フューネラルビジネス講演

東京に来ています。25日の朝、午前5時前に目が覚めました。
こんな時間に起きるのは珍しいのですが、その日に講演するレジュメのチェックなどをしました。ふと時刻を知るためにホテルのテレビをつけると、なんとワールドカップの日本vsコロンビア戦を実況中継しているではないですか!
「そうか、今日は日本が決勝リーグに行けるかどうかの大一番の日だった!」とようやく気づきました。その後はテレビに釘付けで観戦しました。前半の40分過ぎにに観戦スタートしたのですが、日本が終了間際に1点入れたときは「おおっ、いけるぞ!」と思いましたが、結果はご存知の通り惨敗。まことに残念でしたが、やはり世界の壁は厚かったですね。


日本、残念でした!(テレビ朝日より)



さて、24日から日本最大の複合コンベンションセンターであるパシフィコ横浜で「フューネラルビジネスシンポジウム2014」が開催されていますが、25日の12時からわたしが講演しました。演題は、「サンレーの葬儀イノベーション〜初期設定およびアップデートの具体的方法」というものです。主催者である綜合ユニコムさんがつけて下さいました。


パシフィコ横浜の前で

展示ホールの前で

互助会保証の岡本監査役

フューネラルビジネスシンポジウム2014」のセミナー会場前で



パシフィコ横浜で講演するのは、2010年7月7日以来の2回目です。受講料が1人8000円でしたが、多くの方々が集まって下さり、最も広いA会場がほぼ満員になりました。受講者は、フューネラル業界の関係者が中心です。
経済産業省や互助会保証の方々をはじめ、全互協や全互連の仲間たちもたくさん来てくれました。また、エリジウム・スペース社のトーマス・シベCEO、事業開発担当役員で(株)スペースシフト社長の金本成生さんも来てくれました。
さらには出版業界からの参加者も多く、「出版寅さん」こと内海準二さんや「出版界の真実一路」こと現代書林の坂本桂一社長、そして『決定版 冠婚葬祭入門』(実業之日本社)の出版でお世話になった有楽出版社の土田修さんも来て下さいました。


講演の冒頭に挨拶しました

みなさん、眠くないですか?



わたしは、講演の冒頭で「みなさん、眠くないですか? わたしも今朝は早起きしてワールドカップを観戦しました。日本は残念でしたね。ちょうど昼食を終えたところで、みなさん眠そうな顔をしていますね」と笑いながら言いました。しかし結果的は、最後まで寝ている人の姿は1人も見当たらず、参加者全員が真剣に聴いて下さいました。ありがたいことです。


サンレーとは?

冠婚葬祭とは何か?

混ざり合った日本人のこころ(1)

混ざり合った日本人のこころ(2)



それから、サンレーの社名について、また冠婚葬祭について述べました。
続いて、いつも考えていることをお話ししました。わたしは、冠婚葬祭互助会を経営しながら、大学で孔子の思想などを教えています。講義では、特に孔子が説いた「礼」について重点的に説明します。「礼」は儀式すなわち冠婚葬祭の中核をなす思想ですが、平たく言うと「人間尊重」であると思います。そして、「礼」を形にしたものが「儀式」です。孔子は「社会の中で人間がどう幸せに生きるか」ということを追求した聖人ですが、その答えとして儀式の重視がありました。人間は儀式を行うことによって不安定な「こころ」を安定させ、幸せになれるのです。そう、カタチにはチカラがあるのです!


カタチにはチカラがある」と訴えました

葬儀の必要性を説きました



冠婚葬祭のルールは変わりませんが、マナーは時代によって変化していきます。最近、情報機器の世界では「アップデート」という言葉をよく聞きます。アップデートによって新しい機能が追加されたり、不具合が解消されたりするわけです。冠婚葬祭にもアップデートが求められます。基本となるルールが「初期設定」なら、マナーは「アップデート」です。


初期設定とアップデートについて



この「初期設定」と「アップデート」については、 前回の営業責任者会議でも詳しく話しました。わが社には「創業守礼」と「天下布礼」という2つの言葉があります。
この2つの言葉は、わが社の原点であり未来です。48年前、佐久間進会長は万人に太陽の光のように等しく冠婚葬祭のサービスを提供したいと願って、サンレーを創業しました。そして、その根底には「礼」すなわち「人間尊重」の精神がありました。この創業時に掲げた「人間尊重」の精神を忘れないことが「創業守礼」であり、「人間尊重」の精神をあらゆる場所で、あらゆる人々に伝えることが「天下布礼」です。


サンレーの初期設定について



「創業守礼」とは、わが社にとっての初期設定です。
PCをはじめとする情報機器が誤作動して、うまく機能しなくなったら、初期設定に戻すことが必要です。これは情報機器のみならず、企業においても通用することだと思います。会社がおかしくなったら創業時の理念を思い起こす必要があります。
また情報機器の世界においては、「アップデート」が不可欠です。アップデートによって新しい機能が追加されたり、不具合が解消されたりするわけです。そして、企業にもアップデートが求められます。わが社の初期設定が「創業守礼」なら、アップデートは「天下布礼」です。 


サンレーのアップデートについて



「初期設定」と「アップデート」は、互助会業界においては何か? 
「初期設定」とは、もちろん、互助会の基本理念である「相互扶助」の精神です。「アップデート」とは、前受金の保全や役務保証や解約手数料などの諸問題に対応することでしょう。
その意味で、業界団体でいうならば、互助会の原点である保守本流の全互連は「初期設定」、経済産業省などの行政との交渉を担当する全互協は「アップデート」の役割を担っていると言えるかもしれません。


