TNCニュース取材

27日は朝からサンレーグループ各社の決算報告がありました。税理士の先生方をお呼びして、各地から本社を訪れた本部長や事業部長の報告を聞き、決算書にサインをしました。
予想していたよりも早く終了したため、今日は仕事がはかどりました。


共同通信社配信のネット記事



夕方からは、テレビ西日本(TNC)のニュースの取材を受けました。テーマは「宇宙葬」です。
ブログ「共同通信社取材」で紹介したように、昨年12月9日に、テーマは「宇宙葬」を中心に新しい「葬」のあり方について、共同通信社から取材を受けました。その記事は12月30日の全国の各紙朝刊に掲載されましたが、それを見たTNCの方から「ぜひ取材を」との連絡があったのです。わたしは、サンレー創立50周年記念の台湾旅行を間近に控えており、また次回作『人生の修め方』の再校もしなければならないので、多忙を理由にお断りしました。


テレビ西日本の岸本貴博さんと



その後、テレビ西日本の報道局報道部の岸本貴博さんから以下のメールが届きました。
そこには、以下のような内容が書かれていました。
「今回、放送を予定している『宇宙葬』をテーマにしたリポートの狙いは、まだ一部の方々に限られているとはいえ、民間人でも宇宙との関わりを持てる時代に突入しはじめているということを伝えることにあります。その取材過程で、御社がこの分野への参入を目指していることを知り、取材依頼をお願いさせて頂く次第です」
また、メールの最後には「私は、原爆投下を巡る長崎と小倉の関係についても強い関心を持ち、おととしドキュメンタリーも製作させていただきました。そのことについても、真摯な態度で向き合っていらっしゃる佐久間社長に敬意を表し、御礼を申し上げたいです。お忙しいところ、大変恐縮ですが、是非とも、取材の主旨をご理解いただきまして、ご協力を改めてお願いする次第です。よろしくお願い致します」と書かれていました。


インタビュー取材のようす

質問にお答えしました



この岸本さんの真摯な想いを知り、わたしは意気に感じました。それで、なんとか時間をやりくりして、今回の取材を受けることにさせていただいた次第です。
まず最初に、「宇宙葬の事業を始めようと思ったきっかけは?」という質問があり、わたしは以下のようにお答えしました。本計画については、米サンフランシスコに本社を置く「エリジウム・スペース社」との提携により実施することになりますが、同社と組むきっかけとなったのは、同社のCEOトーマス・シヴェ氏のインタビュー記事をWEB上で読ませていただいたのがきっかけでした。同氏は、元NASAの技術者で、なんとハッブル望遠鏡の開発者でもあります。その彼が、宇宙ベンチャーに関する情報サイトとして有名な「アストロプレナー」でインタビューに答えています。彼は、「宇宙葬が日本人の葬送の文化にどのような影響をもたらすと考えていますか?」との質問に対し、「実際、私が調査したところ、日本人の中に最も早く宇宙葬を考えた一人がいます。一条真也という作家で、1980年代にとても素晴らしい本(『ロマンティック・デス』)を書いています。 彼は日本の葬儀の未来に対してビジョンを抱いていました。死というものを地上から天へと解き放つ時期が来た、と。 死に対する価値観を変えていくという面で、私は彼に共感し『よしやろう!』と思いました」と答えています。
その後、わたしは同氏とお会いし、宇宙葬の事業を実行することを決めました。


ロマンティック・デス―月を見よ、死を想え (幻冬舎文庫)

ロマンティック・デス―月を見よ、死を想え (幻冬舎文庫)

すると、今度は「佐久間社長が、今から26年前に、『ロマンティック・デス』を執筆した当時から現在に至るまでの宇宙に対する熱い思いをお聞かせください」とのことで、わたしは以下のようにお話しました。わたしたちの肉体とは星々のかけらの仮の宿であり、入ってきた物質は役目を終えていずれ外に出てゆく、いや、宇宙に還っていくのです。宇宙から来て宇宙に還るわたしたちは、いわば「宇宙の子」なのです。
わたしは「死は不幸ではない」ということを日頃から考えています。日本では、人が亡くなったときに「不幸があった」などと言いますね。わたしは、「これは絶対におかしい」と感じたのです。わたしたちは、みな、必ず死にます。死なない人間はいません。いわば、わたしたちは「死」を未来として生きているわけです。その未来が「不幸」であるということは、必ず敗北が待っている負け戦に出ていくようなものです。


死は不幸ではない!



わたしたちの人生とは、最初から負け戦なのか。どんな素晴らしい生き方をしても、どんなに幸福感を感じながら生きても、最後には不幸になるのか。亡くなった人は「負け組み」で、生き残った人たちは「勝ち組」なのか。わたしは、そんな馬鹿な話はないと思いました。わたしは、「死」を「不幸」とは絶対に呼びたくありません。なぜなら、そう呼んだ瞬間、わたしは将来かならず不幸になるからです。死は決して不幸な出来事ではありません。愛する人が亡くなったことにも意味があり、あなたが残されたことにも意味があるのだと確信しています。そして、人が亡くなっても「不幸があった」と言わなくなるような葬儀の実現をめざしています。
そこで、わたしは天上の月に気づいたのです。ですので、わたしとしては、宇宙全体というよりも月に対して強い想いがあります。


なぜ月なのか?



