冠婚・衣装責任者会議

22日、サンレーグループ冠婚・衣裳責任者会議が開催されました。
会場は、松柏園ホテルバンケットザ・ジュエルボックス」でした。
各地から、わが社の誇る“むすびびと”たちが集結しました。


最初はもちろん一同礼で・・・

冠婚・衣裳責任者会議での訓話のようす



17時から、わたしが「社長訓話」を行いました。
わたしはまずブログ「全互連・横浜研修会」で紹介した結婚式場の話をしました。
それから、今後の互助会におけるブライダル戦略の基本などについて語りました。


結婚式は結婚よりも先にあった!



ブログ「サンレー『古事記』公演」およびブログ「『古事記』アフタートーク」で紹介したイベントについて述べました。アフタートークでは、わたしに「『古事記』についてどう思うか」との質問がありました。わたしは「結婚式は結婚よりも先にあったことを再確認した」と述べました。
一般に、多くの人は、結婚をするカップルが先にあって、それから結婚式をするのだと思っているのではないでしょうか。でも、そうではないのです。『古事記』では、イザナギイザナミはまず結婚式をしてから夫婦になっています。つまり、結婚よりも結婚式のほうが優先しているのです。他の民族の神話を見ても、そうです。すべて、結婚式があって、その後に最初の夫婦が誕生しているのです。つまり、結婚式の存在が結婚という社会制度を誕生させ、結果として夫婦を生んできたのです。ですから、結婚式をしていないカップルは夫婦にはなれないのです。


日本人の儀式のルーツは『古事記』にあり!



結婚式ならびに葬儀に表れたわが国の儀式の源は、小笠原流礼法に代表される武家礼法に基づきますが、その武家礼法の源は『古事記』に代表される日本的よりどころです。すなわち、『古事記』に描かれたイザナギイザナミのめぐり会いに代表される陰陽両儀式のパターンこそ、室町時代以降、今日の日本的儀式の基調となって継承されてきました。
この舞台では、多くの神々が「われは○○の神」と言って立ち上がりながら名乗りを挙げますが、まさにこの舞台そのものが1つの儀式となっていました。


「むすび」について語りました



古事記』は大いなる「むすび」の物語です。冒頭の天地開闢神話には二柱の「むすび」の神々が登場します。八百万の神々の中でも、まず最初に天之御中主神高御産巣日神神産巣日神の三柱の神が登場しますが、そのうちの二柱が「むすび」の神です。『古事記』は「むすび」の神をきわめて重要視しているのです。大著『古事記伝』を著わした国学者本居宣長は、「むすび」を「物の成出る」さまを言うと考えていました。「産霊」は「物を生成することの霊異なる神霊」を指します。息子や娘の「むす」も苔むす「むす」も同じ語源であり、その「むす」力を持つ「ひ」とは、「万物を生みなす不思議な霊力」、すなわち「物の成出る」はたらきをする「物を生成することの霊異なる神霊」を意味します。


「結魂」こそ産霊の本質



つまるところ、「産霊」とは自然の生成力をいうのです。
民俗学者折口信夫が大変興味深いことを言っています。産霊の「むすび」と、結合の「むすび」と、水を掬ぶ「むすび」の関わりについてです。産霊と結合の「むすび」は、起源も信仰内容も違うが、いつしか二つは結びついた。そして、水を掬ぶ「むすび」は、元来「身体の内へ霊魂を容れる」「霊魂を結合させる」ことであり、それこそが「産霊の作法」だったというのです。霊魂を結合させること、つまり「結魂」こそ産霊の本質といってもよい。やはり日本人の結婚式は、「産霊」を最上のものとする神前結婚式が望ましいと言えます。


大いなる「むすび」の意味を知る



結婚という人間界最高の平和と、神道という平和宗教とは基本的に相性がいいのです。
いずれにしても、「むすび」とは、本来、生成力つまり、自然の万物を生み出すクリエイティブな力を表わしました。やがてその言葉が、折口信夫が言うように、結合という概念と結びつき、異質なもの同士を結び合わせる力の表現にもなっていったのです。沖縄における「チャンプルー」文化も、結局は「むすび」文化ということになります。「産霊」は当社の社名の意味の一つです。みなさんも、ぜひ、産霊の意味と、その大いなる力を知ってください。


北九州市の成人式について語りました



また、ブログ「北九州市成人式」で紹介した話もしました。
今年、わたしは特別来賓として参列しましたが、「新成人・感謝のことば」として、九州国際大学経済学部経済学科の大島和也さんと北九州市立大学地域創生学群地域創生学類の三嶋愛さんが新成人としての決意と両親への感謝の言葉を述べました。三嶋さんは「これまで両親は自分の悩みには、自分以上に悩んでくれ、嬉しいことがあると自分よりもずっと喜んでくれました。本当にいくら感謝しても感謝しきれません」と述べました。わたしは、それを聴いて、あと三年で成人となる次女がわたしに向かって感謝の言葉を述べてくれているような気がして、思わず涙ぐんでしまいました。成人式に限らず、結婚式でも葬儀でも、通過儀礼というのはすべて「感謝」の心を表わす場なのだと再認識しました。



