『釈迦の教えは「感謝」だった』   

4月8日は「花祭り」、つまりお釈迦さまの誕生日ですね。
連載100回達成記念に、過去の「ハートフル・ブックス」をご紹介しています。
第51回目は、「サンデー新聞」2012年5月12日号に掲載されました。
わたしは、『釈迦の教えは「感謝」だった』小林正観著(風雲舎)を紹介しました。


「サンデー新聞」2012年5月12日号



著者は心学研究家として多くの名著を書かれましたが、2011年10月に病気のために亡くなられました。新時代の「心学」の道を求めるわたしは、先達である著者が書いた一連の本を再読しました。その膨大な著書の中で最も心に強く残ったのが本書でした。著者によれば、釈迦が言った「苦」とは「思い通りにならないこと」という意味でした。ですから、「思いどおりにしよう」とするのをやめ、「受け容れる」ことが大事だと説きます。「受け容れる」と、自分自身が楽になるといいます。2500年前にその構図を発見した人こそ釈迦でした。釈迦は、その発見を後世に伝えようとして、『般若心経』に残したのではないかというのです。




さらに、「受け容れる」ことを高めていくと、「感謝」になります。釈迦の教えは、結局は「感謝」につながるのです。仏教に精通していた著者は、『般若心経』の最大のメッセージとは、「苦」とは「思いどおりにならぬこと」であり、それを受け容れることが楽になることだったと喝破します。思いが強ければ強いほど、つまり「これをどうしても実現したい」「これをどうしても手に入れたい」「どうしても思いどおりにしたい」と思う心が強ければ強いほど、実は「いま自分が置かれている状況が気に入らない」ということであるというわけです。



本書で著者の最も言いたいことは、「思いどおりにしよう、思いどおりにしたいと思えば思うだけ、逆に、『感謝』というところからは遠いところにいるということにほかなりません。これが宇宙の法則であり、宇宙の真実です」という言葉ではないでしょうか。
わたしは、『図解でわかる!ブッダの考え方』(中経の文庫)という本を上梓しましたが、執筆するうえで本書の内容を大いに参考にさせていただきました。
ブッダの考え方」の核心とは、まさにこの「感謝」にほかなりません。



「宇宙を味方にする最良の方法とは、ありとあらゆることに不平不満、愚痴、泣き言、悪口、文句を言わないこと。否定的、批判的な考え方でものをとらえないこと。これに尽きるのです」と著者は述べています。ブッダの教えは一見して哲学的で難しいように思われますが、じつはとてもシンプルです。そして、その教えの核心こそは著者が言うように「感謝」であると、わたしも思います。平易な言葉で、多くの人々に「感謝」の大切さを説いてきた著者の御冥福を心よりお祈りいたします。合掌


釈迦の教えは「感謝」だった

釈迦の教えは「感謝」だった



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2017年4月8日 佐久間庸和