今日の「毎日新聞」朝刊に第３２回目の「北九州発 ハートフル通信」が掲載されました。
今回のタイトルは、「京都で思ったこと」です。
「毎日新聞」４月３日朝刊
先日、京都を訪れました。いま『和を求めて』という本を書いていることもあり、取材を兼ねて平等院、伏見稲荷大社、金閣寺、銀閣寺、龍安寺、北野天満宮、桂離宮などを見学しました。
まずは、今年が終戦７０周年の節目ということで、宇治の平等院を訪れ、藤原道長の「この世をば わが世とぞ思う望月の 欠けたることも なしと思へば」にちなんで、わたしは「天仰ぎ あの世とぞ思う望月は すべての人が かへるふるさと」と詠みました。
また、昨年末にリニューアルオープンしたわが社の「小倉紫雲閣」は、「月」を意識したデザインを採用しており、観月建築として知られる銀閣寺や桂離宮を参考にしました。
今回、その両施設も回りました。究極の日本美を堪能しました。
そして、３月１１日は、東日本大震災４周年の日ということで、北野天満宮で開催された「悲とアニマ展」「鎮魂茶会」「鎮魂舞台」などに参加しました。わが社は、それらのイベントに協賛させていただいたのです。鎮魂イベントそのものも興味深かったですが、わたしは北野天満宮に咲いていた梅の花の美しさに心を奪われました。紅梅も白梅もそれはそれは見事でしたが、梅の花を見ると、わたしはいつも東アジアの平和を思ってしまいます。
２０１２年、わたしは、「孔子文化賞」を世界孔子協会から授与されましたが、日中韓をはじめとした東アジア諸国の人々の心には儒教の「礼」の精神が流れていると信じています。
いま、日中韓の国際関係は良くありません。終戦７０周年の今年こそ、日中韓の国民は究極の平和思想としての「礼」を思い起こさなければならないと思います。それには、お互いの違いだけでなく、共通点にも注目する必要があるでしょう。
たとえば、日中韓の人々はいずれも梅の花を愛します。日本では桜、韓国ではむくげ、中国では牡丹が国花または最も人気のある花ですが、日中韓で共通して尊ばれる花こそ梅なのです。それぞれの国花というナンバー１に注目するだけでなく、梅というナンバー２に着目してみてはどうでしょうか。そこからアジアの平和の糸口が見えないものかと思いました。
梅は寒い冬の日にいち早く香りの高い清楚な花を咲かせます。哲学者の梅原猛氏によれば、梅とは、まさに気高い人間の象徴であるといいます。日本人も中国人も韓国人も、いたずらにいがみ合わず、偏見を持たず、梅のように気高い人間を目指すべきではないでしょうか。
京都の各所には中国や韓国からの観光客の姿が目立ちました。
「観光」とは相手（国）の長所（光）を見ることです。相手を否定して消し去ることが「戦争」ならば、観光ほど平和な行為もないのです。そう思いました。
北野天満宮に咲いていた梅が素晴らしかったです
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２０１５年４月３日 佐久間庸和拝
