ドラッカー(8)


汝の時間を知れ




言葉は、人生をも変えうる力を持っています。
今回の名言は、経営学ピーター・ドラッカーの言葉です。ドラッカーは世界初の経営書である『経営者の条件(ダイヤモンド社)に、「汝の時間を知れ」との名言を残しまた。


新訳 経営者の条件 (ドラッカー選書)

新訳 経営者の条件 (ドラッカー選書)

ギリシャデルフォイの神殿には「汝自身を知れ」と刻まれています。
もちろん、これは知恵のある処方箋だが、悲しい性の人間にとっては不可能なほどに難しいことです。しかし、その気があるかぎり、「汝の時間を知れ」との処方には万人が従うことができますし、誰でも貢献と成果への道を歩むことができます。



ドラッカーは『経営者の条件』において、次のように述べています。
「成果をあげる者は、仕事からスタートしない。時間からスタートする。計画からもスタートしない。何に時間がとられているかを明らかにすることからスタートする。次に、時間を管理すべく、時間を奪おうとする非生産的な要求を退ける。そして最後に、限られた自由な時間を大きくまとめる」(上田惇生訳)
成果をあげるためには時間からスタートすべきだというのは、時間が最も不足しており、限界のある資源に他ならないからです。それは資金や人のように新しく調達したり、雇用したりできないうえに、簡単に消滅し、かといって蓄積できない性質のものです。また、その代わりになるものがない。それにもかかわらず、あらゆることに時間が必要とされ、すべての仕事が時間のなかで行なわれ、人は時間を費やすのです。



ドラッカーによれば、時間を管理するためには、時間を記録し、整理し、まとめるという三つの段階があるといいます。
まず、日常的に自分が何に時間をとられているかを明らかにする。
次に、その中から自分の時間を奪う非生産的な要素を排除する。
最後に、その結果として得られた時間を大きくまとめ、本当に重要なことのために使う。
そして、時間管理を考えるに当たっては、「優先主義」と「重点主義」をとることが公私ともに大事です。その日、何を最優先させ、何に重点を置いて、時間を分割し、集中的に動くか。この判断を適切にすることを心がけるのです。そうすることで、公の時間を仕事に貢献させ、私の時間を自身に貢献させることが可能になります。自分で判断した優先順位にしたがって重点的に投入することで、効率と効果において最大限の生かし方をしなければならないのです。


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2014年7月16日 佐久間庸和