「古事記」の舞台に感動


14日はバレンタインデーですが、わたしは朝から東京に出張です。
全互協の施行支援機構運営委員会が開催され、委員として参加するのです。
さて、「サンデー毎日」2017年2月26日号が発売されました。
わたしは同誌にコラム「一条真也の人生の四季」を連載しています。
第68回目のタイトルは、「『古事記』の舞台に感動」です。


サンデー毎日」2月26日号



1月28日、わが社は「サンレー文化アカデミー」のイベントとして、東京ノーヴィレパートリーシアターによる舞台「古事記天と地といのちの架け橋〜」を上演しました。会場は北九州芸術劇場でした。 東京ノーヴィレパートリーシアターは、東京・下北沢を拠点として多彩な活動を展開する劇団です。芸術監督は、ロシア功労芸術家のレオニード・アニシモフです。昨年、同劇団はロシア公演を行い、「古事記」を上演しましたが、「言語や民族を超えた普遍性がある」と超満員の観衆から絶賛を受けました。



原作は、宗教哲学者である鎌田東二氏の力作『超訳 古事記』(ミシマ社)です。
この舞台、わたしは一昨年の秋に初めて観たのですが、まことに幻想的な演劇でした。第一部では『古事記』の冒頭部分の「天地のはじめ」が表現されます。冒頭から、いきなり劇場内が真っ暗闇になって驚きました。闇から浮かび上がる神々はすべて白い装束を身にまとっていました。



このとき、わたしはなぜ神々や神主が白い装束で、加えて死者も白装束なのかを理解しました。闇から出現する色は白をおいて他にはなく、また闇に溶け込む色も白以外にはありません。おびただしい数の神々の顔は一様に白く塗られ、いずれも笑みを浮かべています。一時間近くも胡坐をかいた後に垂直にスクッと立ち上がる俳優さんたちの脚力には感嘆しました。やはりプロの役者は凄い!



第二部では、最愛の妻を喪ったイザナギが嘆き悲しむ場面から始まります。そう、『古事記』とは、悲嘆から回復するグリーフケアの物語なのです。そして、グリーフケアとは、闇に光を射すこと。「天の岩戸」という洞窟に閉じ籠もっているアマテラスを明るい世界へ戻すことです。



そして、それが「むすび」につながります。「SUNRAY(太陽の光)」と「産霊(むすび)」がグリーフケアを介することによって直結することに、わたしは感動しました。わが社は、今後もグリーフケアに努めたいです。



サンデー毎日」2月26日号の表紙



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2017年2月14日 佐久間庸和