マザー・テレサ(1)


私があなた方を愛したように、あなた方も相愛しなさい





言葉は、人生をも変えうる力を持っています。
今回の名言は、「インドの聖女」と呼ばれたマザー・テレサの言葉です。
彼女は1910年にアルバニア人を両親として生まれ、1997年に帰天しました。
1979年には、ノーベル平和賞を受賞しています。
「私があなた方を愛したように、あなた方も相愛しなさい」
マザーの一生は、このイエスの言葉に要約されていると言っていいでしょう。
エスが行った隣人愛の実践を20世紀後半に実行した人であり、宗教、民族、年齢、性別、社会的地位等に一切関わりなく、必要とする人々に愛の手を差し伸べた人でした。


マザー・テレサ 愛と祈りのことば (PHP文庫)

マザー・テレサ 愛と祈りのことば (PHP文庫)


ある日のこと、マザーは、歩道で死にかけている女性を見つけました。彼女の苦しみを和らげ、ベッドで心静かに人間らしく死なせてやりたいと思って、女性を連れて帰りました。この愛の行為をきっかけとして、マザーは、1952年8月に「清い心の家」にルマン・ヒリダイとも呼ばれる「死を待つ人の家」を開設することになりました。
「死を待つ人の家」では、数え切れないほど多くの人の死を看取りました。マザーは、ヒンドゥー教の人やイスラム教の人が亡くなるときは、その宗教のお経を唱えて送ってあげました。



それでいて、マザーの活動の源泉は、ゆるぎないカトリックの神への信仰でした。その根源にあるものは、人間の生命は限りなく尊いというイエスの教えであり、それこそ、一神教多神教といった枠組みを超えて今後のすべての宗教のあるべき姿ではないでしょうか。それを失うと、宗教とは心の狭い原理主義に陥り、最後は戦争にまでつながります。



マザー亡き後も、インドのカルカッタでは彼女の後継者たちが「死を待つ人の家」を守っています。死にゆく人々の口に最期に含ませるチョコレートや死者の顔にかける白布さえ不足しているそうです。「人間尊重」というミッションにかけて、わが社は「死を待つ人の家」に対してさまざまなサポートをさせていただきたいと思い立ちました。
また、創立40周年の際には、ささやかな寄附などもさせていただきました。
なお、今回のマザー・テレサの名言は『隣人の時代』(三五館)にも登場します。


隣人の時代―有縁社会のつくり方

隣人の時代―有縁社会のつくり方

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2013年5月17日 佐久間庸和