永遠の知的生活   

サンデー毎日」2017年5月21日号が発売されました。
表紙の人物は黒塗りです。どうせ、ジャニーズ事務所のタレントでしょう。
わたしは同誌にコラム「一条真也の人生の四季」を連載しています。
第79回目のタイトルは、「永遠の知的生活」です。


サンデー毎日」2017年5月21日号



上智大学名誉教授の渡部昇一氏が亡くなられました。
2014年の7月7日、わたしは渡部氏のご自宅を訪問し、謦咳に接する機会を得ました。
「世界一」と呼ばれる書斎や書庫にもご案内いただき、まさに至福の時間でした。



わたしは氏の著書はほとんど読んでいるつもりですが、最初に読んだ本は大ベストセラー『知的生活の方法』(講談社現代新書)でした。この本を中学1年のときに読み、強い感銘を受けました。読書を中心とした知的生活を送ることこそが理想の人生であり、生涯を通じて少しでも多くの本を読み、できればいくつかの著書を上梓したいと強く願いました。



わたしは『あらゆる本が面白く読める方法』(三五館)という「読書」をテーマにした本を書きましたが、これは恩書である『知的生活の方法』へのオマージュだと思っています。
その後、14年8月14日、渡部氏と対談をさせていただきました。その内容は『永遠の知的生活』(実業之日本社)として刊行されています。



対談は5時間以上にも及びましたが、最後に、わたしは書名でもある「永遠の知的生活」について質問させていただきました。渡部氏は「キリスト教の研究家にこんなことを教えてもらいました。人間が復活するときは、最高の知性と最高の肉体をもって生まれ変わるということです」と言われました。これほど心強い言葉はありません。わたしは「それを信じてがんばります。まさに『安心立命』であります」と述べました。



わたしは、かのゲーテと同じく理想の知的生活を実現された、おそらく唯一の日本人であろう渡部氏に対して『ゲーテとの対話』の著者であるエッカーマンのような心境でお話を伺わせていただきました。当時の渡部氏は84歳でしたが、「95歳まで読書を続け、学び続ける」と宣言されていました。



渡部氏ほどの「知の巨人」でも学ぶことをやめないのです。そのことに、わたしは猛烈に感動しました。人は死ぬまで学び続けなければなりません。わたしも、死ぬまで学び続けたいと心の底から思います。渡部昇一先生のご冥福を心よりお祈りいたします。


サンデー毎日」2017年5月21日号の表紙



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2017年5月9日 佐久間庸和