慈禮茶

サンレー紫雲閣の葬儀返礼品に新商品が誕生いたしました。その名も「慈禮茶」です。お茶の名産地である八女星野村の極上の茶葉をベースに日本茶インストラクターが各地の良質な茶葉をオリジナルブレンドした逸品です。サンレー紫雲閣事業部が監修して、株式会社丸島園と株式会社親和園のコラボレーションによって企画製造されたものです。


慈禮茶「禮」(2000円)



「慈禮茶」は、サンレー50周年記念のオリジナル商品として、まずは北九州地区・大分地区において2016年1月1日より販売していきます。また来年中には全国の紫雲閣においても販売していく予定です。商品は以下の3種類となっています。
●慈禮茶「禮」(れい)
煎茶(星野茶ブレンド)50g×2
¥2,000(税別)
紫色・緑色の煎茶の2本入り。外箱は紫を基調とした色合いで、中心に「禮」の字があしらわれています。


慈禮茶「慈」(2500円)



●慈禮茶「慈」(いつくしみ)
煎茶(星野茶ブレンド)50g×1、八女星野深蒸し茶 70g×1
¥2,500(税別)
紫色の煎茶・藍色の深蒸し茶の2本入り。外箱は銀を基調とした色合いで、中心に「慈」の字があしらわれています。


慈禮茶「和」(3000円)



●慈禮茶「和」(わ)
煎茶(星野茶ブレンド)50g×1、八女玉露 70g×1
¥3,000(税別)
紫色の煎茶・金色の玉露の2本入り。外箱は金を基調とした色合いで、中心に「慈」の字があしらわれています。



商品名となっている「慈禮」という言葉は、サンレー の「創業守禮」の精神、いわば初期設定をアップデートした新たなコンセプトなのです。商品名には礼の旧字体である禮を使用していますが、以下は新字体で表記します。
わが社の小ミッションは「冠婚葬祭を通じて良い人間関係づくりのお手伝いをする」です。
冠婚葬祭の根本をなすのは「礼」の精神にほかなりません。



では、「礼」とは何でしょうか。それは、2500年前に中国で孔子が説いた大いなる教えです。平たくいえば、「人間尊重」ということです。ですから、わが社では、さらなる大ミッションを「人間尊重」としています。わたしは、孔子こそは「人間が社会の中でどう生きるか」を考え抜いた最大の「人間通」であると確信しています。その孔子が開いた儒教とは、ある意味で壮大な「人間関係学」といえるのではないでしょうか。



「人間関係学」とは、つまるところ「良い人間関係づくり」を目的としています。
「良い人間関係づくり」のためには、まずはマナーとしての礼儀作法が必要となります。
いま、わたしたちが「礼儀作法」と呼んでいるものの多くは、武家礼法であった小笠原流礼法がルーツとなっています。小倉の地と縁の深い小笠原流こそ、日本の礼法の基本です。
特に、冠婚葬祭に関わる礼法のほとんどすべては小笠原流に基づいています。



しかしながら、小笠原流礼法などというと、なんだか堅苦しいイメージがあります。
実際、「慇懃無礼」という言葉があるくらい、「礼」というものはどうしても形式主義に流れがちです。また、その結果、心のこもっていない挨拶、お辞儀、笑顔が生れてしまいます。「礼」が形式主義に流れるのを防ぐために、孔子は音楽を持ち出して「礼楽」というものを唱えましたが、わたしたちが日常生活や日常業務の中で、いつも楽器を演奏したり歌ったりするわけにもいきません。ならば、どうすればいいでしょうか。
わたしは、「慈」という言葉を「礼」と組み合わせてはみてはどうかと思い立ちました。



