お盆の心得

今日は、午前11時からインタビュー取材を受けました。
10万部を発行する朝日新聞系の「タウンペーパーQ」という情報誌の取材です。
このたび「お盆の作法と心得」という特集が組まれ、表紙に掲載されるそうです。


お盆についてのインタビュー取材を受けました



インタビュアーは、「じぶん舎」代表でライターの佐藤正和さんでした。
佐藤さんはお母様を亡くされたことがきっかけで、「死」について興味を抱かれたそうです。そして、放送大学で死生学について勉強されているとか。昨日、直方のイオンに入っている書店で『命には続きがある』(PHP研究所)を購入して下さいました。『愛する人を亡くした人へ』(現代書林)の電子書籍版も購入されて、現在読書中とのことでした。こういう話を聞くと、嬉しいですね。インタビューに答える声にも張りが出るというものです。


佐藤さんは死生学を勉強されているそうです



佐藤さんは、最初に「お盆の作法」について質問をされました。
しかし、わたしは「その前に、お盆の意味というか、何のためにお盆があるのかをお話したいと思います」と言って、次のように述べました。
8月というのは日本人にとって鎮魂の季節です。というのも、6日の広島原爆の日、9日の長崎原爆の日、12日の御巣鷹山日航機墜落事故の日、そして15日の終戦記念日というふうに、3日置きに日本人にとって意味のある日が訪れるからです。そして、それはまさに、日本人にとって最大の供養の季節である「お盆」の時期と重なります。



「盆と正月」という言葉が今でも残っているくらい、「お盆」は過去の日本人にとっての楽しい季節の一つでした。 1年に1度だけ、亡くなった先祖たちの霊が子孫の家に戻ってくると考えたからです。 日本人は、古来、先祖の霊に守られることによって初めて幸福な生活を送ることができると考えていました。 その先祖に対する感謝の気持ちが供養という形で表わされたものが「お盆」なのです。



1年に1度帰ってくるという先祖を迎えるために迎え火を燃やし、各家庭にある仏壇でおもてなしをしてから、再び送り火によってあの世に帰っていただこうという風習は、現在でも盛んです。 同じことは春秋の彼岸についても言えますが、この場合、先祖の霊が戻ってくるというよりも、先祖の霊が眠っていると信じられている墓地に出かけて行き、供花・供物・読経・焼香などによって供養するのです。



どんな人間にも必ず先祖はいます。しかも、その数は無数といってもよいでしょう。これら無数の先祖たちの血が、たとえそれがどんなに薄くなっていようとも、必ず子孫の1人である自分の血液の中に流れているのです。
「おかげさま」という言葉で示される日本人の感謝の感情の中には、自分という人間を自分であらしめてくれた直接的かつ間接的な原因のすべてが含まれています。
そして、その中でも特に強く意識しているのが、自分という人間がこの世に生まれる原因となった「ご先祖さま」なのです。



お盆とは何か。それは、故人である「ご先祖さま」に思いを馳せ、自分が「いま、ここに」在ることへの感謝の念を呼び起こす大事な機会です。
そして、そのことによって人は心の平安を得ることができます。
なぜ、1年で最も暑い時期、最も疲労とストレスが溜まる時期にお盆があるのか。それは、お盆こそが心身の疲労とストレスを取り除く日本独自の文化装置であるからです。そして、大切な家族を亡くされた方々にとっては、最大のグリーフケアの文化装置でもあります。


思い出ノート ([バラエティ])

思い出ノート ([バラエティ])


また、「ご先祖さま」はもちろん、どんな故人にもその人なりの人生があり、物語があります。歴史(ヒストリー)とは、個人の物語(ヒズ・ストーリー)の集積体なのです。わたしは、かつて『思い出ノート』(現代書林)を刊行しましたが、このノートに自分史を書き綴っている方々がたくさんいらっしゃいます。のこされた方は、ぜひ故人が書き残した思い出を読み返して、在りし日の故人を思い出されるといいでしょう。「思い出す」ことが一番の供養になるはずです。


お盆の作法について説明する黒木課長

佐藤さんが顔写真を撮影してくれました



わたしが「お盆の心得」について話した後、最近のお盆事情を含めた作法について、サンレーの黒木昭一課長が簡単に説明してくれました。それから、佐藤さんがわたしの顔写真を持参のデジカメで撮影してくれました。今日のインタビュー記事は、7月31日発行の「タウンペーパーQ」の表紙に掲載され、当日の「朝日新聞」朝刊にも折り込まれるそうです。



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2013年7月10日 佐久間庸和