美輪明宏(1)


この地球の出来事はすべて「正」と「負」によっている




言葉は、人生をも変えうる力を持っています。
今回の名言は、美輪明宏さんの言葉です。
美輪さんについては、詳しく説明するまでもないでしょう。
ご自身で天草四郎の生まれ変わりであると広言するスピリチュアルな方です。美輪さんにはベストセラーになった著作も多いのですが、『ああ正負の法則』という名著があります。


ああ正負の法則

ああ正負の法則


この本の帯には、「この地球には、〈世にも恐ろしい法則〉があります。」とのキャッチコピーが書かれ、その下には「この本は、その〈法則〉を生活に取り入れて、上手に生きていくための〈人生のカンニングペーパー〉です。」という文字が記されています。
〈世にも恐ろしい法則〉という言葉に緊張しながらも、〈人生のカンニングペーパー〉という表現に少しだけ癒される気がします。美輪さんは言います。この地球の出来事はすべて「正」と「負」によっているのだ、と。たとえば、「昼」と「夜」、「陰」と「陽」、「北」と「南」、「男」と「女」、そして「天使」と「悪魔」・・・といった具合にです。
地球が全部南だけで暖かいだけだったら、これは「正」だけです。逆に冷たいだけだったら、これは「負」です。しかし、地球というのは何から何まで「光」と「影」なのだと、美輪さんは言うのです。雨の日があれば、必ず晴れの日が来る。陸地があれば海がある。苦しみがあれば喜びがあるというように、「正負の法則」というのは、この地球の法則なのです。



それならば、わたしたちは、どのように生きればよいのか。ここからが「スピリチュアル」な美輪ワールドに入っていきますが、美輪さんは次のように書いています。
「この《正負の法則》に反して、〈正〉ばかりになったら、それは天界の法則で、地球の法則に反するのでこの世にいられなくなるし、〈負〉ばかりで悪いところばかりだと、今度は魔界から呼ばれるのです。地球上でずっと長生きしていたければ、魔界の〈負〉の部分と、天界の〈正〉の部分を上手に、自分自身で納得をして、その両方のバランスをとりながらそれを保ち続ける、それがこの地球上で長生きできる方法なのです。」



ですから、人を見たときに魔界族と天界族とを瞬時に見分けるようにするとよいそうです。
そして、「これは魔界から来ているんだ。だから、こういう人なんだ」と割り切って考えれば、裏切られて嘆いたり、腹を立てずにすみます。すると人間関係は楽になります。相手が魔界族だとわかっていれば、冷静に対処することができ、初めから近づかないか、つき合っても距離を置いておくから簡単に離れることができます。これは、嫁姑の家庭問題、職場での対人関係、政財官界の連中を見分けるとき、そして恋愛のときにも、すべて当てはまるそうです。



では、どのような人が魔界の住人なのでしょうか。美輪さんによると、「まず、ひと目見たときの第一印象がひんやりとした感じ、凶々しい、闘争的、自己中心的、傲慢な感じ、陰険、陰湿、ヌメッとした蛇のようで、どことなく暗い。暗いくせにエネルギッシュ。強欲、すべてに貪欲、何にでも妬み、そねみ、ひがみ、悪口ばかりを言う人」などだそうです。ちなみに、テレビのワイドショーに出ている人々の中にも、この手合いが沢山いるとか。



さて、名著『ああ正負の法則』の一番の読みどころは何処にあるか。それは、何といっても、〈負〉とともに生きる知恵を教えてくれる点でしょう。美輪さんは述べます。
「一番肝心なことは、悪いことが起きたからといって、嘆き悲しむことはない、ということです。悪いことは長くつづきませんから。そのかわり、良いこともまた長くはつづかない。だから、良いことがあったときには、施しをするなどして、そこそこの〈負〉を先回りして自分で意識してつくるとよいでしょう。そうすれば予期しない、ものすごい〈負〉に教われなくてすむようになります。」
この「〈負〉の先回り」という考え方は、施餓鬼供養などに代表される、まさに昔の人の生活の知恵です。美輪さんは、昔の人はちゃんと地球上の法則にしたがって生き抜く生活法のコツを知っていたというのです。まったく、目から鱗が思いがしました。


美輪明宏さんと



わたしは美輪さんには何度かお会いしたことがあり、その「オーラ」に感服した人間です。
以後、美輪さんを敬愛し、そのすべての著作を読んできました。
その中でも、『ああ正負の法則』こそは最高傑作だと思っています。
わたしの書斎と社長室には、2000年12月14日、美輪さんに松柏園ホテルのクリスマス・ディナーショー出演をお願いしたとき、ロイヤル・スイートで撮影したツーショット写真が飾られています。今ではもうセピア色の思い出ですが、あのとき美輪さんから言われた言葉はわたしの人生に大きな勇気を与えてくれました。その言葉の内容をここに書くわけにはいきませんが、わたしは心の底から美輪さんに感謝しています。
昨年末のNHK「紅白歌合戦」では、美輪さんの「ヨイトマケの唄」に日本中が酔いしれました。本当に、すべての日本人にとっての宝物のような方だと思います。
なお、今回の美輪明宏さんの名言は『法則の法則』(三五館)にも登場します。


法則の法則―成功は「引き寄せ」られるか

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2013年5月9日 佐久間庸和