冠婚葬祭は文化の核


サンデー毎日」11月15日号が発売されました。
わたしは、コラム「一条真也の人生の四季」を連載しています。
第5回目のタイトルは「冠婚葬祭は文化の核」です。



サンデー毎日」2015年11月15日号



11月3日は「文化の日」です。「自由と平和を愛し、文化をすすめる」ことを趣旨とした国民の祝日だといいますが、「文化」とは何でしょうか。わたしは冠婚葬祭を業とする者ですが、冠婚葬祭の本質とは、ずばり「文化の核」であると思っていいます。冠婚葬祭のことを、結婚式と葬儀のみのことだと思っている人は多いです。たしかに婚礼と葬礼は人生の二大儀礼ではありますが、けっして冠婚葬祭のすべてではありません。「冠婚+葬祭」ではなく、「冠+婚+葬+祭」なのです。



「冠」はもともと元服のことで、現在では、誕生から成人までのさまざまな成長行事を「冠」とします。すなわち、初宮参り、七五三、十三祝い、成人式などです。
「祭」は先祖の祭祀です。三回忌などの追善供養、春と秋の彼岸や盆、さらには正月、節句、中元、歳暮など、日本の季節行事の多くは先祖をしのび、神をまつる日でした。現在では、正月から大みそかまでの年中行事を「祭」とする。



そして、「婚」と「葬」です。結婚式ならびに葬儀の形式は、国によって、また民族によって著しい差異があります。これは世界各国のセレモニーには、その国で長年培われた宗教的伝統や民族的慣習などが反映しているから。儀式の根底には「民族的よりどころ」があるのです。



日本には、茶の湯・生け花・能・歌舞伎・相撲といった、さまざまな伝統文化があります。
そして、それらの根幹にはいずれも「儀式」というものが厳然として存在します。すなわち、儀式なくして文化はありえないのです。儀式とは「文化の核」と言えるでしょう。そもそも人間とは「儀礼的動物」であると思います。



日本では、儀式文化が冠婚葬祭の中に凝縮されています。
まさに「文化の核」なのです。わたしは『決定版 冠婚葬祭入門』(実業之日本社)において「文化の核」としての冠婚葬祭の意味と意義について書きました。
幸いにして同書は好評のようで版を重ねています。ぜひ、ご一読を!


サンデー毎日」11月15日号の表紙



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2015年11月2日 佐久間庸和