世の中を幸せにできる仕事

東京に来ています。26日の14時から日本初の終活専門誌である「ソナエ」(産経新聞出版社)の編集長と打ち合わせをしました。次号からわたしの連載スタートが決定しました。また、終活WEB「ソナエ」でも連載を開始、インタビュー記事も3回にわたって掲載される予定です。いま大注目の全国誌ですので、「天下布礼」の大きな前進になると思います。


「フューネラルビジネス」9月号



さて、冠婚葬祭業界のオピニオンマガジンである「フューネラルビジネス」9月号(総合ユニコム)が発行されました。ブログ「フューネラルビジネス講演」で紹介した6月25日の講演の内容が紹介されています。「葬祭業こそ、誇りをもって励む世の中を幸せにできる仕事」のタイトルで、以下のように書かれています。




●葬儀がなければ人類は滅亡していた
儀式ほど大切なものはない。
私は、人間とは儀式をする存在<ホモ・フューネラル(弔う人)である>と定義しました。つまり、愛する人が急にいなくなってしまったら、その悲しみから自殺の連鎖が起きる。だからこそ、人類は葬儀をはじめたわけです。
葬儀は人類が長い年月をかけて大切に守ってきた精神文化。「葬儀がなければ人類は滅亡していたかもしれない」。私は本気でそう思っているのです。
経営者として大切にしていることは、もし会社がおかしいと感じることがあれば、「なぜこの会社をつくったのか」「何をしようと思ったのか」と原点に立ち返ることです。当社の場合は、「万人に太陽の光のように等しく冠婚葬祭のサービスを提供したい」という理念があった。つまり根底にある「人間尊重」の精神が初期設定のキーとなっています。
初期設定後のアップデートとしては、自分自身が会社や講演会などあらゆる場所で「人間尊重」の精神を訴えました。また、葬祭会館を「人生劇場」と捉え、その想いを葬儀演出のコンセプトにまで具体化。さらに日本人の考え方に沿う形での「山」(樹木葬)、「海」(海洋葬)、「月」(月面葬)、「星」(宇宙葬)を新たに提案していきました。
海洋葬は今年4月に沖縄で行ない、多くの方にご参加いただきました。
また、月こそ「あの世(死後の世界)」として、故人の魂をレーザービームで月へ送る儀式「月への送魂」も実施しています。その他、樹木葬も進めているところです。
さらに、遺骨を宇宙へ送る「宇宙葬」も今年10月に打ち上げを予定しています。
いずれも参加するのは葬儀から1年、3年経ったご遺族の方がほとんどです。
いまは故人の社会的なつながりを家族が断ってしまうのを「家族葬」と呼ぶ風潮がありますが、家族が故人を偲ぶこの姿こそが本当の「家族葬」ではないか、と私は思います。



●儀式は変えてはいけない部分と変えてよい部分がある
さらに具体的なアップデートとしては、出棺シーンで長年続いたクラクションを廃止したのもその1つです。葬送儀礼としての意味合いがないばかりかクラクションが注意・危険を知らせるものであることに対し、強く違和感を覚えたんですね。そこで新たに「感謝」「祈り」「癒し」の想いを託して鐘を3回鳴らす「禮鐘の儀」を導入しました。皆さん、儀式は変えてはいけないものと思っているかもしれませんが、変えてはいけない部分と、変えてよい部分がある。これからも新しい儀式を提案し、広げていこうと思っています。またグリーフケアの一環として行なう「月あかりの会」も非常に大切なアップデートの1つです。これは当社で葬儀をしていなくても入会できる自助グループで、小さなお子様を亡くしたお母様や、ご主人や奥様を亡くされた方など、それぞれの状況にあったグループでの活動をサポートしています。
また2012年には平成の寺子屋として天道館を開設。「初期設定の確認装置」と位置づけ、社員教育・交流の場、地域の方々が気軽に集えるコミュニケーションの場、また高齢化社会について学ぶ研究所としての役割も担っています。さらには、「礼」に「慈しみ」という言葉をつけた「慈礼」を、新たなコンセプトとして広げていく活動も行っている最中です。
このように、地道ながらも「葬祭業は日本人の心を救っているんだ」と思っていただけるような活動を日々心がけています。この仕事ほど鬱をなくし、心を救い、世の中を幸せにできる仕事はない。ぜひ皆さん、この仕事に誇りをもって励んでください。



わたしが70分にわたって話したことを「フューネラルビジネス」編集部がうまくまとめてくれました。最初の見出しである「葬儀がなければ人類は滅亡していた」とは大きなインパクトを聴衆に与えたようです。ブログ「人類の未来を育くむ礎に」で紹介した「日本経済新聞」でのインタビューでも同じことを話しましたが、わたしは葬祭業に従事する人々が人類の滅亡を防いできたと真剣に考えています。そして、この仕事が「誇りをもって励む世の中を幸せにできる仕事」というメッセージをこれからも、さまざまな場所で、さまざまな方法で広めていきたいです。



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2014年8月27日 佐久間庸和