営業責任者会議

7日の午後から、 サンレーグループの全国営業責任者会議が行われました。
16時半からは、恒例の社長訓話の時間でした。訓話に先立ち、営業部門の各種表彰を行いました。わたしは感謝の念を込めて、表彰状や金一封を表彰者の方々にお渡ししました。


一同礼!

最初に、営業優績者の表彰をしました

心をこめて表彰しました

営業責任者会議のようす



表彰式が終わると、わたしは60分ほどの社長訓話をしました。
冒頭、「日経ビジネスオンライン」でサンレーの取り組みが紹介された記事を配布し、その話をしました。これは、「仏教界の予見者」こと「日経ビジネス」の鵜飼秀徳記者の記事です。鵜飼記者は、ブログ『寺院消滅』で紹介した話題の書の著者でもあります。


最初に「寺院消滅」について説明しました

寺院と互助会について話しました



記事は「冠婚葬祭互助会が乗り出した『孤独死対策』」のタイトルで、「寺院とコラボして『無縁社会』を『有縁社会』に」のサブタイトルがついています。
鵜飼氏は冠婚葬祭互助会について、「会員から積立金を集めて、葬式や結婚式などの多額の出費に備えるための組織だ。全国に葬祭ホールや結婚式場などを多数抱え、時が来れば、会員は施設を利用することができる」と説明。
「世界でも珍しい縁組織」の小見出しで、以下のように書かれています。
「互助会は終戦直後の1948年、神奈川県横須賀市でスタートした。
互助会は七五三、成人式、結婚式、葬式などの各種セレモニーを担ってきた。人生儀礼を大切にする日本人の文化風習に根差した組織と言える。
これら人生儀礼を執り行う際、「縁」の存在が欠かせない。例えば葬式では『地縁(隣組)』と『血縁(親族)』が取り仕切る。互助会もまた、ひとつの『縁組織』である。
互助会のような、相互扶助の精神で儀礼を担う縁組織は、世界でも類を見ないものだ」



鵜飼氏は、以下のように互助会が抱える問題についても書かれています。
「互助会は発足から70年近くを経て前受金が2兆円、会員数が2000万件を超える巨大ネットワークに成長した。だが、近年は葬儀の簡素化、地方都市の衰退などによって、伸び率が頭打ちになりつつある。互助会数も1986年の415社をピークに、現在は292社(2012年)にまで減ってきている。互助会は、寺院と同じように、存続問題を抱えているのだ」


営業責任者会議のようす

セレモニーホールの可能性を語る

互助会とは「縁組織」である!



そして、鵜飼氏はわたしが提唱する「寺院と互助会のコラボ」について紹介し、さらに、以下のようにサンレーの取り組みについて書いて下さいました。
「佐久間氏が代表を務める互助会大手サンレーがある北九州市で、その取り組みは始まっている。北九州市は、全国20政令指定都市の中で高齢化率が最も高い(28.2%)という。北九州市は高度成長期までは、八幡製鉄所を中心に『鉄都』として発展した。だが70年代以降は、産業構造の転換とともに、『鉄冷え』がおこり、人口が流出した。現在、独居老人や孤独死などの問題に直面している。この無縁社会こそ、互助会が向き合うべき課題――。
そこで佐久間氏率いるサンレーが始めたのが『隣人祭り』だ」


「和」について話しました



それから、最新刊である『和を求めて』(三五館)の話をしました。
「和」は日本文化のキーワードです。「和」を一躍有名にしたのが、かの聖徳太子です。太子の十七条憲法の冒頭には「和を以って貴しと為す」と書かれています。十七条憲法の根幹は「和」というコンセプトに尽きるでしょう。しかもその「和」は、横の和だけではなく、縦の和をも含んでいるところにすごさがあります。上下左右全部の和というコンセプトは、すこぶる日本的な考えです。それゆえに日本では、多数少数に割り切って線引きする多数決主義、いわゆる西欧的民主主義流は根付かず、何事も根回しして調整する全員一致主義の国なのです。


「天・地・人」について語りました



「天の時は地の利に如かず。地の利は人の和に如かず」とは『孟子』の言葉です。天の時、つまりタイミングは立地条件には及びません。しかし、立地条件も「人の和」には及ばないという意味です。人の和がなかったら、会社の発展もありません。組織の結束力を高めることは、仕事を成功させることにおいて非常に大事なのです。


「和」は『論語』に由来する!