ここ数年来、北九州市の成人式は「派手すぎる」と注目を浴びてきました。
その様子はテレビのワイドショーを通じて全国に流されました。
金銀の羽織袴や花魁姿で傍若無人に振る舞う新成人が話題を呼びました。実際に彼らに接すると、服装は派手でも顔を見ると気の良さそうな若者が多かったです。
わたしは、「これは仮装大会のようなもので、ハロウィーンと同じだな」と思いました。でも、暴力団追放運動がようやく実を結びつつある北九州市にとっては、ヤンチャな彼らの姿が報道されることは大きなイメージダウンとなります。そこで、わたしは昨年の式典後すぐに市の青少年課に連絡し、成人式の正常化への全面協力を訴え出ました。


「おそうじ大作戦」について語りました



伏線として、かつて沖縄の「荒れる成人式」を、わが社の新成人が清掃活動によって変えた実績がありました。そして今年から、本社を置く北九州でも、会場周辺で取り組む「おそうじ大作戦」を開始。オリジナルデザインのゴミ袋も製作、市に寄贈しました。式典終了後、心ある若者たちは続々とゴミ袋を持って清掃を始めました。その姿を見たマスコミの取材クルーは、ど派手な連中から離れて、清掃する新成人たちの姿をカメラで追い始めたのです。
わたしは、「北九州の成人式は変わる!」という確信を持ちました。


年中行事の大切さについて語りました



最後に、わたしは「年中行事」の大切さについて話しました。一説によれば、10年後には「正月」というものがなくなり、単なる「1月」になるなどと言われています。それぐらい、日本人が親しんできた年中行事が消えつつあります。しかし、冠婚葬祭と同じく、年中行事も日本文化の「核」であり、日本人の「こころ」にとって必要なものであると述べました。


年中行事の素晴らしさを語りました



正月七日になれば七草粥、また十五日になれば小正月やトンド祭り。2月になれば豆まきや節分祭、3月に雛祭り。5月に鎧兜を飾って端午の節句。6月の晦日には大祓をして、積み重なってきた半年の罪汚れを祓い清め、夏越の祓を行なう。7月には七夕。8月にはお盆の先祖供養。9月には中秋の名月を祝います。10月、「神無月」には日本の神々はみな出雲の国に集まって神集いをします。そのために出雲ではその月を「神有月」といいます。11月には収穫感謝祭である新嘗祭を行い、12月には冬至の家庭祭祀をします。カボチャを食べたり、ゆず湯につかったり、またこのとき宮中では鎮魂祭が行われます。そして十二月の大晦日には一年にたまりたまった罪汚れを祓い清める大祓を行います。


「こころ」を「かたち」にするのが文化です!

最後は、もちろん一同礼!



このように冠婚葬祭、年中行事、そして、祭り。
すべては日本人の「こころ」を「かたち」にした素晴らしい文化であり、互助会はこれらの文化を守り、後世へ伝えていく大いなる使命があります。この日の社長訓話では、そのような話をしたところ、みんなこちらが怖くなるぐらい真剣な表情をして聴いていました。
最後は、もちろん一同礼で終了しました。


懇親会の冒頭で挨拶する佐久間会長



社長訓話が終わった後は、懇親会が開かれました。最初に佐久間会長が挨拶し、「わが社は成熟期にあるように思っていましたが、もしかしたら衰退期なのかもしれません。それでは、いけない。目標を持ち、問題意識を持ち、集中力をもって仕事に取り組んでいただきたい。そうすれば、まだまだ発展できるはずです」と述べました。


わたしも挨拶しました

カンパ〜イ!

懇親会のようす



続いて、わたしも「わが社には学ぶ心があります。そして、感謝する心があります。第二創業期に入って、冠婚部門のみなさんの奮闘に期待しています!」と述べました。
それから、初参加の東常務の音頭で乾杯しました。
松柏園の美味しい料理を楽しみながら、各所で会話の花を咲かせました。


最後は「末広がりの五本締め」で・・・



最後は、北陸本部の小久保事業部長によって中締めの挨拶がされました。
小久保事業部長は、 サンレー・オリジナルの「末広がりの五本締め」で締めました。
わが社のオリジナル文化は色々とありますが、この「末広がりの五本締め」もそのひとつです。これをやると、みんなの心が本当にひとつになるような気がします。



いま、冠婚葬祭互助会の冠婚部門は大きな過渡期にあります。
しかし、わたしたちは「人間尊重」をミッションとする礼業の会社として、正々堂々と胸を張って結婚式のお世話をさせていただきたいものです。そして、互助会の会員さんが幸せになるためのお手伝いができるように、つねにアップデートを心がけ、アップグレードを目指したいと思います。懇親会終了後は、松柏園のラウンジにて二次会が行われました。



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2017年2月23日 佐久間庸和