玄冬の門に向かって

東京に来ています。20日は、今年最後の全互連の理事会に参加しました。
会場の結婚式場「アンフェリシオン」のクリスマス装飾が綺麗でした。
さて、「サンデー毎日」2017年1月1日号が発売されました。
わたしは同誌にコラム「一条真也の人生の四季」を連載しています。
第61回目のタイトルは、「玄冬の門に向かって」です。


サンデー毎日」1月1日号



少し前に、本誌でも連載をされている作家の五木寛之氏を小倉にお招きして講演会を開催しました。わが社の創立50周年記念イベントの一環で、演題は「生と死を考える」でした。わたしは中学時代に五木氏の小説『青春の門』を夢中で読み耽ったものですが、その影響で早稲田大学に進学することを決心したほどです。



その五木氏は今年、『玄冬の門』(ベスト新書)という本を書かれ、話題になりました。元気に老いるレッスンを説いた書で、「この門をくぐれば新しい世界が開ける」内容です。
青春の門』から『玄冬の門』へ。このタイトルの背景には古代中国の思想があります。そこでは人生を四季にたとえ、五行説による色がそれぞれ与えられていました。すなわち、「玄冬」「青春」「朱夏」「白秋」です。



それによると、人生は冬から始まります。まず生まれてから幼少期は未来の見えない暗闇の中にあります。そんな幼少期に相当する季節は「冬」であり、それを表す色は原初の混沌の色、すなわち「玄」です。玄冬の時期を過ぎると大地の下の種子が芽を出し、山野が青々と茂る春を迎えます。これが「青春」。この時期を過ごす人を青年といいます。



そして青年が中年になると夏という人生の盛りを迎えます。燃える太陽のイメージからか、色は「朱」が与えられています。中年期を過ぎると人生は秋、色は「白」が与えられ、高齢期は「白秋」とされるのです。しかし、五木氏は『玄冬の門』において、青春・朱夏・白秋・玄冬と、「玄冬」を最後に持ってきます。



五木氏は、玄冬を高齢期、老年期だと考えているのです。たしかに、四季というのは春夏秋冬ですから、最初に玄冬をもってくるよりは、最後にもってきたほうが落ち着くように思います。古代中国には四季と方角と色と動物と人生とを対応させ合う、じつに壮大な宇宙観がありました。そして、そのフレームの中に、青春から玄冬へと至る「人生の四季」、すなわち、ライフサイクルがあったのです。


サンデー毎日」1月1日号の表紙



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2016年12月20日 佐久間庸和