家業としての映画館

25日の北九州も非常に暑く、外の気温は35度、車の中は38度もありました。
金曜日なので、わたしは 小倉ロータリークラブの例会に参加しました。ブログ「中経協ビールフェスタ」で紹介したイベントに続いて、2日連続でリーガロイヤルホテル小倉を訪れました。


興味深いエピソードを披露された樋口さん



この日は、普段よりも出席者が多く、例会の食事が不足するほどでした。いつものように、例会の冒頭では瑞松寺の末廣石光住職がソングリーダーとして、歌を合唱しました。この日は「四つのテスト」という歌を歌いました。「真実かどうか、みんなに公平か、好意と友情を深めるか、みんなのためになるかどうか」という歌詞の歌です。ロータリー精神の神髄です。
末廣住職が素晴らしい仕立てのダブルのジャケットを着られていたので、わたしが「末廣先生はいつもオシャレですね」と言ったところ、案の定、「末廣先生とは失礼な! 大先生と呼んでもらわないと!」と言われました。(笑) また、「わたしの着る物はすべてイタリー製なんですよ。袈裟だってイタリー製ですから・・・」とも言われました。
いやあ、本当にユーモア満点で面白い方ですね。(笑)



さて、今日の卓話はブログ「小倉昭和館」で紹介した名画座の館主である樋口智巳さんのお話で、テーマは「家業としての映画館」でした。樋口さんとお会いするのは2回目で、ブログ「西日本新聞の集い」で紹介した今年2月7日の宴席で初めてお会いしました。わたしは、この日の卓話を非常に楽しみにしていました。それで、「キネマの神様がおわします小倉昭和館の樋口館主のお話を楽しみにしています。大好きな昭和館で『それでも夜は明ける』を観るつもりです」という内容のニコニコ献金を行いました。プログラム委員長である西日本新聞北九州本社の玉井行人代表が樋口さんを紹介され、卓話がスタートしました。



小倉昭和館は創業75年ということで、これまでの取っておきのエピソードを色々と話して下さいました。特に、樋口さんのお祖父さんと片岡千恵蔵ら往年の大スターとの交流の話が興味深かったです。また、樋口さんご自身と有馬稲子さんや高倉健さんとの交流秘話にも感銘を受けました。健さんからは2通も手紙を受け取られたそうです。樋口さんは、高倉健主演の「あなたへ」が門司港で撮影されたとき、エキストラ出演されたとか。それも、映画業界のコネなどでなく、北九州フィルムコミッションに直接申し込みをされたとのことで、すごいですね!
樋口さんは、またリリー・フランキー氏や田中慎弥氏といった小倉昭和館を訪れた文化人についても語って下さいました。


片岡千恵蔵氏との思い出



樋口さんは以前、他の仕事をされていたそうです。でも、祖父が創業し、父が社長を務める小倉昭和館の館主になるために、故郷に帰って来られました。樋口さんは「わたしは映画館の娘です」と述べ、「やっと自分の居場所に戻れた」とも言われました。物心ついたときから映画をたくさん観て、幼稚園のときには日活の青春映画のセリフを憶えておられたそうです。また、映画館のレジで数字というものを憶え、いくら怒られても何度も映写室に入ったといいます。まるで、ブログ「ニューシネマ・パラダイス」で紹介した映画の内容を地で行くような話でした。


樋口さんから頂いた「昭和館ブレンド


最後に、樋口さんは「親・子・孫・ひ孫の4世代に愛される映画館を目指したいと願っています。映画館で映画を観る豊かさを、ぜひ多くの方々に味わっていただきたいです。これからも、どうぞ、よろしくお願いいたします」と述べられ、会場から盛大な拍手が起こりました。樋口さんの映画を愛する気持ち、そして映画館を愛する気持ちが伝わってきて、映画好きのわたしは温かい気分になれました。樋口さん、素晴らしいお話をありがとうございました。近々また、小倉昭和館に伺いますので、よろしくお願いします!
なお、樋口さんからは例会の出席者全員に「昭和館ブレンド」というオリジナルのコーヒーが配られました。豆を挽いたコーヒーが入っている袋のデザインも素敵ですね。



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2014年7月25日 佐久間庸和