サン・ジョルディの日に本を贈る  


昨日、心から尊敬する渡部昇一先生がお亡くなりになられました。
わたしに読書の喜びを教えて下さった偉大な「知の巨人」でした。
渡部先生の御冥福を心よりお祈り申し上げます。
18日、「サンデー毎日」2017年4月30日号が発売されました。
表紙にはホラン千秋さんの写真が使われています。
わたしは同誌にコラム「一条真也の人生の四季」を連載しています。
第77回目のタイトルは、「サン・ジョルディの日に本を贈る」です。


サンデー毎日」2017年4月30日号



4月23日は「サン・ジョルディの日」です。もともとは、スペインのカタルーニャ地方におけるキリスト教の聖人・聖ゲオルギオス(サン・ジョルディ)の聖名祝日です。この日は「本の日」とも呼ばれ、親しい人に本を贈る記念日とされています。20世紀後半、この風習は「サン・ジョルディの日」の名とともに日本へも紹介されました。スペインからの提案に基づいて、ユネスコは、4月23日を「世界図書・著作権デー」(世界本の日)に制定しています。



本を贈るのも、贈られるのも素敵なことです。本1冊が仕上がるまでには、いろいろな人の手を経て、たいへんな手間がかかっています。どの本にも、著者の想いがあり、編集者の想いがあり、デザイナーも営業スタッフも、本にかかわったみんなの想いが込められています。どんな本にも書かれた意味があり、出版されないほうがよかった本など1冊もないと思います。それぞれ著者や出版社の想いがあって書店に並んでいます。それを感じることができるかどうかが大切ですね。



「であい」という言葉は、人間の場合は「出会い」、人間以外のものの場合は「出合い」と書きます。わたしは、人との「出会い」も、本との「出合い」も、すべては縁なのだと思います。
無数ともいえる本の中から、1冊が選ばれるなんて、すごいことです。
たとえ、下らないと思える本でも知らないことや驚くことが1つはあるもの。
すべてのページが自分に有益でなければいけないなんて欲張ってはいけません。
いくら初心者向けの入門書だって、自分が知らないことが1つは書いてあります。
それを見つけるだけでも価値があるのではないでしょうか。



重要なのは読み手と本との相性であり、本との出合い方によって、すべての本が大切なのです。本を必要とか不必要と分けることはできません。
今年のサン・ジョルディの日、わたしは、わが最新刊『人生の修め方』(日本経済新聞出版社)を親しい方々に贈ろうと思っています。


サンデー毎日」2017年4月30日号の表紙



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2017年4月18日 佐久間庸和