気業


わたしは、これまで多くの言葉を世に送り出してきました。
この際もう一度おさらいして、その意味を定義したいと思います。
今回は、「気業」という言葉を取り上げることにします。



企業とは「気業」です。経営者が元気な会社なら、会社も元気です。
社長が陽気で強気なら、陽気で強気な会社になります。
その逆に社長が陰気で弱気なら、会社もそうなるのです。
特に人数の少ない小規模の企業になればなるほど、トップの気はストレートに反映します。まさに企業とは、経営者の気が社員に乗り移る一個の生命体なのです。



私たち人間はハード(身体)とソフト(精神)の両方からできており、目に見える世界と見えない世界で生活しています。「色即是空」「空即是色」という言葉が示すように、見える世界と見えない世界は渾然一体なのです。「気」は見えない世界のエネルギーであり、ハート化社会のビジネスにおいて、もっとも重要なキーワードです。



人間と同じく、人間が経営する会社も見える部分(色)と見えない部分(空)の二重構造になっています。色とは、資本金、土地、建物、設備、商品、貸借対照表損益計算書などです。労働力としての人間も色に入るでしょう。
一方、空とは、会社のミッションやビジョン、経営者の思想や哲学、経営理念、社員のプロ意識、生きがい、働きがい、社風、企業文化などです。



今後の企業は、色と空の両方をバランスよく充実させなければなりません。
特に、人々が求心的になっていくハート化社会においては、企業の空の部分が重要視されるでしょう。心ゆたかな会社、ハートフル・カンパニーの原点は、企業の経営理念、社長の哲学、そして社員の生きがいを確立することです。そして、そこには常に、元気、陽気、強気、勇気といったプラスの気が流れていなければならないのです。



ホテル業や冠婚葬祭業など、お客様に元気や勇気を与えるホスピタリティ・サービス業においては、すべての会社が「気業」を目指すべきなのは言うまでもありません。なお、「気業」という言葉は、『ハートビジネス宣言』(東急エージェンシー)で初めて提唱しました。


「気業」を提唱した『ハートビジネス宣言』(1992)



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2013年10月28日 佐久間庸和