『古事記』はサンレーの物語  

29日の夕方、サンレーグループ報「Ray!」3月号が発行されます。
リアルタイムで、わたしの最新メッセージをお伝えいたします。
タイトルは、「『古事記』公演大成功! 大いなるサンレーの物語」です。


「Ray!」2017年3月号



サンレー古事記」公演
先日、サンレー創立50周年記念の舞台「古事記天と地といのちの架け橋〜」が北九州芸術劇場で上演されました。わが社の主催で、朝日新聞社西日本新聞社毎日新聞社、読売新聞西部本社が後援でした。満員御礼でした。
劇団「東京ノーヴイ・レパートリーシアター」による舞台で、同劇団は東京・下北沢を拠点として活動している、レパートリー・シアター劇団です。芸術監督は、ロシア功労芸術家のレオニード・アニシモフ氏です。昨年、同劇団はロシア公演を行い、「古事記」を上演しましたが、「言語や民族を超えた普遍性がある」と超満員の観衆から絶賛を受けました。この舞台、わたしは一昨年の秋に初めて観ましたが、深い感銘を受けました。



●神事としての「古事記」上演
上演に先立って、劇場のステージでは神事を執り行いました。
この舞台に八百万の神々が降りられるわけですから、念入りに「降神の儀」を行わなければなりません。舞台の安全祈願、成功祈願もしました。アニシモフ監督と一緒に、わたしも玉串奉奠をしました。神事を司ったのは、皇産霊神社の瀬津隆彦神職で、この日は多くの神社の宮司さんたちも各地から集まっていました。
後から何人もの役者さんから御礼のお手紙を頂戴しましたが、みなさん、この舞台前の神事に非常に感動されたそうです。もともと演劇のルーツは儀式であるとされていますが、この「古事記」の舞台そのものも儀式であったと言えます。
わたしたちは、どこから来て、何をめざすのか? 
日本人の心のルーツである『古事記』。その太古から口づてに伝承された神話が、生きた感情で、現代の「儀式」として甦りました。



●結婚よりも結婚式が先
第1部の冒頭は「国生み」神話です。天地を動かし、国を固め、万物を生み出し、この世をみえる形に現す働きの神として、男神であるイザナギノミコトと、女神であるイザナミノミコトが生まれました。そして、両神は正式な作法に従って夫婦となります。すなわち、結婚式は結婚よりも先にあったのです。一般に、多くの人は、結婚をするカップルが先にあって、それから結婚式をすると思っているのではないでしょうか。でも、そうではないのです。
古事記』では、イザナギイザナミはまず結婚式をしてから夫婦になっています。つまり、結婚よりも結婚式のほうが優先しているのです。他の民族の神話を見てもそうです。すべて、結婚式があって、その後に最初の夫婦が誕生しているのです。つまり、結婚式の存在が結婚という社会制度を誕生させ、結果として夫婦を生んできたのです。ですから、結婚式をしていないカップルは夫婦にはなれないのです。



グリーフケアの物語
第2部では、最愛の妻を喪ったイザナギが嘆き悲しむ場面から始まります。そう、『古事記』とは、悲嘆から回復するグリーフケアの物語なのです。
鎌田先生によれば、『古事記』には「女あるいは母の嘆きと哀切」があります。悲嘆する女あるいは母といえば、三柱の女神の名前が浮かびます。第1に、イザナミノミコト。第2に、コノハナノサクヤビメ。そして第3に、トヨタマビメ。『古事記』は、物語ることによって、これらの女神たちの痛みと悲しみを癒す「鎮魂譜」や「グリーフケア」となっているというのです。
最もグリーフケアの力を発揮するものこそ、歌です。歌は、自分の心を浄化し、鎮めるばかりでなく、相手の心をも揺り動かします。歌によって心が開き、身体も開き、そして「むすび」が訪れます。「むすび」という語の初出は『古事記』においてです。



●「むすび」とは何か
古事記』冒頭の天地開闢神話には二柱の「むすび」の神々が登場します。
八百万の神々の中でも、まず最初に天之御中主神高御産巣日神神産巣日神の三柱の神が登場しますが、そのうちの二柱が「むすび」の神です。
古事記』は「むすび」の神をきわめて重要視しているのです。
古事記』には、あまりにも有名な「むすび」の場面があります。天の岩屋戸に隠れていた太陽神アマテラスが岩屋戸を開く場面です。アメノウズメのストリップ・ダンスによって、神々の大きな笑いが起こり、洞窟の中に閉じ籠っていたアマテラスは「わたしがいないのに、どうしてみんなは楽しそうに笑っているのか?」と疑問に思い、ついに岩屋戸を開きます。



サンレーに弥栄あれ!
そして、「天の岩戸開き」という最大のハイライトシーンこそ、グリーフケアの実現です。グリーフケアとは、闇に光を射すことです。「天の岩戸」という洞窟に閉じ籠もっているアマテラスを明るい世界へ戻すこと。そして、それが「むすび」につながります。まさに神を敬い、人間を尊重するという「礼」の精神を讃えることにもなります。
最近、わが社は葬儀後の遺族の方々の悲しみを軽くするグリーフケアのサポートに力を注いでいるのですが、舞台「古事記」を観て、それが必然であることに気づきました。なぜなら、グリーフケアとは、闇に光を射すことです。洞窟に閉じ籠っている人を明るい世界へ戻すことです。そして、それが「産霊」と「讃礼」へとつながるのです。
サンレー創立50周年記念にこれほどふさわしい演劇、いや儀式はありませんでした。八百万の神々をお迎えしたわたしたちは、より強い使命感をもって、儀式で世の人々を幸せにするお手伝いをしたいものです。サンレーに弥栄(いやさか)あれ!


日の光むすびの力そして礼
    われらの命(めい)を古事記に学び   庸軒


*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2017年3月29日 佐久間庸和