし、卓話に先立って、わたしが齋藤先生をご紹介するというミッションです。


卓話者紹介で登壇しました



登壇したわたしは、まず「こんにちは。いやあ、昨夜の洗身会では、よく飲みましたね。わたしは完全に二日酔いですが、みなさんお強いですね。昨夜の泥酔ぶりから『今日の例会は絶対に来れないだろう』と思っていた人がちゃんと来ているので仰天しました。正直、『社会人としてすごい!』と思いました」と言うと、会場から笑いが起こりました。


齋藤貞之先生をご紹介しました



それから、わたしは以下のように齋藤先生をご紹介しました。
「今日は素晴らしい方を卓話者としてお招きしました。齋藤貞之先生です。北九州市立大学の経済学部長として、北九大ビジネススクール(MBA)の設立者として、九州国際大学の特任教授としてご活躍された『北九州の知のリーダー』です。現在は、夢追いサポートセンター理事長で、北九州市立大学名誉教授です。マネジメントがご専門ですが、今日は『真のリーダーとは?』というテーマでお話いただきます。じつは昨夜、アメリカのオバマ前大統領が東京銀座の『すきやばし次郎』で飲んだ賀茂鶴、ロシアのプーチン大統領が山口の『大谷山荘』で飲んだ東洋美人を飲みました。二本の名酒を飲み比べながら、『オバマプーチン、真のリーダはどちらだろう?』と考えたりました。(笑)今日の卓話は、わたし自身、大変楽しみにしております。それでは、齋藤先生、よろしくお願いいたします!」


登壇した齋藤先生



大きな拍手の中を登壇した齋藤先生は、低音の渋い声で「齋藤です。今日はお招きいただき、ありがとうございました。30分という時間は非常に喋りにくいですね。最低でも60分は欲しいところです」と言われてから、卓話をスタートされました。


真のリーダーについて語られました



齋藤先生の卓話の正式なタイトルは「真のリーダーに求められる不可欠な条件:リベラル・アーツ」で、サブタイトルが「現代の経営者教育のあり方を問う」でした。
アメリカ大統領となったドナルド・トランプについて、不動産王としてビジネスマンとしては成功したのかもしれないが、彼の言動をみると経営者(エグゼクティブ)としての品位に欠けるという齋藤先生は、「今日の卓話の課題は、大統領の資質とは何か、政治的力量の有無を議論しようというのではありません。企業を含め、大学や病院、自治体など現代組織のリーダーにも求められる資質とは何か、真のリーダーに求められる不可欠な条件とは何かを、現代の経営学、マネジメント理論を通して明らかにすることが、今日の卓話の課題です」と言われました。
そして齋藤先生は、以下の流れに沿って卓話を進めていかれました。



1.マネジメントは「サイエンス」か「アート」か
2.「アート」としてのマネジメント
   ●「アート」とは何を意味するのか?
   ●西洋の価値観、宗教観から発生した「アート」
   ●マネジメントとは「サイエンス(科学)」であると主張する論者
   ●マネジメントとは「アート(art)」であると主張する論者
3.「リベラル・アーツ」としてのマネジメント
   ●「リベラル」(Liberal)とは何か
   ●「リベラル・アーツ」(Liberal Arts)とは何か
   ●「リベラル・アーツ」の起源を考える
   ●民主主義に参画できる基礎条件としての「リベラル・アーツ」
4.現代のリーダーたる経営者に求められるリベラル・アーツ
   ●レーガノミックス以来の新自由主義の台頭
   ●「サイエンス」に偏重したマネジメント研究・教育への危機感
   ●なぜ、「リベラル・アーツ」が原題のマネジメントに不可欠なのか



齋藤先生は「アート」とは芸術というよりは「人間のワザ」であり、「リベラル・アーツ」とは教養というよりは「人間としての品格」であると喝破しました。リベラル・アーツは日常的な物事から離れて物事を発想することである、とも。齋藤先生はビジネススクール(MBA)を創設されましたが、「正直に言って、真のビジネスマン、リーダーづくりには失敗しました」として、「なぜなら、MBAに集う彼らは経営のサイエンスばかり求めて、アートを求めていないからです」と言われました。さらには「その意味で、金儲けのことばかり考えがちな創業社長よりも、もっと広い視野で物事を考えることのできる二代目、三代目の経営者のほうが真のエグゼクティブが生れやすい」と述べました。この発言には大いに納得し、わたしは膝を打ちました。



最後に齋藤先生は「ドラッカーはすでに1970年代にリベラル・アーツの重要性を指摘していました。ドラッカーならではの卓見というべきでしょう。ともあれ、わが国のビジネス・リーダー育成の教育機関であるビジネススクールドラッカーのごとく、古代ローマのリベラル・アーツの伝統から学ぶべきものが山積しているように思えてなりません」と述べ、卓話を終えられました。盛大な拍手が起こったことは言うまでもありません。


リベラル・アーツの重要性を訴える齋藤先生



非常に格調高く、かつわかりやすい素晴らしい卓話でした。わたしの名前も何度もお出しいただき、恐縮しました。30分という短い時間で、この内容の濃さ。さすがは齋藤先生です。60分はおろか、180分くらい聴いていたい内容でした。齋藤先生の卓話を聴いたわたしは、自分は経営者とか作家などというカテゴリーを超えて「リベラル・アーティスト」になりたいと心から思いました。齋藤先生、素晴らしい卓話をありがとうございました。



なお、齋藤先生は今年から「齋藤アカデミー」をスタートされました。チラシには「マネジャーから真のリーダーへ〜MBAを超えて〜」として、以下のように書かれています。
北九州市立大学名誉教授齋藤貞之と各界のTOPリーダーとが語るNEXTリーダーとは・・・マネジメントとは、サイアンスであるとともにアートである。マネジメントがアートであるがゆえに、リベラル・アーツを欠いたエグゼクティブは真のリーダーたりえない。今回の『齋藤アカデミー』は、専門的な管理技法を学ぶビジネススクール(MBA)では学べないリベラル・アーツを中心にリーダーとはなにか、真のエグゼクティブに求められる資質とはなにかを徹底した議論をとおして学ぶことを課題とする」



ゲスト講師陣は、以下の通りです。
●哲学・思想・宗教  安田登(下掛宝生流ワキ方能楽師
●環境・情報  熊野英介(アミタホールディングス(株)代表取締役会長)
●マネジメント  岩崎卓也
        (ダイヤモンド社ハーバードビジネスレビュー』元編集長)
●文学・歴史  林田暢明(TAO CAFE代表)
論語とマネジメント  佐久間庸和((株)サンレー代表取締役社長、作家)
表象文化論  吉川哲郎(北九州市立大学国語学部教授)
●文学  今川英子北九州市立文学館館長)
生態学生命誌  中村桂子(JT生命誌研究館 館長)
●工学・工業化学  松永守央
         (北九州産業学術推進機構 理事長、元・九州工業大学学長)
●ケースメソッド  齋藤顕一((株)ForeSight&Company代表取締役
●マネジメント  齋藤貞之
        (夢追いサポートセンター理事長、北九州市立大学名誉教授)



わたし以外は錚々たるメンバーです。もちろん、みなさん全国区で有名な方々です。
わたしは、4月11日(火)に「論語とマネジメント」の講義を行います。
現在、受講生募集ですので、ぜひ奮ってご応募下さい。
一緒に、「リベラル・アーティスト」を目指しましょう!



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2017年2月10日 佐久間庸和