お客様アンケート

ついに5月になりました。あと10日で50歳になります。
連休のあいだ、わたしは山のように溜まった「お客様アンケート」を読みました。
サンレーの社長室には、冠婚部門、葬祭部門に分かれて全国から数え切れないほど多くのアンケート用紙やハガキが届きます。すべてのアンケートはお客様から当社へのラブレターととらえ、1枚ずつ1字1句をじっくり読ませていただきます。
内容がクレームの場合、お客様に不愉快な思いをさせた申し訳なさと、大事なことを教えていただいた有難さで、アンケート用紙に向かって手を合わせます。


毎日、大量のアンケートが届きます



ハインリッヒの法則」というものをご存知ですか。『法則の法則』(三五館)の中で詳しく説明しましたが、失敗を法則化したものです。それによれば、1件の重大事故の裏には29件の軽微な事故があり、さらにその後ろにはヒヤリとした事例が300件潜んでいるといいます。そのヒヤリを見て、見ないふりをすると大きなツケになるのです。
また、苦情に関するデータには次のようなものがあります。 不満を持った顧客のうち、苦情を言う顧客は27人に1人である。不満を持った顧客は平均8人から10人の人に不満を言いふらす不満を持った顧客の5人に1人は、20人の人に言いふらす。不満が解決された顧客は、不満がなかった顧客より再購入の比率が高い。
良くも悪くも、顧客のクチコミ効果というものは、企業の広告の2倍以上なのです。


法則の法則―成功は「引き寄せ」られるか

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このように、苦情やクレームといったものの存在意義はきわめて大きいと言えます。
苦情を言う人とは「ハインリッヒの法則」でいう重大事故に至らないために注意を与えてくれるという側面があるのです。ですから、クレーマーを嫌うことなく、会社の健全な経営を支えてくれるアドバイザー、つまり「師」ととらえることが必要です。
苦情は、会社への贈り物のようなものです。贈り物だから対応に気後れしなくても良い、と考えれば気が楽になります。贈り物をもらったときに「ありがとうございます!」と言うのと同じように感謝の態度が身につけばよいのです。そうすれば、苦情を言われても、価値あるものとしてそれを心から歓迎して受け容れることができます。



具体的には、苦情には次のように8段階で対応することが好ましいと言えます。
「ありがとうございます」とお礼を言う。
苦情に感謝した理由を説明する。
誠意をもって、ミスを謝罪する。
迅速な問題対処を約束する。
必要な情報を依頼する。
ミスを「迅速に」是正する。
顧客満足度をチェックする。
今後のミスを予防する。



もちろん、お客様からのメッセージは苦情だけではありません。
逆に、お褒めの言葉をいただくこともあります。
というよりも、アンケートには苦情よりも圧倒的に多くの感謝の言葉が綴られています。
ほとんどのアンケート用紙には「ありがとうございました」と書かれています。



わたしたちは、冠婚葬祭のサービスを無料で提供しているわけではありません。
ちゃんと料金を頂戴しており、ボランティアではなく仕事として業務を行っているわけです。
それにもかかわらず、多くのお客様は「ありがとう」と言って下さる。
お客様からお金を払っていただいて、さらに感謝の言葉まで頂戴できるとは、なんと有難いことでしょうか。特に、「サンレーさんにお願いして、本当に良かった」というような言葉に触れると、嬉しくて涙が出てきます。


むすびびと―こころの仕事

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最期のセレモニー ~メモリアルスタッフが見た、感動の実話集~

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本当に、サービス業というのは「こころの仕事」であると痛感します。
「こころの仕事」の具体的なエピソードは、『むすびびと〜こころの仕事』(三五館)、『最期のセレモニー〜メモリアルスタッフが見た、感動の実話集』(PHP)などに紹介されています。
グッドコメントにせよバッドコメントにせよ、アンケートに書かれたお客様からのメッセージを読むたびに、わが社の使命が思い起こされます。
そして、心の底から「もっとお客様のお役に立ちたい」という強い想いが生まれてきます。
わたしは、アンケートを通して、お客様の心を理解したいと願っています。



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2013年5月1日 佐久間庸和