就労支援シンポジウム


本日、ブログ「若者に『働く場所』を!」で紹介したシンポジウムが開催されました。
正式名称は「北九州における社会的就労(中間的就労)を考える」シンポジウムです。
場所は、北九州市戸畑区にある「ウェルとばた」の多目的ホールでした。


会場が超満員になりました



開会時間の11時になると会場は超満員になり、立ち見も出ました。
今回のシンポジウムを主催したのは、「隣人愛の実践者」こと奥田知志さんが理事長を務める特定非営利活動法人・北九州ホームレス支援機構です。
同機構では、2011年度より「若年者に対する伴走型就労支援事業」の取り組みを始めました。その趣旨に賛同したため、わが社も協力させていただいてきました。
奥田理事長らとともに、北九州市庁舎で記者会見に臨んだこともあります。
詳しくは、ブログ「就労支援記者会見」およびブログ「脱生活保護へ・・・」をお読み下さい。


奥田理事長からの趣旨説明



奥田理事長によれば、今回の就労支援を実施する中で、若い生活保護受給世帯が抱える就労困難要件は、「仕事がない」ことのみではないそうです。
就労以前の「生活自立」や「社会的自立」にあることが明らかとなってきたというのです。
そもそも経済的困窮が社会的孤立を生み、そのような中で「働く意義」や「生きる意味」などを見失いつつある、大変深刻な事態が彼らを通して見えています。また、貧困のスパイラル(連鎖)という現実もあり、保護世帯の25%が親の世帯も保護世帯であったことが判明しています。このような現状においては、従来のハローワークで求職活動をし、一般就労を目指すという枠組みでは、解決できないケースが多く見受けられる事態となっているのです。


パネルディスカッションのようす



今回のシンポジウムのテーマは、「若者に働くための『働く場所』を!」です。
主催者は、一般就労へと向かうための「手前の就労」の構築を議論し、模索する場としたいとのこと。この2年間の事業の中で見えてきた現実を踏まえ、今後北九州市においてどのような就労支援の体制が必要であるかを検討していきます。
本事業に当初から協力させていただいたわたしもパネリストとしてシンポジウムのパネルディスカッションに参加しました。他のパネリストは、安郄知憲氏(北九州市保険福祉局 地域支援部長)、平野健二氏(サンキュードラッグ社長)、行岡みち子(グリーンコープ連合 常務理事)、稲月正氏(北九州市立大学基盤教育センター教授)といった方々です。コーディネーターは奥田理事長が務められました。


わが社のミッションについて語りました



わたしはパネルディスカッションの冒頭で、わが社が就労支援事業に関わらせていただくことになった理由を述べました。もちろん奥田理事長のこれまでの活動に感銘を受け、また共感させていただいたこともありますが、今回の若年者の就労支援については、現在大きな問題となっている生活保護の問題も含めて、北九州市そして日本の未来に不安を感じたからです。わが社のミッションは「人間尊重」ですが、北九州市や日本の未来が「人間尊重」に反する方向に流れているのではないかという不安を感じたのです。


「企業市民」としての立場を訴えました



わが社は冠婚葬祭という市民のみなさまに密着した仕事をさせていただいています。一般的に企業とは経済的な利益をあげることにより永続的な存在となることを目指す存在です。わたしは、企業は単に経済的な利益をあげることだけでは永続的な存在にはなれないと考えています。「企業市民」という市民としての立場で、一般の市民がボランティアなどの社会活動を行うように、企業も社会のための活動を行う必要があります。そうして社会に認められる存在になられなければ永続的存在にもなれないのではないでしょうか。


わが社は「互助」の部分で協力します



「会社は社会のもの」とは敬愛するドラッカーの言葉ですが、社会にとって必要不可欠な存在にならなければ会社も存続できないのです。つまり、この就労支援事業は企業としてぜひやらなければならない事業であると思っています。
そして、この事業に関わらせていただき、その思いはさらに強くなっています。国や自治体にお願いすることももちろん必要ですが、お上に頼るだけでなく、企業市民を含む市民全体もさらに積極的に取り組まなければなりません。
わたしは国や自治体による「扶助」、市民による「互助」、そして実際に働く若年者の「自助」という3つの「助」が欠かせないと確信します。わが社は互助会を営む会社でもあり、ぜひ「互助」の部分で協力させていただきたいと思います。


社会的就労を創出する方法とは?



これまで、わが社はホームレス支援機構からの要請により、臨時的に若年労働者を受け入れてきました。でも、1日しか出勤しなかった人もいたりして、この方法には限界があります。今後、わが社では受け入れのためのスペース(仕事)を作ります。つまり、専用の業務(作業)を準備し、そこへの受け入れを図ります。これにより、受け入れの体制やレベル向上が図れると思います。しかし、いったんその業務を作り出すと、そのスペースを空けることはできません。そこで、送り出し側には間断のない就労者の送り出しをお願いすることになります。ここで受け入れ側、送り出し側がさらに本気で事業に向き合い、緊張感を持ちながら事業を継続することによって、まだまだ社会的就労を創出することができるはずです。


非常に有意義なパネルディスカッションでした



何よりも大切なことは、わが社の現場を就労者が「ぜひ、働いてみたい!」と思えるような魅力ある職場にすること。そのためには、普段から社員が生き生きと輝いて働ける職場にしなければならないと思います。今日は、以上のようなことを申し上げました。
ブログ「助け合い日本一の街」に書いたように、北九州市は「助け合い都市」を目指すべきだと確信します。そして今、日本という国は大きな岐路に立たされていると思います。今後は、弱者切捨てのない市政や国政を切に希望いたします。



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2013年3月25日 佐久間庸和