佐久間庸和です。19日の朝、小倉の気温は10度。
末吉興一・元北九州市長の通夜式が 小倉紫雲閣で行われるこの日、早朝から松柏園ホテルの神殿において月次祭が行われました。今年最後の月次祭となります。
父の遺影に話しかけました
松柏園に到着して貴賓室に入ったら、いつものようにデスクの上に父である佐久間進名誉会長の遺影が置かれていました。父は、いつも見守ってくれています。わたしは遺影に向かって「お元気ですか? 今日は、今年最後の月次祭と天道塾ですよ。各事業部が今年一年を振り返ります。あと、今夜は末吉市長のお通夜ですよ」と話しかけました。
神事の最初は一同礼!
月次祭のようす

月に1度の「月次祭」です

儀式の厳粛さに背筋が伸びます
この日、皇産霊神社の是則神職によって神事が執り行われました。サンレーを代表して、わたしが玉串奉奠を行いました。会社の発展と社員の健康・幸福、それに能登半島地震の被災者の方々の日常が早く戻ることを祈念しました。

太鼓を叩く是則神職

玉串奉奠で拝礼しました

山下常務に合わせて拝礼

神事の最後は一同礼!
わたしに続いて山下常務が玉串奉奠をしました。山下常務と一緒に参加者たちも二礼二拍手一礼しました。その拝礼は素晴らしく美しいものでした。わが社が「礼の社」であることを実感しました。儀式での拝礼のように「かたち」を合わせると「こころ」が1つになります。神事の後はバンケットに移動して、恒例の「天道塾」を開催しました。
本日の「天道塾」開始前のようす
最初は、もちろん一同礼!

わたしが登壇しました
最初に挨拶しました
冒頭、わたしが挨拶をしました。
わたしは、「昨日、最後の東京出張から戻ってきました。今年も残りわずかになりましたが、今日は非常に忙しいです。月次祭、天道塾の後は、東京から『フューネラルビジネス』の方々が来られて、インタビュー取材を受けます。夜は北九州市の末吉元市長のお通夜があり、VIPを含む多くの参列者が予想されます。これから今年を振り返って、来年の飛躍に繋げたいと思います」と述べました。
北陸本部の発表
沖縄本部の発表
大分事業部の発表
宮崎事業部の発表
最後は北九州本部の発表

来年への意気込みを語る山下常務
沖縄より「まとめ」の発表
席を移動して、発表を聴きました
その後、「令和7年を振り返って」として、インターネット会議が行われました。サンレーの北陸・沖縄・大分・宮崎・北九州の順で業績や活動の報告がありました。それぞれの地の本部長や事業部長が今年の総括と来年の展望について語りました。その後、サンレー沖縄の佐久間康弘社長が「まとめ」を発表しました。
最後に、わたしが登壇しました
そして、最後にわたしが再び登壇し、総括を行いました。わたしは「まずは、1年間、一生懸命に働いていただいたみなさまに心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました」と言って一礼しました。それから、「一昨年、昨年はサンレーグループの歴史の中でも新記録の連続でしたが、今年は物価や人件費の高騰などもあって、会社を整える時期であったように思います。早いもので、今年も残すところ、あと2週間。今後、社会の変化に合わせて、さまざまな改革やイノベーションが求められます」と述べました。
コミュニケーションホールでグリーフケアを!
今月9日には頴田紫雲閣および小竹紫雲閣がオープン。15日には友田紫雲閣がオープンしました。いよいよ、来年の創立60周年に向けての100店達成が見えてきました。しかし、わが社は「葬儀をする施設」であるセレモニーホールから「葬儀もできる施設」であるコミュニティホールを目指して施設展開してきました。高齢者の日常的なコミュニケーションやカルチャー支援の場であり、愛する人を亡くした人たちへのグリーフケアの場にしたいと願っています。
初期設定を考えることが大事!
熱心に聴く人びと
そして、いま、冠婚葬祭はアップデートだけでなく、初期設定を考えることが大事だと思います。佐久間進は國學院大學で国学と日本民俗学を学び、冠婚葬祭互助会であるわが社を創業しました。本居宣長や平田篤胤らの国学が「日本人とは何か」を問う学問なら、柳田國男や折口信夫らの日本民俗学は「日本人を幸せにする方法」を探る学問でした。そして、父にとっての冠婚葬祭互助会はその学びを実践するものでした。国学から日本民俗学へ、そして冠婚葬祭互助会へ。日本人の幸福論は進化を遂げてきたのです。
互助会は日本人によく合う!
生前の名誉会長は「互助会は日本人によく合う」と常々語っていました。また、「互助会の可能性は無限である」、さらには「互助会こそが日本を救う」という信念を持っていました。最近では「互助共生社会」という言葉を使い、未来に向けた新たな社会像を描いていました。それは、わたしが長年提唱し続けてきた「ハートフル・ソサエティ」に通じます。冠婚葬祭事業の未来に対して悲観的な意見を述べる方も少なくありません。しかし、佐久間名誉会長にとって、冠婚葬祭は日本人の心をつなぎ、人々が互いに助け合い支え合う社会を作り出すための基盤であり、その可能性は無限であると信じていたのです。
「鬼滅の刃」と「国宝」について

