吉崎達彦氏講演

20日から、3泊4日の東京出張です。20日は監査役を務める互助会保証の新春講演会、21日は副会長を務める全国冠婚葬祭互助連盟(全互連)の新年会、22日は理事を務める一般社団法人・全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)の新年会が行われるのです。
20日の朝、北九州空港から乗り込んだスターフライヤーで東京に着いたわたしは、東京都港区芝公園にある東京タワー真向かいの機械振興会館を訪れました。


最初に、藤島社長が挨拶されました



機械振興会館では、互助会保証主催の「新春講演会」が開催されました。
講師は吉崎達彦氏(双日総合研究所副所長・チーフエコノミスト)です。
テーマは、新春ということで「2014年の内外情勢を読む」でした。
講演会に先立って、互助会保証の藤島安之社長から新年の御挨拶がありました。
藤島社長は元パナマ大使で、双日の副社長も経験されています。


講演する吉崎達彦



それから、吉崎氏の講演がスタートしました。吉崎氏は1960年富山県生まれ、一橋大学社会学部を卒業され、日商岩井(現双日)に入社されました。そこで、広報誌「トレードピア」の編集長も務められています。それから、米ブルッキングス研究所客員研究員を経て、経済同友会に出向され、代表幹事秘書調査役に就任されました。その後は、日商岩井の調査・環境部を経て、日商岩井総合研究所調査グループ主任エコノミストなどを経て現職に就かれています。著書に『アメリカの論理』『1985年』(ともに、新潮新書)、『オバマは世界を救えるか』(新潮社)、『溜池通信いかにもこれが経済』(日本経済新聞出版社)などがあります。


アメリカの論理(新潮新書) 1985年 (新潮新書) オバマは世界を救えるか 溜池通信 いかにもこれが経済


吉崎氏のお話は、4つのパートから構成されていました。
(1)様子見ムードの年明け、(2)安倍内閣2年目の課題、(3)アベノミクス後の日本経済、(4)「モノづくりの時代」から「感動を売る時代」へ、です。
特に、わたしは(4)のお話が興味深かったです。吉崎氏によると、モノづくり都市として知られる大阪市でも、パナソニックやシャープが後ろ向きの中で、ユニバーサルスタジオジャパン(USJ)が400億円の投資を実行したそうです。それは「ハリー・ポッター」のアトラクションを作ることが主な案件でしたが、「遊び」が経済を牽引したわけです。



かつて、「前川リポート」というものがありました。1986年にまとめられた「国際協調のための経済構造調整研究会」による報告書の通称です。座長に就任した前川春雄日本銀行総裁の名前を取っていますが、日本の経済政策の目標として、経常収支の不均衡を解決して国民生活の質の向上を目指すとした内容です。そこでは、大幅な貿易黒字の解決策として「内需拡大」が強調され、日本人のライフスタイルに「遊び」や「ゆとり」を取り入れることが提言されました。吉崎氏によれば、昨今の日本の貿易収支を見ると、今頃になって「前川リポート」の提言が実現していると述べられました。



わたしも、かつて『遊びの神話』、『ゆとり発見』(ともに東急エージェンシー)などの著書を書きましたが、「遊び」「ゆとり」がキーワードとなるハートフル社会では、「観光」つまりツーリズムが重要視されます。世界ではツーリズムは経済の中で平均10%を占めるそうですが、日本は500兆円経済の中の23兆円、すなわち5%に過ぎません。ある有名旅館のオーナーは、「日本の旅館はKDDだ」と述べているとか。K(勘)とD(度胸)とD(どんぶり感情)の世界だというのです。いかに、日本経済のサービス化が遅れているかがよくわかります。


「感動の時代」を強調されました



吉崎氏は、真に経済力がつくためにはツーリズムの存在が欠かせないとして、「モノづくりの時代」から「感動を売る時代」へということを強調されました。
そして、わたしたち冠婚葬祭業界についても、「セレモニーも広義の『遊び』です。グリーやフェイスブックと同様に、社交産業であるとも言えます。『モノ』から『感動』へというパラダイム・シフトを代表するのがセレモニー産業です」と喝破されました。そして、元気なうちから縁のあった方々をお呼びして、おもてなしする「生前葬」を提唱されていました。
新年早々、非常に勉強になる話を聞くことができて満足です。
吉崎先生、素晴らしいお話を、本当にありがとうございました。



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2014年1月21日 佐久間庸和