孟子』が出てきましたが、実は日本文化のキーワードである「和」はメイド・イン・ジャパンではありません。聖徳太子の「和を以って貴しと為す」は太子のオリジナルではなく、『論語』に由来するのです。「礼の用は和を貴しと為す」が学而篇にあります。「礼のはたらきとしては調和が貴いのである」の意味です。聖徳太子に先んじて孔子がいたわけですね。


孔子の思想を訴えました




陽明学者の安岡正篤によれば、人間の意識が進むにつれて、喜怒哀楽の感情が発達するわけですが、その感情にいまだ発しないとき、すなわち一種の「独」の状態、これを別の言葉で「中」と言うそうです。中が発してみな節に中=あたる、これが「和」というものです。わたしたちの意識を「気」という文字で表わしますが、意識にもやっぱり意識の基本的なものがあるわけで、それは「気節」と呼ばれます。その気節を失わないのが「節操」です。音楽で言うならば、基本的な部分の音節が発して、すなわち音律となって、曲にあたり、これが和なのです。


「君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず」



論語』にはもうひとつ、「和」が出てくる有名な語句があります。
「君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず」です。「和」とは、自分の主体性を堅持しながら他と協調すること。「同」とは、付和雷同のことです。したがって、この言葉の意味は「君子は協調性に富むが、無原則な妥協は排斥する。小人は逆である。やたらと妥協はするけれども、真の協調性には欠けている」となります。


ホワイトボードのようす



日本の社会では、昔から和が強調され、現在でもしきりに組織の和が唱えられています。しかし、孔子のこの言葉に照らしてみると、わたしたちの理解している和に問題がないわけではありません。なぜなら、和が強調されるあまり、個人が組織の中に埋没する傾向が強いからです。また、全体の和に腐心するがゆえに確かな責任の追及ができません。あるいは、リーダーとしての責任ある判断や決断が振り回されて迷うなどなど。孔子に言わせれば、それは和よりも同に近いでしょう。結局、日本人は和と同を混同しているのです。和が重視され、強調されるのは、それ自体は結構なことです。だが、その前提として、一人ひとりの主体性がしっかりと確立されていなければなりません。それがあって、初めて本物の和が生まれてくるのです。



そして「和」は「平和」につながります。中村天風は、和の気持ちというものこそ、平和を現実に具体化する唯一の根本要素であると語りました。彼は、労使問題の紛糾や政党間の政争のようなものを例にあげ、ただ相互の利害関係にのみ重点を置いて、いたずらに条件本位の解決方法で平和を現実化しようとしても、絶対にうまく強調しないと断言しました。
相互の心の中に少しでも「和の気持ち」があるならば、「思いやり」という、さらにレベルの高い心情が発露し、当然ながら条件本位などという、自分たちに都合のよいことばかりを考えるというレベルの低い心情が自然と抑制もしくは中和されます。そして、相互の譲歩の限界は拡大され、苦もなく正しい協調が作られて、人類の生きる姿の中で最も貴いもの、すなわち平和が如実に具現するといいます。


原点は家庭の平和です!



ところが現実には、なかなか「和の気持ち」を持つことは難しいものです。
ならば、どうすればよいか。天風は言いました。「それは、何よりも、第一に個々の家庭生活の日々の暮らしの中に、真実の平和を築くことだ」と。なるほど、たしかに家庭内の夫婦が不仲で、職場の和も世界の平和もあったものではないでしょう。
まず、原点は家庭の平和。「夫婦和合」とは、よく言ったものですね。


和のこえ」について話しました



最後に、わが社の文化である「和のこえ」についても話しました。
わが社の名物は色々ありますが、「末広がりの五本締め」もその1つです。今では、サンレーグループ発で全国に広まってきました。もう1つ、サンレーには、「和のこえ」という企業文化があります。全員で手をつないで「がんばろう!」を3回唱和しながら両手を上下に動かすものです。これは、「和」のココロを見事にカタチにしたものなのです。


最後は一同礼!



今ではすっかりサンレー名物となりました。今から40年も前に、北九州に中曽根康弘大勲位が来られたとき、わが社の佐久間進会長が演説の後に、みんなで手を組んで「「和のこえ」を行ったそうです。それ以来、中曽根大勲位は佐久間会長に会うたびに、「あのときの盛り上がりは素晴らしかったね」と言われたそうです。
思えば、中曽根通産大臣時代に、冠婚葬祭互助会の法制化が成立したのでした。
この「和のこえ」をやると、本当にその場にいる人々の心が一体となります。わたしは「カタチにはチカラがあります。ぜひ、『和のこえ』のチカラで、予算達成を期待しています!」と述べ、社長訓話を終えました。



社長訓話後は、サンレー本社から松柏園ホテルに移動して、懇親会が開催されました。まずは、わたしが社長として挨拶し、「今夜の締めでは、ぜひ「和のこえ」をお願いします!」と言いました。それから、サンレー北九州の橋本常務の音頭で声高らかに乾杯しました。



懇親会の最後は、サンレー大分の畑中部長が中締めの挨拶をしました。畑中部長は、「これからも予算達成をめざして大いに頑張りましょう!」と言い、わたしが社長訓話で言及した「和のこえ」で締めくくりました。すると、不思議なパワーが体の底から湧いてきました。
やはり、カタチにはチカラがあります!



いま、冠婚葬祭互助会業界は大きな過渡期にあります。しかし、わたしたちは「人間尊重」をミッションとする礼業の会社として、正々堂々と胸を張って冠婚葬祭互助会の営業を行っていきたいものです。そして、互助会の会員さんが幸せになるためのお手伝いができるように、つねにアップデートを心がけ、アップグレードを目指したいと思います。
懇親会場の「長浜」を出ると、忘年会シーズン真っ盛り!
松柏園ホテルは大いに賑わっていました。


星降る松柏園ホテルで・・・



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2015年12月7日 佐久間庸和