熱心に聴く人びと
わたしは『「鬼滅の刃」と日本人』(産経新聞出版)を書きました。おかげさまで大好評で、発売と同時に在庫がなくなり、重版が決定。出版不況が叫ばれる中での『発売即重版』に驚いています」と言いました。「鬼滅の刃」の劇場版は2020年、2025年の2回にわたって社会現象を巻き起こしました。劇場版「鬼滅の刃」の最新作が社会現象を巻き起こす中で、同時に大ヒットを記録した実写映画があります。歌舞伎の世界を描いた「国宝」です。この作品について考えることは「鬼滅の刃」について考えるための思考の補助線になります。「国宝」も「鬼滅」もきわめて日本的な物語であり、「かたち」の「ちから」を描いています。それが揺れる日本人の不安な「こころ」をケアしたのでしょう。
「かたち」が「こころ」を安定させる
人間の不安な「こころ」を安定させるものといえば、なんといっても「かたち」としての儀式です。人生の節目に起こる「不安」のたびに冠婚葬祭があるのも、そのためです。そして、「鬼滅の刃」という物語は日本人にとって儀式と同じ機能を持っているといえます。相変わらず国内も国外も政治が不透明で、社会全体がストレスフルな現在、『「鬼滅の刃」と日本人』が多くの日本人にとって未来を生きていくヒントとなることを願っています。
子どもは国の宝です!
来年は1月早々に『こども冠婚葬祭』(昭文社)を上梓します。わたしは現在、一般財団法人 冠婚葬祭文化振興財団の理事長を務めていますが、子どもたちへの儀礼文化の継承をライフワークとしています。同書では、イラストをふんだんに使って、通過儀礼や年中行事の意味や意義を楽しく伝える内容としました。全国の小中学校の図書館から多くの注文が入っており、今後も「死」や「グリーフケア」をテーマにした児童書も書きたいと考えています。子どもは国の宝であり、わたしたちの未来です。貧困ゆえに満足に食事をできないお子さんのために、わが社としても「こども食堂」の展開に取り組みます。また、各種の子ども支援団体には個人的に寄付したいと考えています。
冠婚葬祭ほど大切なものはない!
来年は財団が創立10周年を迎えますが、なんといってもサンレー創立60周年の年です。60周年に合わせて会社再編を行い、九州&北陸のサンレーグループと沖縄のサンレーゆいまーるグループに分かれます。とはいっても、もとは1つの会社ですので、今後も助け合い、励まし合って、共に発展を遂げたいと思います。そう語った後、わたしは「とにかく冠婚葬祭ほど大切なものはありません。ぜひ、この仕事に誇りを持ち、『文化の防人』として来年も励んで下さい!」と言ってから、わたしは降壇したのでした。
最後は、もちろん一同礼!

父の銅像の前で
2024年12月19日 佐久間庸和拝