孔子(3)


仁は楽に近く、義は礼に近し




言葉は、人生をも変えうる力を持っています。
今回の名言は、『論語』に登場する孔子の言葉です。
わたしは、会社の行事でよく歌います。新年祝賀式典の懇親会から新入社員の歓迎会、そしてもちろん各部署の忘年会などで、サザンオールスターズ矢沢永吉のナンバーを歌い上げます。特に式典などで硬めの社長訓示をした後、懇親会でウクレレを演奏しながら歌うと効果絶大で、社員はとても喜んでくれます。わたしは別に目立ちたがり屋ではありませんし、受けを狙ってやっているのでもありません。ずばり、孔子が説いた「礼楽(れいがく)」というものを意識してやっているのです。


論語 (岩波文庫 青202-1)

論語 (岩波文庫 青202-1)


「礼」を唱えた孔子はまた、度はずれた音楽好きでもありました。
論語』には、「子、斉に在りて 韶(しょう)を聞く。三月、肉の味を知らず。曰く、図らざりき、楽をなすことのここに至らんとは」とあります。孔子は斉国にいるとき、聖天子とされた舜の音楽を聞いた。感動のあまり長い間、肉の味がわからなかった。そして孔子は言った。「思いもよらなかった。音楽にここまで熱中してしまうとは」と。                     

「礼楽」文化 東アジアの教養

「礼楽」文化 東アジアの教養


その「楽」を、孔子は「礼」と組み合わせました。
「楽は内に動くものなり、礼は外に動くものなり」。
音楽は、人の心に作用するものだから内に動く。
礼は、人の行動に節度を与えるものだから外に動く。



「礼は民心を節し、楽は民生を和す」。
礼は、人民の心に節度を与えて区切りをつけるものであり、音楽は、喜怒哀楽の情をやわらげて人民の声を調和していくものである。



「仁は楽に近く、義は礼に近し」。
仁の性格は音楽に近く、義の性格は礼に近い。つまり、仁は情を主とし、音楽は、和を主とするからである。また、義は裁判を主とし、礼は節度を主とするからである。それゆえ、礼楽は教育のもとであると同時に、仁義に通じる人の道の根本である。


音楽は人の心をひとつにします♪

背中でウクレレだって弾きますとも♪



そして、「楽は同を統(す)べ、礼は異を弁(わか)つ」。
音楽は、人々を和同させ統一させる性質を持ち、礼は、人々の間のけじめと区別を明らかにする。つまり、師弟の別、親子の別というように礼がいたるところで区別をつけるのに対して、音楽には身分、年齢、時空を超えて人をひとつにする力があるのです。サザンや矢沢のナンバーが、社長であるわたしと社員のみなさんの心をひとつに結びつけてくれるのです。
なお、今回の孔子の名言は『龍馬とカエサル』(三五館)にも登場します。


龍馬とカエサル―ハートフル・リーダーシップの研究

龍馬とカエサル―ハートフル・リーダーシップの研究

*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2013年7月15日 佐久間庸和