「慈」とは何か。それは、他の生命に対して自他怨親のない平等な気持ちを持つこと。
もともと、アビダルマ教学においては「慈・悲・喜・捨」(じ・ひ・き・しゃ)という四文字が使われ、それらは「四無量心」、「四梵柱」などと呼ばれます。
「慈」とは「慈しみ」、相手の幸福を望む心です。
「悲」とは「憐れみ」、苦しみを除いてあげたいと思う心です。
「喜」とは「随喜」、相手の幸福を共に喜ぶ心です。
「捨」とは「落ち着き」、相手に対する平静で落ち着いた心です。



サンレーでは、北九州市門司区の和布刈公園にある日本で唯一のビルマミャンマー)式寺院「世界平和パゴダ」の支援をさせていただいています。ミャンマー上座部仏教の国です。上座部仏教は、かつて「小乗仏教」などとも呼ばれた時期もありましたが、ブッダの本心に近い教えを守り、僧侶たちは厳しい修行に明け暮れます。このパゴダを支援する活動の中で、わたしは上座部仏教の根本経典である「慈経」の存在を知り、そこに説かれている「慈」というものについて考え抜きました。
ブッダの慈しみは、イエス愛も超える」と言った人がいましたが、仏教における「慈」の心は人間のみならず、あらゆる生きとし生けるものへと注がれます。


「慈礼」はブッダ孔子のコラボです!



「慈」という言葉は、他の言葉と結びつきます。たとえば、「悲」と結びついて「慈悲」となり、「愛」と結びついて「慈愛」となります。さらには、儒教の徳目である「仁」と結んだ「仁慈」というものもあります。わたしは、「慈」と「礼」を結びつけたいと考えました。
すなわち、「慈礼」という新しいコンセプトを提唱したいと思います。
逆に「慈礼」つまり「慈しみに基づく人間尊重の心」があれば、心のこもった挨拶、お辞儀、笑顔、そして冠婚葬祭サービスの提供が可能となります。サンレーの経営理念「S2M」の1つである「お客様の心に響くサービス」が実現するわけです。今後も、わたしは「慈礼」を追求していきたいと思います。



わたしは、これまでに80冊の著書を上梓していますが、その最新刊は『和を求めて』(三五館)です。この本は「日本人とは何か」を追求した内容であり、『礼を求めて』および『慈を求めて』(ともに三五館)の続編です。わたしは日本人の「こころ」は神道・仏教・儒教の三つの宗教によって支えられていると思っています。「礼」は儒教の、「慈」は仏教の、そして「和」は神道の核心をなすコンセプトです。



「和」といえば、「和をもって貴しとなす」という聖徳太子の言葉が思い浮かびます。太子は、宗教における偉大な編集者でした。儒教によって社会制度の調停をはかり、仏教によって人心の内的平安を実現する。すなわち心の部分を仏教で、社会の部分を儒教で、そして自然と人間の循環調停を神道が担う・・・三つの宗教がそれぞれ平和分担するという「和」の宗教国家構想を説いたのです。この聖徳太子の宗教における編集作業は日本人の精神的伝統となり、鎌倉時代に起こった武士道、江戸時代の商人思想である石門心学、そして今日にいたるまで日本人の生活習慣に根づいている冠婚葬祭など、さまざまな形で開花していきました。


「礼」「慈」「和」が揃いました!



「和」は大和の「和」であり、平和の「和」です。
終戦70年という大きな節目に上梓した『和を求めて』は「日本」と「平和」をテーマにしていますが、サンレーが目指しているのは「ハートフル・ソサエティ」の実現です。


目指すは「ハートフル・ソサエティ」!



礼を求めて、慈を求めて、そして和を求めていく、それはとりもなおさず「ハートフル・ソサエティ」を実現したいという志の表明でもあるのです。
お茶の「おもてなし」を受けたとき、人は礼を知り、こころは癒され、場はなごみ、主客は一体となります。そう、ハートフル・ソサエティには「お茶」がよく似合うのです!


茶をたのしむ ―ハートフルティーのすすめ (日本人の癒し)

茶をたのしむ ―ハートフルティーのすすめ (日本人の癒し)

*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2015年12月20日 佐久間庸和