「創業守礼」と「天下布礼」を説明しました



さらに、わが社の初期設定は皇産霊神社天道館にあります。そして、アップデートは隣人館であり、「禮鐘の儀」であり「月への送魂」であると言えます。アメリカで大きな話題となった宇宙葬のルーツもわが社のムーン・ハートピア計画です。今年は「海洋葬」にも本格進出しましたし、さらには近いうちに樹木葬霊園事業にも進出します。


今後の葬儀演出について

日本人の他界観

月こそ「あの世」である

月への送魂」の動画を流しました



宇宙葬について説明しました

来場していたトーマスCEOを紹介しました



そして、今後の葬儀演出コンセプトに触れ、本題である葬儀イノベーションを紹介しました。
日本人の他界観を大きく分類すると、「山」「海」「月」「星」となりますが、それぞれが「樹木葬」「海洋葬」「月面葬」「宇宙葬」に対応しています。新しい葬儀イノベーションはそれらの他界観を見事にフォローしているわけです。
ここで、わたしは聴講していた「宇宙葬のカリスマ」ことエリジウム・スペース社のトーマス・シベCEOを紹介しました。トーマスCEOは立ち上がって会釈し、盛大な拍手を受けました。


禮鐘の儀」を紹介しました

禮鐘の儀」の動画を流しました


それから、現実的な儀式イノベーションとして「禮鐘の儀」を紹介し、動画も流しました。
これは、葬儀での出棺の際に霊柩車のクラクションを鳴らさず、鐘の音で故人を送るセレモニーです。紫雲閣では、昨今の住宅事情や社会的背景を考慮し、出棺時に霊柩車のクラクションを鳴らすのではなく、禮の想いを込めた鐘の音による出棺を提案します。使用する鐘は、宗教に捉われない鰐口を使います。また、サンレー独自のオリジナル出棺作法として、3点鐘(3回叩く)による出棺とします。この3回というのは「感謝」「祈り」「癒し」の意味が込められています。あと、「サンレー」に通じる「三禮」という意味もあります。会場のみなさんは、この「禮鐘の儀」に多大な興味を抱かれたようで、身を乗り出して動画を観られていました。


グリーフケアについて

「また会えるから」のPVを流しました



グリーフケアソングが広い会場に流れました♪

月あかりの会」を紹介しました



続いて、わが社の最大のアップデートともいえるグリーフケアへの取り組みをお話ししました。
わたしが作詞した「また会えるから」のPVを流し、グリーフケア自助グループである「月あかりの会」やグリーフケア・サロンの「ムーンギャラリー」についても説明しました。
これまで、冠婚葬祭業は労働集約型産業として見られていました。しかし、知識集約型産業への転換を計っていかなければ葬儀の価値の創造を行っていけません。多様化する顧客のニーズにこたえるためには旧態然とした構造では対処できません。そのため、わが社では知識労働者を育成するために、ISOや1級葬祭ディレクターなどの継続学習を行ってきました。しかし、さらに高品質なサービスの提供のために「思いやり」「感謝」「感動」「癒し」などのポジティブな心の働きが集約された精神集約型産業へ進化しなければならないと考えます。その中の「癒し」を提供するものとして、グリーフケア・サポートは不可欠であり、フューネラル産業としても積極的に取り組んで行かなければなりません。


最後は「慈礼」について語りました

こんなに素晴らしい仕事はありません!

無事に講演が終了しました

盛大な拍手を頂戴しました



最後は、新時代の冠婚葬祭サービスにとってのコンセプトとなる「慈礼」について語りました。そして、わたしは「今日この会場におられるみなさまは葬儀に関係する業界の方々が多いと思います。この葬儀という仕事ほど奥が深く、人を幸せにできる仕事はありません。わたしは心の底からこの仕事に誇りを抱いています。ぜひ、みなさまも誇りと自信を持って、この素晴らしい礼業に取り組まれて下さい。本日は、ありがとうございました!」と言って、講演が終了しました。終了後は盛大な拍手を頂戴し、感激しました。


講演終了後は名刺交換しました

名刺交換に長蛇の列ができました

エリジウム・スペース社の2人と



その後、ロビーで講師と参加者の名刺交換が行われました。
わたしは多くの参加者の方々と名刺交換をさせていただきました。
みなさん、「素晴らしい講演でした」「感動しました」などと言って下さいましたが、「この年齢になって、今日初めて葬儀という仕事に誇りが持てました。心より感謝いたします」と述べる高齢の葬儀社の社長さんや、「じつは夫を亡くしたばかりで会社を閉めようかと思っていましたが、今日のお話で勇気づけられました。当社でもぜひ、グリーフケアをやりたいです」と涙声で言われる女性経営者の方もいらっしゃいました。また、「何十年間もさまざまな講演を聴いてきましたが、今日ほど格調高くて感激した講演は初めてです」と固くわたしの手を握られた方もいました。さらには、「禮鐘の儀は素晴らしいですね。わが社にも導入したいです」と言われる大手互助会の社長さんもおられました。わたしは「ああ、ありがたいなあ」と感謝しました。


打ち上げでカンパイ!



その後、パシフィコ横浜から横浜中華街へと移動し、関係者や社員たちと一緒に遅めのランチを取りました。おいしい中華料理を食べながら、楽しい会話が弾みました。
ずっと息をつく暇もないほど慌ただしかったわたしのハード・スケジュールも、今日でいったん区切りがつきます。体調を崩さずになんとか乗り切れて良かったです。明日は北九州へ戻り、明後日は中津で新しい紫雲閣の起工式に参加します。


出版関係者と中華街で・・・・・・



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2014年6月25日 佐久間庸和