『日本の心は銅像にあった』


今日から、新コーナー「こころの一冊」をスタートいたします。
わたしは「サンデー新聞」に毎月、「ハートフル・ブックス」という読書コラムを連載しています。「サンデー新聞」は毎日メディアサービスのフリーペーパーで、福岡・北九州・山口で毎週124万5000部を発行しています。そこで、さまざまな本を紹介してきましたが、90回の節目を記念して、今後は当ブログでもご紹介していきたいと思います。なお、このコラムは「一条真也」のペンネームで書いていますが、あえて本名ブログで紹介していきます。「一条真也の新ハートフル・ブログ」にはすでにコラムの元になった書評ブログがアップされているからです。また、連載100回を迎えた際にはサンレー創立50周年記念イベントの一環として、出版社や書店も巻き込んだ大規模な読書イベントを企画しているからです。


「サンデー新聞」10月3日号



ハートフル・ブックス」第90回で取り上げる本は、『日本の心は銅像にあった』丸岡慎弥著(育鵬社)です。日本各地にある銅像の解説本です。
表紙には紫式部楠木正成真田幸村勝海舟らの銅像写真が使われています。
帯には「どうぞ、見にきて下さい」のダジャレが書かれています。著者は銅像教育研究会(そんな会が存在することを初めて知りました)の会長だそうです。



この本の監修者は、上智大学名誉教授である渡部昇一氏です。
永遠の知的生活』(実業之日本社)でわたしも対談させていただいた渡部氏ですが、「教育で大切なことは『良いイメージ』をさせること」として、以下のように述べています。
「かつての日本においては、少なくとも小学生から中学生くらいまでは素晴らしい日本人や、見習うべき大人の話をたくさん教えていました。そのおかげで子供たちは良いイメージができるようになったのです。物事が成就するか否かは『イメージの力』が大きく左右します」



そこで銅像から偉人をイメージしながら伝えていこうというのが本書なのです。
銅像には、その偉人の歴史的偉業の瞬間を切り取った姿のものも多いです。
また銅像には、しぐさや向いている方向、建てられた場所など細部にわたり多くの人々の想いが込められています。ですから、子どもだけではなく、あらゆる日本人に大切なことを思い出させてくれると、渡部氏は言います。



「あとがき」で、著者の丸岡氏は以下のように述べています。
銅像は時空を超えて私たちに『感化・影響』を与えてくれているのです。私は銅像のそのような効果を『時空を超えた感化』と言っています。銅像には、しぐさ・向き・大きさなどすべてのことに意味が込められています。私は一体でも多く、この銅像について調べ、1人でも多くの方に銅像を通じてその偉人の生き方を伝えていきたいと思っています」



じつは、わたしは三度の飯より銅像が好きであります。
正確には、銅像の真似をして写真に写ることが好きなのですが(笑)。
しかし、これは単におふざけでやっていることではありません。「銅像」は偉大なる先人たちの憑代(よりしろ)であり、そのポーズには何かしらのメッセージが潜んでいます。
その偉人と同じポーズをとることで偉人の志を感じることが大事なのです。
これは先人に対する「礼」でもあり、その精神を学ばせていただいているのです。
もともと「学ぶ(まなぶ)」という言葉は「真似ぶ(まねぶ)」から来ています。
銅像の真似をすることには意味があるのです!
というわけで、25人の偉人の銅像を紹介した本書をどーぞーお読み下さい!


日本の心は銅像にあった

日本の心は銅像にあった

*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2015年10月3日 佐久間庸和