梅の花に平和を想う


13日、「サンデー毎日」2017年3月26日号が発売されました。
表紙は、東大の安田講堂です。いよいよ大学の合格発表の時期ですね。
わたしは同誌にコラム「一条真也の人生の四季」を連載しています。
第72回目のタイトルは、「梅の花に平和を想う」です。


サンデー毎日」2017年3月26日号



梅のシーズン到来。太宰府天満宮北野天満宮をはじめ、各地の梅の名所には多くの観光客が訪れています。梅の花を見ると、わたしはいつも『論語』を連想します。わたしは、日本・中国・韓国をはじめとした東アジア諸国の人々の心には孔子の「礼」の精神が流れていると信じています。
ところが、いま、日中韓の国際関係は良くないです。というか、最悪です。三国の国民は究極の平和思想としての「礼」を思い起こす必要があります。それには、お互いの違いだけでなく、共通点にも注目する必要があります。



そこで重要な役割を果たすのが梅の花です。日中韓の人々はいずれも梅の花を愛します。日本では桜、韓国ではむくげ、中国では牡丹が国花または最も人気のある花ですが、日中韓で共通して尊ばれる花こそ梅なのです。この意味は大きいと思います。それぞれの国花というナンバー1に注目するだけでなく、梅というナンバー2に着目してみてはどうでしょうか。そこから東アジアの平和の糸口が見えないものかと思います。



梅は寒い冬の日にいち早く香りの高い清楚な花を咲かせます。
哲学者の梅原猛氏によれば、梅とは、まさに気高い人間の象徴であるといいます。
日本人も中国人も韓国人も、いたずらにいがみ合わず、偏見を持たず、梅のように気高い人間を目指すべきではないでしょうか。各地の梅の名所は、海外からの観光客の姿が目立ちます。わたしは、戦争根絶のためには、ヒューマニズムに訴えるだけでなく、人類社会に「戦争をすれば損をする」というシステムを浸透させるべきであると考えます。



損得勘定で動くのは経済ですが、「戦争をすれば貧しくなる」を進めて「戦争をしなければ豊かになる」という方向に持っていくことが必要でしょう。そこで「戦争」の反対概念になるのが「観光」です。もともと「戦争」とは相手国を滅ぼそうという営みであり、「観光」とは相手国の素晴らしさ(光)を観ようという営みです。まさに正反対なのです。


サンデー毎日」2017年3月26日号



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2017年3月13日 佐久間庸和