続いて、わたしは「なぜ月なのか?」についてお話しました。
月は日本中どこからでも、また韓国や中国からでも、アメリカからでも見上げることができます。その月を死者の霊が帰る場所とすればいいのではないかと思ったからです。これは決して突拍子もない話でも無理な提案でもなく、古代より世界各地で月があの世に見立てられてきたという人類の普遍的な見方を、そのまま受け継ぐものです。世界中の古代人たちは、人間が自然の一部であり、かつ宇宙の一部であるという感覚とともに生きていました。そして、死後への幸福なロマンを持っていました。その象徴が月です。人類は、月を死後の魂のおもむくところと考えたからです。月は、魂の再生の中継点と考えられてきたのです。多くの民族の神話と儀礼のなかで、月は死、もしくは魂の再生と関わっています。規則的に満ち欠けを繰り返す月が、死と再生のシンボルとされたことはきわめて自然だと言えます。


岸本さんの質問を聴く



月は、あらゆる宗教の発生と深い関わりがあります。
特に、仏教とは深い関わりがあります。ブッダは、満月の夜に最古の経典である「慈経」の教えを説きました。ミャンマーをはじめとする東南アジアの仏教国では今でも満月の日に祭りや反省の儀式を行います。仏教とは、月の力を利用して意識をコントロールする「月の宗教」だと言えるでしょう。仏教のみならず、神道にしろ、キリスト教にしろ、イスラム教にしろ、あらゆる宗教の発生は月と深く関わっている。そのように、わたしは考えています。


考えながら、お答えしました



宇宙から来て宇宙に還るわたしたちは、宇宙の子です。
そして、夜空にくっきりと浮かび上がる月は、あたかも輪廻転生の中継基地そのものと言えます。人間も動植物も、すべて星のかけらからできている。その意味で月は、生きとし生ける者すべてのもとは同じという「万類同根」のシンボルでもあります。かくして、、わたしは、月に「万教同根」「万類同根」のシンボル・タワーとしての「月面聖塔」を建立し、レーザー(霊座)光線を使って、地球から故人の魂を月に送る「月への送魂」を思い立ち、実現をめざして、いろいろな場所でその構想を述べ、賛同者を募っています。


インタビュー取材のようす



さらに、わたしは「ムーン・ハートピア・プロジェクト」について以下のように述べました。
月に人類共通の墓があれば、地球上でのさまざまなお墓の問題も解消できますし、世界中どこの夜空にも月は浮かびますから、それに向かって合掌すれば、あらゆる場所で死者の供養をすることができます。また、遺体や遺骨を地中に埋めること、つまり埋葬によって死後の世界にネガティブな「地下へのまなざし」を持ち、はからずも地獄を連想してしまった生者に、ポジティブな「天上へのまなざし」を与えることができます。そして、人々は月を霊界に見立てることによって、死者の霊魂が天上界に還ってゆくと自然に思い、理想的な死のイメージ・トレーニングを無理なく行うことになると思いました。


最後の質問を受ける



最後に、「どのような方々に宇宙葬を利用してほしいですか?」との質問があり、わたしは以下のようにお答えしました。わが社では、「月あかりの会」という名称で、弊社で葬儀を行われた方を中心としたご遺族の会を運営しており、会員数は現在11000名を超えています。親睦を中心とした会ですが、会員の方々の中には大切な方を亡くされグリーフケアを必要とされる方もいらっしゃり、そのような方々には専門の担当者がその任に当たっています。現在は、この会の方々を中心にご案内を行なっています。


これからの葬送トレンドについて

永遠葬

永遠葬

わたしは、2015年に『永遠葬』という本を出しました。
終戦70周年記念の年に、葬儀は何のために行うのか、その明確な答えを書いた本です。
「家族の絆」がクローズアップされる一方で、「老い」や「死」がなぜ軽んじられるのか。「終活」という問題が大きなテーマになる中で、葬儀の重要性、必要性を語り、そして葬儀という「儀式」の必要性を説き、さらに変わりつつある死の迎え方の現実を豊富なデータや実例で紹介しながら、葬儀の実践方法をも紹介しました。


「永遠葬」について語りました



同書の中でわたしは、現在取り組んでいる葬送イノベーションを紹介しました。
日本人の他界観を大きく分類すると、「海」「山」「星」「月」となりますが、それぞれに対応した葬送スタイルで「海」は「海洋葬」、「山」は「樹木葬」、「星」は「天空葬」、そして「月」は「月面葬」となります。サンレーグループでは「海洋葬」「樹木葬」「天空葬」「月面葬」の四大葬送イノベーションを提唱しています。海は永遠であり、山は永遠であり、星は永遠であり、月は永遠です。すなわち、四大葬送イノベーションとは四大「永遠葬」でもあるのです。そんなことをお話しました。このインタビュー内容は、近日中にTNCニュースで流れる予定です。



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2017年2月27日 佐久間庸和