『相性』  


25日の午後、沖縄から北九州に戻ってきました。
連載100回達成記念に、過去の「ハートフル・ブックス」をご紹介しています。
第49回目は、「サンデー新聞」2012年3月3日号に掲載されました。
わたしは、『相性』三浦友和著(小学館)を紹介しました。


「サンデー新聞」2012年3月3日号



俳優の三浦友和さんが、「夫婦」をテーマに本を書いたということで、話題を呼んだ本です。なにしろ、彼の妻は、あの山口百恵さんなのですから。「夫婦円満の秘訣はなんですか?」という質問を著者はよく受けるそうです。「理想の有名人夫婦」という調査で、何年も続けてトップになっている著者夫妻は、たしかに「円満」という言葉がぴったりです。その問いに対して、著者はいつも「相性です」と答えるそうです。



この答えについて、著者は述べています。
「身も蓋もない言い方かもしれないが、自分ではかなり合点がいっている。仕事、上司、仲間、親、教師、恋人、妻子供・・・相性が良ければこんな素晴らしいことはない。相性の良い人間とは人生で共有する時間が長くなっていく。互いに欲するからだ。友人、恋人などは相性が合わなければ自然と距離ができ、互いに遠ざかっていく」



そして著者は、次のように堂々と述べます。
「私は、素晴らしく相性の合う女性と出会い結婚できたといえる。出会いから30数年倖せに暮らせているのだから、たぶん勘違いではなさそうだ」



倖せな夫婦生活を続けていく上で、著者はさまざまなことを積み重ねています。 たとえば、10年ごとの結婚記念日に結婚指輪を新しく作り直しているそうです。 だから、著者夫妻の手元には結婚指輪が3つあるのだとか。 そして、2020年の結婚40年目に4つめの結婚指輪を作って、百恵夫人と二人で「振り返って見ると、倖せだったね」と言い合いたいのだそうです。



では、何を「倖せ」だと思うか。著者はこれが「相性」だとして、述べます。
「相性とは、倖せの感じ方のことかもしれません。妻とは、ありがたいことに、この倖せの感覚が一緒でした。お互いに、同じことを倖せだと喜んでいられた」



著者のいうように、相性の良いパートナーに会うのは人智を超えた世界です。この人智を超えた出会いのことを「縁」と呼び、良い縁のことを「良縁」と呼びます。著者のいう「相性が合う」とは、「良縁」の別名にほかならないのです。



「良縁」は、結婚相手だけにあるのではありません。それは、上司、部下、同僚、仲間、親、教師、恋人、子ども・・・この世のすべての人間関係において「良縁」というものが存在するのです。本書には、その良縁を引き寄せるための人間のギリギリの努力のあり方が示されています。あとは、「人事を尽くして天命を待つ」しかありません。


相性 (小学館文庫)

相性 (小学館文庫)


*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2017年3月26日 佐久間庸和