たった一字に深い意味を秘めている文字は、世界でも漢字だけです。
そこには、人のこころを豊かにする言霊が宿っています。
その意味を知れば、さらに、こころは豊かになるでしょう。
今回ご紹介するハートフル・キーワードは、「装」です。
若い頃のカエサルは大変なオシャレであったといいます。
古代ローマで着用されていた長衣や短衣の布地や色、はてはベルトの締め金のデザインにまでこだわったそうです。「人類史上最高にモテた男」とも言われる彼の魅力の一端はそのファッション・センスにもあったのでしょう。
もちろん人間の魅力は外見だけではありませんが、リーダーにとってはファッションも重要な要素です。古いと言われればそれまでですが、わたしは、絶頂期の頃のホリエモンにどうしても社長をイメージすることができませんでした。彼はいつもTシャツをはじめとしたカジュアルな格好だったからです。
では、スーツを着ればよいのかというと、スーツを着た方がふさわしい場ではスーツを着るべきだし、Tシャツでも構わない場ではTシャツを着ればよいでしょう。要は、時と場合、つまりTPOをわきまえた服装を心がけることが必要なのだと思います。フォーマルな服装が求められる場でも常にカジュアルというのは、かえって肩に力が入っていてカッコ悪いですね。
またまた古いと思われそうですが、わたしは社長に就任した頃、ビジネスの場では、必ず三つ揃いのスーツを着ていました。わたしが尊敬し、憧れる経営者の方々に三つ揃いの方が多かったせいです。ネクタイを締めると、気合いが入り、ベストを着けると、心身ともに引き締まります。ビジネス・コンサルタントの山崎武也氏によれば、ビジネス社会においてスーツはユニフォームであるといいます。ネクタイをきちんと締めていれば、真面目に仕事に取り組む姿勢を示したことになります。うさんくさい人もネクタイをしていれば、少なくとも表面的にはまずは真面目な人であろうと見られるのです。
しかし、リーダーは真面目なだけでは駄目で、ある程度の遊び心も求められます。堅苦しいだけの人間より、感性の豊かな人と思われた方がいいに決まっていますね。ネクタイの色やデザインも大事ですが、わたしの場合は社会人になってからずっとスーツには必ずポケットチーフを合わせています。わたしが入った広告業界にはポケットチーフをしたカッコいい先輩が多かったためである。別に贅沢をするつもりはありませんが、ポケットチーフだけは新しい色を見つけると必ず買うので、もう何百枚もたまってしまいました。だから、どんな色のネクタイにでも合わせられる自信があります。
別にわたしにファッション・センスがあるとは思いません。でも、自分のスタイルには真剣に取り組んでいます。コーディネートの正誤を追いかけていても始まりません。
オシャレは精神の自己表現であると心掛けたいですね。
なお、「装」については、『龍馬とカエサル』(三五館)に詳しく書きました。
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*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。
2016年5月18日 佐久間庸和拝