「互助会通信」リニューアル

3日の夜、金沢から特急サンダーバード、新幹線のぞみを乗り継いで小倉に戻りました。
4日は、小倉から新幹線のぞみで東京に向かいます。本当は5日にスターフライヤーで東京に飛ぶ予定でしたが、台風12号の影響で新幹線で前日入りとなったのです。連日の新幹線での長距離移動は疲れますが、5日は予定が詰まっているので仕方ありません。


全面リニューアルされた「互助会通信」428号



一般社団法人 全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)発行の「互助会通信」がこのたび全面リニューアルされ、最新号である428号が刊行されました。ブログ「横浜フューネラル対談」で紹介したように、7月6日、わたしはパシフィコ横浜で開催された「フューネラルビジネスフェア2016」のトークショーに出演しましたが、それを紹介する記事が紹介されていました。


「互助会通信」428号



記事は、「特別対談 葬儀の未来について考える 村山博雅氏×一条真也氏」の見出しで、以下のように書かれています。
「7月6日、展示会場内に設置されたスペシャルステージ2において、全日本仏教青年会顧問で第18代理事長を努めた村山博雅氏と、作家で全国冠婚葬祭互助会連盟会長の一条真也氏による対談が行われた。
演題は『葬送儀礼の力を問う「葬儀の本質」とは』。司会は三重平安閣互助会・儀式継創委員長の松嶌康博社長が務めた。席はほぼ満席で、30人以上もの立見がでる盛況ぶりであった。
この日、もっとも注目を集めた議題はAmazonが提供する僧侶派遣サービスについて。「現代日本人における他界観、宗教観における多種多様なサービスについて」をテーマに話を進めていたときのことであった。同サービスについて、村山氏は必ずしも悪いものではないとしながらも、消費財として扱われるのであれば、仏教界にとっても葬祭業界にとっても悪であるとの考えを述べた。理由として、自身の宗派である曹洞宗の経典『修証義』から「生を明らめ死を明らむるは仏家一大事の因縁なり」の一節を例に挙げ、説明した。常々人は「生」を知るために「死」と向き合い続けることが大切であり、それが葬儀の一つの重要な意義であると述べ、葬儀の象徴である宗教者が消費財として扱われ儀式自体にも神聖性が失われることは死の尊厳性を軽んじることにつながり、葬儀の意義の大半を喪失するとともに儀式の縮小傾向に拍車をかけるとした。これに対し一条氏は、消費者が必要とするサービスならば残ると指摘。そのため、仏教会側から批判的な声を挙げなくてもよいのではないかという疑義を呈した。加えて、全互連会長の立場から、各互助会が会員の声を公表し、理想的な葬儀についてオリエンテーションを行うべきだと提言した。
対談の最後、葬儀に関わる人々へのメッセージを求められた両氏。
一条氏は、人類にとっての葬儀の重要性について言及したうえで、葬儀事業者は人類に必要不可欠な仕事をしているという誇りを持ってほしいと話した。また、葬儀事業者の社会的地位の向上に努めなければならないとの意見を述べた。村山氏は、自分の生を次の世代に引き継ぐ「心の相承」が人の幸せにとって大事だとし、葬儀はそれを行うための一つの儀式だと指摘。それだけに、葬儀関係者は「人の幸せ、社会の幸せにつながる仕事をしている」という自負を持って取り組んでほしいとの思いを語った。
対談は30分という短い時間だったが、示唆に富んだ意見が交わされ、業界にとって意義深いものとなった。2日間通して、展示だけではなく、シンポジウムや講演会など、多彩なラインナップで情報が発進された今年のフェア。訪れた業界関係者たちが現代社会に対応した新しい葬送ビジネスの情報を得ようと、一様に真剣な表情で会場を回っていたのが印象的な、充実したイベントであった」


「互助会通信」428号



また、「互助会通信」に長年連載しているわたしのコラム「独言」でも、このトークショーを正面から取り上げました。「横浜フューネラル対談」のタイトルで、以下のように書きました。
「全互協主催のトークショーに出演した。パシフィコ横浜での「フューネラルビジネスフェア2016」の企画だ。対談相手は仏教界きっての論客で知られる全日本仏教青年会顧問の村山博雅氏である。テーマは『葬送儀礼の力を問う〜葬儀の本質とは』だった。
村山氏は曹洞宗東光院』の副住職で、全日本仏教青年会の第18代理事長として活躍された。『第1回世界仏教優秀指導者賞』も受賞された日本仏教のニューリーダーの1人である。トークショーの前にご本人と打ち合わせを行ったが、大変な論客であった。わたしは、「無縁社会」や「葬式は、要らない」などの言葉が登場した背景には、日本仏教界の制度疲労にも一因があるように感じると申し上げた。
アマゾンの僧侶派遣サービスに対して全日本仏教会が抗議をしたが、あれはスルーするというか、放置しておけば良かった。社会に必要なものは残るし、必要でないものは残らないからだ。執拗に互助会批判を繰り返す業界もあるが、互助会は社会に必要であるからこそ、現在でも隆盛を誇っているのである。現代日本の仏教界を見ると、檀家の暮らしぶりに応じて、高額な「御布施」「戒名料」を提示する寺も少なくない。むしろアマゾンの僧侶派遣、イオンの寺院紹介の方が明瞭かつ低額で良心的と考えている消費者もいるかもしれない。ここは、互助会の出番ではないだろうか。せっかく多くの会員様がおられるのだから、各互助会は普段から会員様に情報公開し、理想的な葬儀についてのオリエンテーションを行うべきであろう。
いま、互助会に与えられた課題は2つあるのではないだろうか。『死者の尊厳を守ること』と『生者のコミュニティをつくること』である。これは日本復興の重要ポイントでもあるのだ。」



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2016年9月4日 佐久間庸和