80にして・・・

明日から三連休だそうですが、なにかとバタバタしています。ブログ「三萩野紫雲閣竣工式」で紹介したように、昨日はわが社の新施設がオープンしました。また、昨日は600ページの大著『儀式論』(弘文堂)、今日は島田裕巳氏との共著『葬式に迷う日本人』(三五館)の2冊の「一条本」が新たにアマゾンにUPしました。そんな慌ただしさの中にありますが、今日は金曜日なので、 小倉ロータリークラブの例会に参加しました。


本日の例会のようす



三連休前の例会ということで、心なしか出席者が少ないように感じました。
月初の例会では、誕生日祝いと結婚記念祝いが行われます。まずは、10月に誕生日を迎える会員さんが前に出ました。それから、みんなで「誕生日の歌」を歌いました。
また結婚記念日祝いでは、10月に結婚記念日を迎える会員さんが前に出ました。代表して原田光久会員(日本磁力銑鋼社長)が「先日、西日本新聞さんから金婚式を祝っていただきました」と挨拶されました。それから、全員で「結婚記念日の歌」を歌いました。



それから、「新会員紹介」の時間です。
(株)TVQ九州放送の専務取締役北九州本社代表の児嶋昭さんが新会員として紹介されました。紹介者である西日本新聞北九州本社代表の玉井行人会員が「児嶋会員は西日本新聞社の大先輩です。わたしが最も尊敬する2人の先輩のうちの1人で、これからご一緒できるなんて、本当に夢のようです」と述べました。その後、児嶋会員は「ロータリー活動は初めてですので、みなさん、よろしくお願いいたします」と挨拶されました。


死を乗り越える映画ガイド あなたの死生観が変わる究極の50本

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その後は、「ニコニコBOX」です。ここで原田会員が「西日本新聞の玉井さん、金婚式を祝っていただき、ありがとうございました」というメッセージに続いて、「佐久間さん、新著をお送りいただき、ありがとうございました。感想をEメールに書きました」とのメッセージを発表して下さいました。原田会員は大の映画好きと伺っていましたので、『死を乗り越える映画ガイド』(現代書林)を献本させていただきました。
すると、原田会員から御礼メールが届き、そこには以下のように書かれていました。
「とにもかくにも見(読み?)終えました。子供の時から映画は好きでした。昭和28年4月高校3年になり映画は見ないと決めました。少し経って6月たしか28日大水害で床上浸水、学用品みな流失。先の決心を無かったことにして映画をどんどん見ました。
初めに見たのがJames Cagny,Hamphrey BogartのOklahoma Kidでした。今、久し振りにネットでちょっと見てこんなのだったな・・・と思いました。学生時代とその後暫くは熱心に映画を見ましたがその後どういうことか極く稀にしか見なくなりました。が、貴著は思いださせることもとても多く実に楽しんで読みました。重ねて厚くお礼申しあげます」
オクラホマ・キッド」はわたしも大好きな作品です。そのことを返信に書くと、原田会員から「古い映画も新しいのも兎に角多く見られてるのですね。いろいろお聞きすることが出来るだろうというのが楽しみです」とのメールが届きました。



さて、わたしも「ニコニコBOX」で貧者の一灯を捧げました。
メッセージは、「一昨日、神戸出張から戻りました。朝、JR新神戸駅に着くと、機動隊員がたくさんいてビックリ! 聞くと、Y組の組長さんが新幹線に乗られるのだとか。同じ車両になるのではと緊張しましたが、違いました。JR小倉駅に着くと、機動隊員もおらず、のんびりした光景が広がっていました。平和な街に住むことができて、本当に幸せです!」というものでした。
すると、なぜか会場の各所から笑いが起きました。


卓話をする熊澤先生



それから卓話の時間になりました。本日の卓話者は、九州大学医学部泌尿器科名誉教授の熊澤浄一氏でした。テーマは「80にして・・・」です。小倉ロータリークラブの伊与田会長から紹介を受けた後、登壇された熊澤氏はとても80代には見えないくらい矍鑠とされていました。
熊澤氏はまず、「わたしは小倉東クラブに所属していますが、以前は福岡クラブでした。小倉クラブは大変な名門ですので、みなさん、そのことをぜひ自覚して下さい」と言われました。それから、欧米では泌尿器科は外科と一緒なのに、なぜ日本では皮膚科と一緒なのかという話をされました。泌尿器科の歴史は初めて耳にすることが多く、興味深かったです。



それから「80にして・・・」の本題に入り、熊澤氏は「人間、やはり長生きしたいもの。『自分は長生きしたくない』などと言う人に限って、じつは長生きしたいものです。『自分は死ぬまで、したいことをする』と言う人に『では、何がしたいのか?』と訊ねると、『マージャンがしたい』『ゴルフがしたい』などと答えます。でも、マージャンは頭がボケていてはできないし、ゴルフは体力が必要です。つまり、それは『死にたくない』というのと同じことなのです」と言われました。説得力抜群の話ぶりに、会場の一同はみんな大きく頷いていました。



その後、「人間の寿命」の話になり、熊澤氏が医学生の頃から「人間は125歳まで生きられる」というのが定説であったと述べました。いわゆる「ヘイフリック限界」ですね。
それから『論語』に言及され、孔子が『15にして学に志し、30にして立つ、40にして惑わず、50にして天命を知る、60にして耳順がう、70にして心の欲する所に従って矩を踰えず』と言ったことを紹介されました。熊澤氏は「では、80にして・・・どうなるのか? これは孔子もわからなかったようですから、わたしが言いましょう」と前置きをしてから、「80にして、また立つ」と述べられました。男女問わず、また「而立」すべきであるというのです。



それから、熊澤氏は北九州にも縁の深い作家である林芙美子の「花の命は短くて、苦しいことのみ多かりき」という言葉を紹介し、「わたしは、この言葉はウソだと思います」と述べました。なぜなら、花は散っても、また翌年に咲くからだというのです。そして、「わたしならば、こう言います」として、「花の命は何度もありけり、楽しいことも多かりき」と言われました。これは孔子の精神にも通じるポジティブ思考であると思います。



最後に熊澤氏は「楽しみといえば、死ぬことが一番の楽しみですよ。『健康になれるなら、死んでもいいです』などと馬鹿げたことを言う人もいますが、人間、誰でも病気になるもの。病気を認識して、それと向き合うことが大切です」と喝破されました。「健康」の「健」という字は「人が建つ」であり、「康」とは「安らかに」ということだそうです。そして、「どうか、みなさん、健康に死のうではありませんか!」と述べて、卓話を終わられました。
80にして人生の悟りを得たような清々しい卓話を拝聴し、わたしは感動しました。
熊澤先生、素晴らしいお話をありがとうございました! どうぞ、いつまでもお元気で!




*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2016年10月7日 佐久間庸和